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ドゥテルテ政権で浄化?韓流化が進むフィリピン最大の歓楽街の未来

2020年06月04日 06時00分更新

文● 筑前サンミゲル(ダイヤモンド・オンライン

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フィリピンの最大の歓楽街で
韓流化が加速

  フィリピン最大の歓楽街アンヘレス(クラーク)が韓流化したといわれて久しくたつ。しかもその流れは近年、さらに加速している。

「韓流化によってクラークの遊び方、文化そのものが変わった」と話すのは、18年前、著者にクラークの文化を教えてくれたS氏だ。S氏は古希を超えた最近でも毎年のようにクラークへ通っていたそうだが、ここ数年、訪問ペースが落ち、タイのパタヤへ“浮気”している。

ウォーキングストリート、クラーク国際空港から20分ほどと近い Photo by San Miguel Chikuzen(以下同)

 クラークはフィリピンの首都マニラの北85kmほどの場所にある街で、かつては米軍のクラーク基地があった。西側には、1991年に「20世紀最大の噴火」として日本でも報じられた、ピナツボ火山がそびえ立っている。

 クラークは、クラーク基地のお膝元として軍人向けに発展した。今ではタイのほうが有名だが、「ゴーゴーバー」発祥の地だったりもする。

 歓楽街は、クラーク国際空港まで続く直線の道に沿って広がる。もっともにぎやかなのは、フィールズ通りの入り口に位置するウォーキングストリートとなる。

 ウォーキングストリートから500m圏内に50~60軒のバーが密集する。さらにその先のプリメタと呼ばれるエリアにもローカルバーが点在する。

バーの経営体制から店内の音楽まで
街の文化も変化

 著者が初めてこの地を訪れたのは2002年。当時も、韓国人観光客は日本人よりもはるかに多かった。その理由は、近くのクラーク国際空港に韓国からの直行便があるからだ(当時、日本からはなかった)。18年にフィリピンを訪れる日本人がようやく60万人を超えたのだが、韓国人訪問者はその2年前の16年の時点で100万人を超えており、その差は2倍ほどになる。02年当時から、韓国人男性にネグレクトされた「コピノ」が社会問題になっていた。

巨大ショッピングモールSMクラーク

 この街で韓流がいったいどのくらい進んでいるのか。確実な情報は把握しづらいが、20年以上前、日本に住んでいたことがあり、現在はクラークでバーのチーママをしているリサさんはこう語る。

「クラークでは、おおよそ半分のバーで韓国人が経営に関わっており、約3分の1のバーは韓国資本、あるいは韓国人経営と聞いていますよ。近年、取り締まり強化の度にフィリピン人オーナーが撤退し、彼らに代わり韓国人オーナーが増えていきました。コリアンタウン状態ですよね」(リサさん)

 変わったのは経営者だけでない。元々クラークを訪れる客は、アメリカ人のほか、ドイツ人やイギリス人などの西ヨーロッパが中心だったので、流れる曲はウェスタン、ユーロビート、英語の音楽が主流だった。しかしこれが、K-POPに変わった。

ハングルの看板や韓国料理店も多い

 また、クラークは酒と音楽を楽しむ文化だったので、ショーで客を楽しませる風土が根付いていたのが韓流化ですっかり変わった、と語るのは前出のS氏だ。

「韓国は、アンヘレスに風俗店スタイルでも持ち込んできたんじゃないかと思う。店内で音楽を楽しんだり、ゆっくり飲めたものではない」(S氏)

 韓流スタイルが入ってくることにより、ステージショーや接客などは簡素化された。現在では、韓流が主流になりつつある。だが、もしかすると働く女性にとっては、韓流のほうが楽なのかもしれない。

 19年11月のクラークでは驚きの店名を目にした。バンコクやパタヤで日本人に人気のバー「BACCARA(バカラ)」だ。

パタヤ店と姉妹契約しているという人気バー「BACCARA(バカラ)」

 この場所には、かつて「ブルーナイル」というエジプトをコンセプトした中型店があったが、その後、店名をいくつか変えていた。19年4月のときにはなかったので、昨年夏以降にできたと思われる。

 2階もある店は居抜きで使用されていた。女性スタッフがもっとも多い夜6時ごろだと、2階まで韓国人客中心ににぎやかだ。

 フィリピン人男性マネジャーによると、パタヤのバカラと提携しているとのこと。本当かどうか定かではないが、そもそもバンコクとパタヤのバカラも姉妹店ではなく資本関係もないらしいので、名前だけ有料で借り受けているのかもしれない。

 店の看板をよく観察すると、タイのバカラのロゴとデザインが違っている。現在の“本家”ロゴは、もっと細いフォントでデザインされており、クラーク店のデザインとは見るからに違うことが分かる。

ドゥテルテ政権化で浄化の可能性?
クラークで起きている変化

 韓流化が進むクラークではあるが、ここ2~3年、活気が失われている。その理由の1つには、ドゥテルテ政権による治安の改善と経済状況の好転がありそうだ。特に首都マニラでの雇用が増えていることもあり、クラークからマニラへ、より高収入の仕事を求めて移動する女性が増えているのだ。

「一緒に10年近く働いていた南部ダバオ出身のチーママが昨年、マニラの別のバーへ転職しています。給料が1.5倍になったと私も誘われています」(前出のリサさん)

 さらにフィリピン政府は、クラーク国際空港をハブ化させて、クラークを重要都市として発展させる政策を打ち出している。そのため再び歓楽街の浄化作戦を始めるとのうわさも流れている。クラークはこれ以上、歓楽街としての発展は望めないのかもしれない。

 とはいえ、以前のクラークの文化を知らず、今、初めて訪れたのであれば、会話不要で楽しめる韓流スタイルのほうが、日本人からすると遊びやすいと感じることも少なくないと思われる。

 今では、クラーク国際空港へは、関西空港(「ジェットスター」)に続き、2019年には成田空港(「セブパシフィック航空」)からも直行便が就航している。

(筑前サンミゲル/5時から作家塾®)

※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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