Windows 10の次の機能アップデートである、20H1こと「May 2020 Update」(Windows 10 Ver.2004)の完成が近づいてきた。こうした時期は、Windows Insider Programに参加したり、離脱するのにいいタイミングである。そこで、今回は、Windows Insider Program(以下、WIP)への参加や離脱、あるいは参加リングの変更の方法などについて解説することにしよう。
そもそもWindows Insider Programって何?
WIPとは、Windows 10のプレビュー版を利用できるようにするためのマイクロソフトの活動である。サービスといってもいいかもしれないが、必ずしもメリットがあるわけでもない。だが、WIPに参加することで、次期Windowsやさらにその先のWindows 10に搭載される(かもしれない)機能を試すことができる。
一方で、製品としての安定性はなく、ビルドや機種によってはシステムが起動しなくなることもあり、リスクは小さくない。このため、日常的に利用するPCでは参加しないほうが身のためだ。基本的には用途がない“空いている”PCで参加するのが原則だが、今月のように次期バージョンのリリースが近くなると、完成度も上がっているため、一時的に参加して、先に次期バージョンを使い始めることも不可能ではない。
ただし、このWIPにPCを参加させることは簡単だが、離脱するのは案外大変だ。今月のように次期バージョンが配布されるタイミングなら、設定により正式版の配布とともにWIPから離脱する設定が利用できるが、それ以外のタイミングだと、Windows 10を再インストールする必要がある。また、このときにバージョンが戻ることになるため、インストールしたアプリケーションやデータを一切引き継ぐことができないという問題もある。
WIPに存在する3つの「リング」
WIPには、配布されるプレビュー版の種類や更新タイミングなどが異なる3つの「リング」がある。このリングは、昨年秋のアップデート(November 2019 Update、Ver.1909、19H2)以降、役割が変更になった。現在の役割は、以下の表のようになっている。
Fast Ringは、次期Windows以降に搭載される新機能を載せた「開発版」のWindows 10を配布する。配布周期は1週間程度だが、年末や夏休みなど米国の休日シーズンには止まることもある。ある意味最もWIPらしいリングだが、他のリングよりも安定性に欠け、システムが起動しない、利用が困難になる、動作が安定しない場合がある。
大体1年に1回ぐらいは、動かないといった問題が出るような感じである。とはいってもすべての機種が動かなくなるのではなく、特定のハードウェアに関係することが多く、実際にそんなトラブルに出くわすかどうかは運次第といったところか。
これに対してSlow Ringは、次期バージョンのWindows 10のプレビューがなされるリングだ。今月中に一般向け配布が開始されるという20H1は、すでにSlow Ringでの配布は終わりつつある。“つつある”というのは、開発状況によっては、後戻りが入る可能性があるからだ。
配布直前には、後述するRelease Preview Ringに次期バージョンのWindowsのプレビュー版配布が移行されるのだが、場合によっては、大きな問題があるなどして、SlowRingでもう1回プレビューされることになる場合がある。実際、20H1では、Relese Preview Ringでの配布が4月16日に始まり、Slow Ringでの配布が止まるのかと思わせたが、今週配布されたBuild 19041.164は、Release Preview RingだけでなくSlow Ringでも配布されている。
Relese Preivew Ringは、Slow Ringで完成に近づいたバージョンのみを配布するリングだ。ある意味、正式版に近いものなので、他のRingよりは安定しているが、配布が始まるのは一般向け配布の直前なので、1年の大半の時間はただ待っているだけの状態。WIPとしては、最もつまらないRingだともいえる。
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