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アメリカの制裁、ライバルの台頭、楽天モバイル、ウィズコロナ、ZTE復活までのストーリー

2020年06月11日 10時00分更新

文● 佐野正弘 編集●ASCII

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 かつて2画面の折り畳みスマートフォン「M」や、低価格で個性的なスマートフォンを日本市場に投入していた中国のZTE。2018年に米国から制裁を受けたことで国内での新製品投入が滞っていたものの、既に制裁は解除されており、5Gを機としてキャリア向けにスマートフォン新製品の供給を積極化している。

MWC 2019で発表された「Axon 10 Pro 5G」

 そのZTEの国内における制裁後の動向と、今後の端末事業に関する取り組みについて、日本端末事業部CEO/博士の王旗氏と、モバイルターミナル事業部 副社長の黄凱華氏に話を聞いた。

ZTEの日本端末事業部CEO/博士である王旗氏

ZTEのモバイルターミナル事業部 副社長である黄凱華氏

キャリア向けを主体に端末の数と質で勝負

──御社は2018年に米国からの制裁を受けたことで事業に大きな影響が出ましたが、それ以降の状況について教えて下さい。

王氏 ご指摘通り、2018年に制裁を受け一時的にビジネスができない状況がありました。ですが制裁はすぐ解除されていますし、弊社の戦略も制裁以前から変わっておらず、世界中の部品メーカーと公平な競争をベースとしたサプライチェーンを構築しています。

 また、端末を投入する地域も大きく変わってはいません。ブランディングの構築が若干遅れるなどの影響はありましたが、日本だけでなく米国や中国などでもキャリアとのビジネスを推進しており、端末も徐々に増やそうとしているところです。

米国の制裁を受けて以降長らく日本市場でのスマートフォン供給が途絶えていたZTEだが、2019年11月にY!mobileから「Libero S10」が発売され、復活をはたしている

──日本に関して言えば、米中摩擦の影響もあってインフラやWi-Fiルーターなどの政府調達から実質的に中国企業が排除されている状況です。端末事業に関してその影響はありますか?

王氏 政府機関に向けた事業は元々シェアが小さいので、端末事業に関して影響はあまりありません。

──また制裁前後にかけて他の中国メーカーが日本に進出しており、コストパフォーマンスを武器にキャリアへの供給を実現するなど競争も激化しています。そうした状況下で、どのような戦略をもって端末販売を拡大しようとしているのでしょうか。

王氏 基本的な戦略は制裁以前と大きく変わっていません。中国は(SIMフリー端末が主体の)オープン市場をメインに展開していますが日本は成熟しており、キャリアが中心の市場で、海外では強いブランドを持つ企業であっても日本のエンドユーザーの心を奪うのはなかなか難しい。

 弊社の端末事業は制裁前から8~9割をキャリア向けのビジネスに集中してきましたが、現在もそこは大きく変えておらず、スマートフォンだけでなく幅広い製品をキャリア向けに提供していく考えです。日本のキャリアはエンドユーザーに向けた安心・安全を求める傾向にあることから、弊社ではこれまでの経験を生かし、端末の品質管理やアフターサポートに力を入れることでの信頼獲得に力を入れています。

 弊社としては自社の強いブランドを作るよりも、安心・安全であることを打ち出していきたい。まずは端末の「数」と「質」に重みを置き、ブランディングは徐々に打ち出していくというのが弊社の考え方ですね。

再び「M」のようなチャレンジはあるのか

──2019年10月の電気通信事業法改正によって、スマートフォンの大幅値引きに規制がかけられたことから、キャリアは低価格のスマートフォンを多く調達する傾向が強まっています。

王氏 確かに法改正の影響から、端末のコストパフォーマンスに対するリクエストが以前より強くなっていると感じています。弊社はグローバルに端末を販売しているスケールメリットを持つことから、その強みを生かして低価格の端末を投入し、販売台数を増やしていビジネスを拡大していきたいと思っています。

──ただ御社の最近のラインアップを見ると、海外モデルをそのままに近い形で投入することで低価格を実現する傾向にあります。かつての「MONO」や「M」などのように、日本市場向けのオリジナルモデルを再び提供する考えはありますか?

黄氏 そうした取り組みは継続的に実施しており、ギブアップはしていません。スマートフォン以外であれば最近でもソフトバンク向けの「どこかなGPS」などを提供しています。キャリアと協業して市場に端末を提供していく考えは変わっていませんし、(中国の)本社もそれをサポートしています。

ソフトバンクから販売されている5Gスマートフォン「Axon 10 Pro 5G」。2019年に海外で販売されたモデルをベースに、チップセットなどを変更して提供することで、ハイエンドながら現在は7万円台と比較的安価に提供されている

──Mのような独自性のある端末の投入にも期待しています。

王氏 ウィズコロナ時代にはリモートワークが増え、テレコミュニケーションの利用が一層広がることから、多彩な形で端末を市場に提供していきたい。遊びで端末を出すことはしませんが、先進的なのものはラボでの展示によるアピールだけでなく、エンドユーザー向けや法人向けなどで市場性があるかどうか、売り方を含めキャリアと一緒に考えていきたいと思っています。

2017年にはドコモと共同で、2画面ディスプレーを用いた折り畳み型スマートフォン「M」を開発し、大きな話題となった

──国内では5Gのフラッグシップモデルとして「Axon 10 Pro 5G」を投入しましたが、海外では既に次世代モデルの「Axon 11 5G」が提供されています。こちらの提供予定はありますか?

黄氏 そのまま出す予定はありませんが、キャリアのニーズに応じてそれをベースにしたものを提供したいと考えています。また中国では、2020年6月1日から安価な「ZTE Axon 11 SE 5G」も発表していることから、日本で5Gを普及させるミッションとしてこちらをベースにしたものも投入できればと考えています。

中国では新しい5Gスマートフォンの「Axon 11 5G」シリーズを提供。何らかの形で国内向けに投入されることが期待される

5Gや楽天モバイルに向けた取り組み

──日本では5Gの商用サービスが始まったばかりですが、どのような印象を受けていますか?

王氏 率直に言いますと、技術は持っているものの非常に慎重に展開している印象を受けます。新型コロナウイルスの影響もあることから、その影響を見ながら進めている感じでしょうか。

 ウィズコロナ時代を迎え、東京五輪以降も5Gは重要なインフラになると思いますので、より速く推進していく必要があると考えています。ですが、大手キャリアも水面下で拡大に向けた準備を進めていると思いますので、その進展状況に応じて端末だけでなく、さまざまな形で取り組みを推進していきたいと考えています。

──先程「どこかなGPS」の話がありましたが、スマートフォン以外の、たとえばIoT関連デバイスなどに関してはどのように取り組んでいこうと考えていますか?

黄氏 プロダクトラインを確保するという意味でも、スマートフォンやWi-Fiルーターに限らずさまざまな製品を出していきたいですね。どこかなGPSはその第1弾となりますが、今後もキャリアと組んでニーズのあるマーケットに向けた製品を出していこうと考えています。

2020年3月にソフトバンクから販売されている「どこかなGPS」。GPSなどを利用して位置情報を確認できる小型端末で、子供の見守りなどの利用を想定したものになる

──キャリアという意味でいえば、2019年には国内で新たに楽天モバイルが参入しています。楽天モバイルに関する取り組みはいかがでしょう?

王氏 弊社では特定のキャリアと連携している訳ではありません。幅広い消費者に貢献できるのであれば相手に関係なく貢献できればと考えています。

──ありがとうございました。

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