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海外のSNSで略語が多用される理由、「IDK」「ASAP」ってなんだ?

2020年07月03日 06時00分更新

文● 伏木賢一(ダイヤモンド・オンライン

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Photo:123RF

英語学習の際に次のような“素朴な疑問”を感じたことはないでしょうか?「knowやknifeの「k」は読まないのになぜあるのか」「なぜgoの過去形はwentになるのか」…。実は学校でなんとなく習った英語のルールには必ず理由や背景があります。大人になって英語を学び直す場合、ただ知識を暗記するよりも、単語や文法への疑問を解決することでより頭に入りやすくなるでしょう。そこで今回は、翻訳家・伏木賢一氏監修の『英語のなぜ?がわかる図鑑』(青春出版社)から、学校では習わない英語にまつわる「なぜ?」を紐解いていきます。

英語には本当に「敬語」はないのか

 日本語には敬語表現があります。「です・ます」調の丁寧語、「見る」を「ご覧になる」とする尊敬語、「言う」が「申す」に変わる謙譲語などの表現です。一方、英語には、尊敬語や謙譲語に相当する表現はありません。

 その理由は、イギリスやアメリカの社会では、社会的地位や年齢による上下関係の意識が希薄だからと考えられます。例えば、brotherやsisterは兄か弟か、姉か妹かを区別しません。年齢の上下を問題にしないのです。

 ただし、英語に尊敬語や謙譲語はないといえますが、丁寧な表現はあります。例えば、

Lend me three thousand yen.(3000円、貸してよ)
Could you please lend me three thousand yen?(3000円、貸していただけませんか?)
I was wondering if you could possibly lend me three thousand yen?(3000円を貸していただけたらとお願いしても、お気を悪くされませんか?)

 こういった丁寧さの度合いが異なる何種類もの表現があります。ただし、目上の人には丁寧な英語で話すのがマナーかといえば必ずしもそうではないようです。英語の丁寧語は「相手との距離感」を示します。やたらと丁寧語を使うと、距離を置きたいがために、わざと丁寧な言葉を使っていると勘繰られることもあるようです。

 ようは、日常生活においては社会的立場や年の差を気にせずフランクに話し、フォーマルな場面では、例えば大統領にはsirを、軍隊でも上官への返答にはsirを使うなどTPOに応じて丁寧語を使うと考えてよさそうです。

英語で「丁寧」に言いたいときに使えるフレーズ

 また、相手に「礼儀正しい」印象を与える丁寧な表現があります。

 例えば、何かを依頼するとき、

Would you do me a favor?(お願いがあるのですが)
I was wondering if you could do me a favor.(ひとつお願いしてもよろしいでしょうか)

 と、ひと言添えるだけで相手への印象が変わります。

 また、相手に「~してはいかがですか」「~するといいかもしれません」と丁寧に提案するシーンはよくありますよね。そんなときは、maybeで表現できます。

Maybe you could take a bus.(バスに乗ったらいかがでしょう)

 主語をweに変えると、

Maybe we can have lunch.(よかったら、お昼、一緒に食べませんか)

 と、控えめなお誘いでも使えます。

「know」(ノウ)の「k」を読まなくなった背景とは

 英語には、書いても発音されない「黙字」があります。例えば、know(ノウ)やknife(ナイフ)のkは黙字です。kを読まない単語には、ほかにも「膝」を示すknee(ニー)、「編む」という意味のknit(ニット)などがあります。

 単語の末尾につく黙字もあります。櫛のcomb(コウム)、登るのclimb(クライム)、子羊のlamb(ラム)などの末尾のbも読みません。

 kとbでは、「kは後ろにnがつく」「bは前にmがつく」と発音しなくなります。実際に声に出してみると、kが後ろに続くnの発音に取り込まれてしまったり、「bをブ」と発音すると読みにくかったりします。だから、読まれなくなったのです。

 ではなぜ、発音されない字が書いてあるのでしょうか。その理由は、単語の語源を辿っていくとわかってきます。例えば、know は、もともとインド・ヨーロッパ祖語のgno(知る)を語源としています。gnoはギリシャ語で「知識」を意味するgnosis(グノシス)の語源でもあります。そこから派生した古い英語のcnāwan がknowの直接の語源ですが、cnāwanでは冒頭のcを「ク」と発音していました。

 つまり、もともとは発音されていたのです。だから、cがkに変化してknowとなった今でもkが残っているのです。

 なお、kやb以外にも黙字があります。writeのw、「しばしば」という頻度を示すoftenのtなどです。これらも「発音しにくい」「聞こえにくくなってしまう」といった理由から読まれなくなった黙字です。ただし、oftenのtは、最近になって、おもにアメリカ式英語で読まれることが増えてきているようです。

「IDK」や「ASAP」…海外のSNSで略語がよく使われるのはなぜか

 海外のSNSなどを見ていると、sry、sup、IDKなどの略語を目にすることがあります。sry(srry)はsorryの略で「ごめんね」、supはWhat's up?で「元気、調子はどう?」、IDKはI don't knowで「わかりません」。他にもよく知られているのはASAPです。

I need it ASAP.(大至急でお願いします)

 などと使います。ASAPは、as soon as possible の頭文字を取った略語で、「できるだけ早く」です。

 こうした略語について、「スマートフォンの普及でよく使われるようになった」と説明されることもあるようです。これも理由の1つではありますが、アメリカでは1930年代、ルーズベルト大統領の時代から略語が広く使われていました。世界恐慌からの脱却を目指したニューディール政策で、テネシー川流域開発計画がTVA(Tennessee ValleyAuthority:テネシー川流域開発公社)により実施され、当時の新聞にはTVAの文字が何度も登場。頭文字をとって略語にする文化が定着したとされています。

 略語文化が定着していた上に、インターネットやスマートフォンの普及で人々が日々やり取りする情報量が増えました。そこで、簡略化できる言葉はできるだけ簡単にしようと、略語が多く登場してきたといえるでしょう。

 ちなみに以下の略語、わかりますか?

RSVP
BYOB

 RSVPはフランス語のRepondez s'il vous plait(お返事をお待ちします)の略、BYOBは、bring your own bottle(booze, beer)で、パーティーなどで「お酒は各自でご用意ください」という意味です。

※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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