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GWF-A1000 開発者インタビュー

G-SHOCK「FROGMAN」初アナログモデル誕生の背景とブレイクスルー

2020年06月19日 10時00分更新

文● 太田百合子 編集●飯島恵里子/ASCII

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「FROGMAN」の新モデル「GWF-A1000」。文字盤には、スマホからの設定で任意のポイントの潮汐情報を表示できるタイドグラフと、ディアルタイム(世界時計)が配置されている。それ3時側の小針には、立体感のあるデザインが採用されているのも、アクセントとなっている。6月19日発売予定

 カシオ計算機から「G-SHOCK」のダイバーウォッチシリーズ、「FROGMAN」の新モデルがリリースされる。6月19日発売予定の「GWF-A1000」は、シリーズ初となるアナログモデル。スマートフォンとのリンク機能も備えるなど、今までにない製品となっている。アナログ時計としてできることはほぼ全部詰め込んだという、最新FROGMANに込めたこだわりを開発チームに聞いた。

ダイバーウォッチはなぜハイスペックが求められるのか?

 1983年にスタートしたカシオの「G-SHOCK」には、「MASTER OF G」と名付けられた最高峰のシリーズがある。空をターゲットとする「GRAVITYMASTER」、陸をターゲットにする「MUDFMASTER」や「RANGEMAN」、そして海をターゲットにするダイバーウォッチシリーズがFROGMANだ。

 1993年にスタートした同シリーズは、さまざまな新技術を取り込みながら進化を遂げてきた。1995年には初めて素材にチタンを採用し、1999年には小型化に成功。2009年には電波&タフソーラーを採用することで、電池交換の呪縛からも解放されている。さらに2016年には海上保安庁などプロのニーズに応え、水深計と方位計を搭載した高機能モデルもリリースしている。

 そして2020年に登場することになったのが、シリーズ初となるアナログモデル「GWF-A1000」だ。強化樹脂を用いたカーボンモノコックケースを採用することで、タフソーラーやマルチバンド6の電波受信機能、Bluetoothを搭載しながらケースサイズ56.7×53.3×19.7mm、重さ119gというサイズ感を実現している。

 通称、ダイバーズウォッチと呼ばれる腕時計はダイバーの命にも関わる製品だけに、その要件がISOやJISといった規格で細かく定められている。少なくても水深100mの潜水に耐え、その1.25倍の水圧に耐えられることや、潜水時間を管理できる機能を備えていること。暗所においても時刻や動作を視認できること、水中でもボタン操作が可能なこと等々。中でも潜水時間の管理は、ダイバーにとっては特に重要。潜水中体内に取り込まれた窒素は、十分な水面休息時間を確保しなければ排出されない。窒素が残留した状態で再度潜水する場合は、その時間管理が命に関わるからだ。

 つまりダイバーウォッチにおいては、防水や耐圧、耐衝撃性といった厳しい条件クリアするのと同じくらい、水中での時間管理のしやすさ、わかりやすさが重要だということ。FROGMANシリーズもそうだが、高性能なダイバーズウォッチにデジタル式が多いのは、デジタルなら多くの情報を表示できるからだろう。ではアナログモデルの「GWF-A1000」はどうか?

FROGMAN初のアナログモデル、2つの技術的ブレイクスルー

 製品の企画を担当した開発推進統轄部 プロデュース部の牛山和人さんは、FROGMAN初のアナログモデル誕生の背景には、2つの技術的ブレイクスルーがあったと話す。

 「ひとつは今やカシオのアナログ時計の特徴のひとつとなっている、時針と分針が独立して動く機構の採用です。従来のアナログ式のダイバーウォッチでは時針、分針は連動して動くのが当たり前。回転ベゼルを分針にあわせて、そこからの経過時間で潜水時間を把握するというのが一般的な方法でした。「GWF-A1000」では敢えて回転ベゼルを使用せず、時針と分針にそれぞれ正転、逆転ができる独立したデュアルコイルモーターを採用しています。これにより、アナログ式でもクイックなモード切替を実現しました」

開発本部 チーフ・エンジニア 牛山和人さん

 その言葉通り「GWF-A1000」では「ダイブモード」に切り替わると、時針と分針が素早く回転して12時の位置に揃い、1本の針となる。この針がどのくらい進んだかで、潜水時間を容易に把握できるしくみで、視認性は抜群に良い。なお「ダイブモード」中、時刻は8時の方向にあるサブダイヤルに表示。

ダイビングモード(3時位置の小針がDを差す)では時針、分針が重なって1つの針として動作することで、視認性を高めている

 牛山さんによれば平時はデュアルタイム(世界時計)を表示するこのサブダイヤルにも、デュアルコイルモーターが使用されているという。さらに水面休息時間中には秒針が逆回転し、インターバルタイムの計測中であることがひと目でわかる工夫もされている。

 「情報の一覧性の高さは確かにデジタル式のメリットですが、アナログ式には経過時間を質量として直感的に把握できるのメリットがある。時計にはデジタルもあればアナログもあるので、選択肢として提示したかった」と牛山さんはいう。

 「もうひとつの大きなブレイクスルーとなったのが、昨年春に「GRAVITYMASTER」シリーズの「GWR-B1000」で初めて採用した、カーボンモノコックのケースです。カーボン繊維を練り込んだ器型の強化樹脂ケースなのですが、高い防水性と強度を持ちながら軽い」(牛山さん)。

 FROGMANも含めて、ダイバーウォッチではメタルケースにねじ込み式の裏蓋を採用するものが多いが、重さとコストが長年の課題だったという。同ケースを採用した「GWR-B1000」は、昨年IFデザイン賞を受賞。これをFROGMAN初のアナログモデルにも応用した。

GWF-A1000はカーボン製モノコックケースを採用

 「裏蓋のない器型のカーボン製モノコックケースを採用することで、水が侵入する可能性のある箇所を減らせます。しかも最強の樹脂素材なので、金属でなくてもISO200m潜水用防水に対応できる。これは大きな進歩です。一方でデザイン面ではこれまでとはまったく違う構造のため、難しいチャレンジも多かった」と平山さんは振り返る。

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