煮干しに対する情熱、ラーメンへの愛情がひしひしと伝わる 麺や 而今(大阪府・大東市)後編【大阪の麺スタグラマーによる「ラーメンの時間ですよ」】第8回
2020年07月07日 18時00分更新
はいはーい、ラーメンの時間ですよ♪
今回は前回ご紹介した『麺や 而今』さんの後編になります。
前編では、ゆうき店主の経歴と、『麺や 而今』さんのおすすめラーメンをご紹介しました。
《前編はこちら→https://ramen.walkerplus.com/article/4017362/》
後編では、『麺処 ゆうき』と屋号を変えての特別営業にスポットを当てたいと思います。
このラーメンWalkerコラムで赤池洋文さんの書かれた『中華ソバ 伊吹』さんの記事が先日公開されていたので読まれた方も多いかと思いますが、ゆうき店主はその三村店主のお弟子さんなんです。
まだ読まれていない方はこちらも読んで頂くことをお勧めします。
『中華ソバ 伊吹』さんのコラム
前編→https://ramen.walkerplus.com/article/4014984/
後編→https://ramen.walkerplus.com/article/4015003/
ゆうき店主は『麺や 而今』での通常営業の他に『麺処 ゆうき』という屋号を使い、『中華ソバ 伊吹』さんさながらの煮干しラーメンを提供していますが、三村店主同様に煮干しへの愛情がまたすごいんです! 今回その偏愛ぶりについて語って頂きました。
ゆうき店主と三村店主と初めて出会ったのは東京でのイベント時。その後大阪でコラボをさせて頂き、そこから親密になり時折お会いする仲に。
元々煮干しを使ったラーメンは作っていたそうですが、とにかく大量に煮干しを投入するだけのやり方。色々相談しているうち、三村店主に「ゆうき君、うちの厨房に入んなよ。水と煮干しのみで作る淡麗煮干ソバ教えるよ」と言われ弟子入りすることに。といってもお店があるのでずっと行くわけにはいかず、時間を見つけては出張レベルで訪問。
最初難しかったのは、煮干し何キロで水がどれくらいとかのレシピが無く、三村店主からは「適当だよ」と。それを聞いてゾワっと鳥肌がたったそう。全然適当には見えなかったから。
煮干しの分量も「一掴み」といった感じ。この一掴み、三村店主の手はかなり大きいらしく、そのままでは使えない基準ということで、動画を撮って何度も見返しながら自分なりの基準に置き換えてきたらしい。
そんなゆうき店主が三村店主に惚れた一つが、赤池さんのコラムにも書かれている「原価率50%」。儲けよりももっと美味しいものを追求するそのストイックさに驚いたとのこと。後は煮干しに対する知識。あまりに深すぎて初めて聞いた人は英語みたいに聞こえるかも(笑)とは言いつつも、最近は煮干しの良し悪し、これなら何円くらい、とかわかるようになってきたそうですが。
そのゆうき店主が使う煮干しは常に15種類程度冷凍庫にあり、日によって変わるものの、淡麗煮干ソバでは10種類ほど使用して仕上げているそう。
煮干しと一口に言っても、一般的なカタクチイワシだけではなく鯵や烏賊、牡蠣といった変わり種の煮干しに、焼煮干し、オリーブいりこ、その他にも色々な煮干しがあります。
炊く順番や配置によって味が大きく変化するため、どの位置にどの煮干しをどれだけ配置するかが非常に重要なポイント。また、煮干しによっては手に入らない時もあり、それに代わる新たな煮干しを探しますが、やはり味は変わるのでなかなか調整が難しいそう。
ちなみに煮干しは乾燥状態が重要であり、酸化すると味が落ちてしまいます。しかしながら週に2~3回しか煮干し営業を行なっておらず、煮干しの状態を維持するために製麺機の横に大型冷凍庫を設置し、その中で保管しています。席数を減らしてまで取り組む煮干しへの情熱、すごいものがありますね。
ちなみに、煮干し系のラーメンには自家製麺ではなく、『中華ソバ 伊吹』さん同様、三河屋製麺の特注麺を使用。やはり煮干しスープには低加水のパッツンとした食感と味わい豊かな麺が合いますもんね。
長くなりましたがここで『麺処 ゆうき』のラーメンをご紹介。
まずは『淡麗煮干ソバ』。厳選された煮干しと水のみで作られたスープは、煮干しの濃密な旨味がしっかりと凝縮されながらもエグミはなくすっきりとした味わい。
お次は、スープに火入れを一切しない『かけソバ伊吹』。かけなので具材無しなんですが、スープと麺の美味しさをシンプルに、且つダイレクトに味わうことができます。火入れ無しでこれだけの旨味を抽出する技術、もう脱帽です。
ちなみにこちらは冷やしで頂きましたが、これからの暑い時期には嬉しいですね。
煮干ソバを食べたなら、ぜひ一緒に味わって頂きたいのが『和え玉』。味付きの替え玉なんですが、そのまま食べても良し、残ったスープにつけて食べても良し。お腹に余裕がある方はぜひご一緒にどうぞ。
『麺処 ゆうき』としては毎週木曜から土曜の夜のみ営業となっていますが、伊吹イズムを継承した究極の煮干ソバが大阪で食べられるのは嬉しい限り。
今回、ゆうき店主には仕込みの合間に取材させて頂いたんですが、とにかくラーメンに対する愛情がひしひしと伝わってきました。
「一人では何もできない。横のつながり、ラーメン店主やスタッフ、お客さん、取引先、その他大勢の方々に支えて頂き今がある」との言葉通り、同業者とのつながりも広いゆうき店主。
『一生勉強』をモットーに掲げ、まだまだ留まることのない探究心から今後の更なる進化が楽しみです。
<店舗データ>
【店名】麺や 而今
【住所】大阪府大東市灰塚6-7-9
【営業時間】
平日 11:00~14:00、18:00~21:00(月曜は昼のみ)
土日祝 11:00~14:00、18:00~20:00
*木曜〜土曜の夜は『麺処 ゆうき』としても営業
【定休日】月曜の夜、火曜
【最寄り駅】
JR学研都市線(片町線)「鴻池新田」駅から徒歩約13分
※新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止策により、営業日・営業時間・営業形態などが変更になる場合があります。詳しくはお店の公式ツイッターをご確認ください。
<ライタープロフィール>
だいち Daichi
大阪府在住。年間300食以上を食べ歩くラーメンインスタグラマー。普段はバイク移動をしており、美味しいラーメンを求めて気の向くままにラーメン店巡り。仕事柄出張が多いことから、Instagramには全国のラーメンをポストしている。
本人Instagram @ramentimes
Twitter @elground7s