■「小型の割に」と言える演出ぜんぜんナシ
77mmのフルレンジ1発構成で、パッシブラジエーターのような低域を拡張する仕組みはない。エンクロージャーは密閉型で、シールドの素材は透明なガラスだが、これがグラススピーカーのように振動するわけでもない。あくまでも振動板はフルレンジのコーンのみ。
ユニットは上を向いているのにディフューザーも付いていないから、解像感やら帯域バランスには目をつむる方針のようだ。メーカーでは「低音は下方から、高音は頭上から、そしてボーカルは目の前から聞こえてくる」と言っているが、音は周波数が高いほど直進し、低くなるほど広がりつつ進むから、上を向いたスピーカーであれば、放っておいてもそうなる。
何も聞かなかったことにして、音だけを聴いてみよう。
良いと感じたのは、起動音だ。フラットワウンドのようなエレキベースの音だが、素晴らしいのは、この起動音の大きさとボリューム設定が連動していること。そこら辺のBluetoothスピーカーは、電源を入れるといきなり大音量でギターのコードが鳴ったりするから、深夜に使うのが怖い。そこへ行くとボリュームを絞ってオフっておけば、恐れることなく電源が入れられるのだから、これは素晴らしい。
しかし音に関して全面的に賛同できるのは、そこだけだ。