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多様なコラボで知名度アップを図る! 「サガプライズ!」にみる地方活性化の一つの形

2020年02月16日 12時00分更新

文● MOVIEW 清水、編集● ASCII

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サガプライズ!は、地方活性化への取り組みで
参考にすべきことが多い

 日本は都市部への人口集中により、地方の空洞化などが問題となっている。実は筆者は、ISPやポータルサイトにお花見情報や紅葉情報といった季節コンテンツと呼ばれる情報を提供したり、大手ISPの旅行サイトのコンテンツの企画・制作などを行なってきた。そうした中で、地方自治体と協業したり、観光従事者向けの講演といった機会もあったのだが、東京の事業者が地方自治体との取り組みをする際、いくつかのハードルが存在する。それは、その地域の理解によるところが大きい。

 たとえば、事業の入札には地元企業でなければならない、あるいは優先させる必要があり、その地域以外の事業者が参入しづらいということがある。極端なところでは、アイデアだけ採用されて一銭にもならなかったといったこともあったくらいだ。また予算という点では、自治体の予算は単年であり、申請が通ったとしても実施できるのは翌年で、タイミングが取りづらく、複数年にわたるようなプロジェクトを遂行するといった難しい要素が多々ある。こうした事柄をクリアし、長年に渡ってプロジェクトを続けているサガプライズ!には、参考にすべき点が多数存在する。

左からサガプライズ!プロデューサー 大塚峻氏とプロジェクトリーダー 吉武幸司氏

 まず地域活性化を考える際、通常は観光課や流通課、あるいは商工会といった組織が担当する。そうした場合、観光客の人数や商品の売り上げ、販路の開拓といったことに目標が置かれてしまうが、サガプライズ!は広報課が担当し、その先に観光や流通があるといったスタンスになっている。もちろん成果目標は定めなければならないが、県の判断として広報を向上させることが重要視されている。まず知ってもらう、メディアにいかに取り上げてもらえるかという視点があり、そのプロジェクトにいかにして県の情報をはめ込んでいくかが最大のミッションだ。

 もちろんサガプライズ!がここまで続けられたのは、ひとつひとつのプロジェクトを積み重ねてきた結果だ。最初から今のような運営ができたわけではなく、議会を通したり、県庁内や佐賀県民の理解を得るには時間を要したはずだ。しかし、現状では総合計画という形で、知事の任期が4年であれば4年間取り組むという計画で行なわれることによって、最低でもその期間の継続性が担保されていることもプロジェクトの実施しやすさにつながっている。

 また理解という点では、県のホームページをジャックするといった大胆な施策ができるほどに理解されているというのに驚かされる。県や市のホームページはそこに住む方々への情報が主体となっており、多くの場合は知事や市長の挨拶がメインに置かれ、観光系はその片隅だったり、別サイトになっているケースが見られる。当然それぞれの運営はバラバラで単にリンクでのみ繋がっており、真の意味でリンケージされていない。そうしたところに踏み込んでアグレッシブに行動できるのはとてもいいことであり、さらに観光や流通といった情報を包括し、トータルで取り組める体制になっているのだ。

サガプライズ!東京事務所に赴任することで、初めて佐賀を出たという大塚氏

 そして、その拠点を東京に置いていることも成功の大きな要因だ。サガプライズ!は首都圏における知名度向上を目的としたプロジェクトであり、ターゲティングがしっかりとしている。観光従事者と話をすると、地域の観光資源を漠然とアピールする話がとても多い。

 自分の地域にある観光資源をウェブページでアピールするだけで終わってしまうことが多く、マスに発信できるだけのパワーがないのにマスターゲティングを実施しているケースをよく見かける。サガプライズ!では東京の企業の力を借りて、東京向けに情報を発信するという目的が明確にされているので、アピールするべき人に対してきちんと情報発信できている。

 これだけネットワークが発達した時代になっても、やはりムーブメントという点では地方では一拍情報が遅れるが、東京に拠点を置いてリサーチしたり、東京の企業と話をすることで旬を逃さないという利点もある。その上でプロジェクトを作り、それを東京でやるのがいいのか佐賀県内でやるのがいいのかも含めてフレキシブルに検討し、必要であれば佐賀県内の情報を引っ張ってきて織り交ぜることができる体制作りも大きな特色だ。観光課であれば送客ばかりに主眼が置かれ、こうした取り組み方はなかなかできないだろう。

サガプライズ!がここまでなれたのは、このプロジェクトを育ててきた先人たちのおかげと語る吉武氏

 最後に吉武氏から「これからもコラボという手法を続けていきながら、進化・変化していくメディアの状況などを見つつ、柔軟に対応していけるようにしたい。1つのことにこだわりすぎないで、どうしたら佐賀のことを知ってもらえるかという観点から、さまざまな方法を行ない、佐賀というのはこれだけすごいんだと思っていただけるようにしていきたい。機動力を持っていろいろなことにチャレンジしていきたい」というコメントをいただいた。

 サガプライズ!は、その地域のことを大枠で捉えた上で、最初の入口である「まず知ってもらう」ことから始め、最終的に観光客の誘致や商業的なことへつなげていくというアプローチと、そこに至るために必要とされる各ステップの環境整備という点に参考にすべき視点や考え方が多く含まれているプロジェクトだと言える。地方活性化は、それぞれの地域の特色や地域性などもあり、一概にこの方法が正解ということはないが、参考にしてみてはいかがだろうか。

   

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