1チャンネルに最大20社が参加しコラボレーションできる新機能が登場、メールからの解放を狙う
SlackのCEOに聞いた、新発表「Slackコネクト」の狙いと意義
2020年06月26日 07時00分更新
米Slack Technoogiesは2020年6月25日、新機能「Slackコネクト」を発表した。取引先やパートナー企業、グループ会社など多数の組織間でSlackチャンネルを共有し、安全かつ生産的なコラボレーション環境を提供する。これまで主に社内のコラボレーションツールとして利用されてきたSlackのポジショニングが、大きく変わる可能性も秘めている。
今回の発表にあわせてSlackの共同創業者兼CEO、スチュワート・バターフィールド氏にオンラインインタビューができたので、Slackコネクトを開発した狙いや提供する意義について聞いた。バターフィールド氏自身も、すでに他社トップらとの意見交換などにSlackコネクトを活用しているという。Slackコネクトの機能概要と共に紹介しよう。
1つのチャンネルに最大20社まで参加可能、同時にセキュリティも実現
Slackコネクトは、昨年一般提供を開始した「共有チャンネル(Shared Channel)」を拡充した、組織の壁を超えて安全にやり取りできる最新機能となる。Slackの有料版ユーザーであれば利用でき、1つのチャンネルを最大20社/組織で共有して、社内と同じようにチームコラボレーションを進めることができる。これまで社外とのやり取りで使わざるを得なかった“メールからの解放”が最大の狙いだ。
「これ(Slackコネクト)を使うことで社外パートナー、顧客、ベンダーなどとの会話をすべてメールからSlackに移すことが可能になり、ビジネスコラボレーションを次のレベルへと進化させます」(Slack公式ブログより)
異なる企業間のコラボレーションとなると、気になるのがセキュリティやコンプライアンス、ガバナンスである。Slackコネクトでは、すでにSlackが備えるエンタープライズグレードのセキュリティ/コンプライアンス機能が提供される。
具体的には、メッセージ/ファイルの暗号化鍵を管理し、アクセス権限を細かく制御できる「Slack Enterprise Key Management(EKM)」(今夏より提供予定)、データ損失/情報漏洩防止(DLP:Data Loss Prevention)、監査対応のためのeDiscovery(電子情報開示)、データ保持(リテンション)といった機能だ。これまでメールや非公式なメッセージングツールなどに分散していた社外パートナーとのやり取りが1カ所(1つのチャンネル)にまとまるため、監査担当者の業務効率も高まる。
また、Slackコネクトではさまざまなアプリも企業の枠を超えて利用できる。たとえば、今後リリース予定のOutlook、Googleカレンダーとのインテグレーションを利用することで、各企業から参加するメンバー全員の予定をさまざまなカレンダーアプリからチェックし、会議ができる時間を提案してくれるという。
Slackでは、およそ3カ月前からSlackコネクトのパイロット版を提供してきた。たとえば欧州の飲食店がデリバリー事業者と連絡をしたり、米国の大学どうしがコロナ禍でどのように授業を進めるのかのノウハウを共有したりといった用途で使われている。日本でも、大手ファストフードチェーンが複数の広告代理店とオンラインチームを作成するなどの活用事例があるという。