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BIMデータとAWS RoboMakerでロボット開発を加速

竹中工務店がAWS RoboMakerを活用して「建設ロボットプラットフォーム」を開発

2020年02月17日 07時00分更新

文● 重森大 編集●大谷イビサ

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 建設業界では現在、人材不足と高齢化が同時に進んでいる。完全週休二日制の導入や残業の削減など、働き方改革も進めて行かなくてはならない状況にあり、業務効率化やロボット活用が喫緊の課題とされている。竹中工務店はこうした課題を解決すべく、建設ロボットプラットフォームを開発した。開発に利用したのはアマゾン ウェブ サービス(AWS)のRoboMakerと呼ばれるサービスだ。

竹中工務店 生産本部 生産企画部の松尾 享氏

生産性の大幅な向上をロボットに託す建設業界

 建設業界の技術者は、これから10年で37%減少すると見られている。これに対応し、生き残っていくには、大幅な生産性向上が欠かせない。竹中工務店はそれをロボットに託そうとしている。たとえば終業後の時間にロボットが自動的に現場の清掃を行なったり、翌日の作業に向けて必要な資材を運送しておいたりしてくれれば、人間が行なわなければならない作業を削減できる。

 家庭の掃除機でさえ勝手に部屋の構造を学習して仕事をこなす現在、既存の技術だけでもロボットはある程度の自立行動ができる。しかし建設現場は作業の進捗により刻々と姿を変えるため、より高度で正確なコントロールが必要だ。まず竹中工務店 生産本部 生産企画部の松尾 享氏が、AWS RoboMakerを使う前の取り組みについて語ってくれた。

「これまでは、反射材を巻き付けたカラーコーンを使ってエリア指定する方法を試していましたが、現場の変化に合わせてカラーコーンを人間が移動しなければならないこと、柱の向こうなどカラーコーンを視認できない場所に設置できないことなど、限界がありました」(松尾氏)

 目印がなくても自律的に行動できるようにするには、地図データに基づいてロボットに行動指示を出す必要がある。そして、その地図データとして注目されたのが、BIMデータだった。BIMデータとはBuilding Information Modelingを略したもので、3次元の建物モデルに建設に関するデータを付加したもの。設計図に、使用部材や施工に必要なデータなどを付け加えたもので、単なるCADデータよりも情報量が多く、建設業務フローで幅広く使われている。

 そして、BIMデータを使ったロボット開発のプラットフォームとして竹中工務店は、AWSを選んだ。その理由のひとつは、開発、シミュレーションから管理までをカバーできる唯一のロボット開発プラットフォームであるということ。しかし、他にないから妥協して選んだわけではない。クラウドならではの広大なコンピューティングリソースを持ち、RoboMakerというロボット開発に特化したサービスを提供しているというのが大きな理由だ。

ロボット開発を加速させるAWS RoboMaker

 自律行動するロボットの開発では、できるだけ多くのシチュエーションを含んだ機械学習が必要になる。これまでは家庭用の掃除ロボットよろしく現場で学習していたのだが、これでは時間がかかるし、建設と並行しながら現場で学習するのは限界がある。そこで威力を発揮するのが、AWS RoboMakerという訳だ。そのメリットをAmazon Web Services, Inc. AWS RoboticsおよびAutonomous Services担当のロジャー・バーガ氏は次のように説明する。

「AWS RoboMakerを使えば、ハードウェアのテスト以前に想定されるロボットの動きをシミュレーションできます。現場はロボットからどのように見えるのか、現場をロボットはどのように動くのか。数多くのシチュエーションを並行してシミュレーションし、学習させることで、実際の現場に投入する前に動作を確認しながら開発できます」(バーガ氏)

Amazon Web Services, Inc. AWS RoboticsおよびAutonomous Services担当のロジャー・バーガ氏

 シミュレーター上では、実際のロボットの動作をチェックできるだけではなく、搭載するセンサーからどのようなデータを得られるかも確認できる。たとえばカメラ搭載ドローンの飛行プログラミングにおいては、カメラにどのような画像が映るのか、各種センサーでどのような数値を得られるのか、ということまでシミュレーションできる。AWSが用意したプリビルドのシミュレーション環境も多数あるが、自前の環境をアップロードすることもできるというのがポイントだ。竹中工務店は自社が持つBIMデータをアップロードして、建設中の現場と同じ環境をRoboMakerのシミュレーション環境として構築した。

「開発したプログラムや教科学習の結果は、現場のロボットに対してオンラインで反映できます。 ロボット単体はもちろん、グループ単位でソフトウェアの更新などを管理できます。現場にそぐわない場合はロールバックも容易です」(ロジャー・バーガ氏)

建設業界向け汎用プラットフォームとして年度内の提供開始を予定

 実際のBIMデータを使ったシミュレーションは、現場での学習に匹敵する効果をもたらすようだ。それどころか、天候や温湿度を変えた環境で並行してシミュレーションできるので、短時間で多くのシチュエーションで学習できる。時間だけではなく、建設現場で実際にロボットを動かしてチェックしなくていいというのも大きなメリットになる。

「経路探索などのシミュレーションをクラウド上でおこない、最適な経路をオンラインで遠隔地にあるロボットに指示できるようになりました。開発者が現場に行く必要がなくなり、また学習段階におけるロボットのトラブルも減りました」(松尾氏)

 たとえば、実際の事例としてシミュレーション時にロボットがスロープに引っかかって止まる恐れが指摘され、現場のロボットに指示を送信する前に経路指示を修正できたという例もあるとのこと。現場でロボットがトラブルを起こせば、現場に出向いて修理などの作業を行なう必要があるが、シミュレータがあればそうしたトラブルを未然に防げることがわかる事例だ。

 竹中工務店はこの「建設ロボットプラットフォーム」を2020年6月まで試験運用し、年度内を目安に社外でも利用できるサービスとして提供開始したい考えだ。それまでにRoboMakerを使ったロボット開発をどこまで効率化できるか、注目したい。

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