縦に折り曲げられるディスプレーを搭載した「Galaxy Z Flip」がサムスン電子から発表された。KDDI(au)は2019年に発売した「Galaxy Fold」に続き、2世代目となるこの折りたたみスマートフォンをいち早く日本に投入する。グローバル発表会の直後にGalaxy Z Flipの日本投入を発表した狙いを、KDDIに伺った。
グローバル版からのカスタマイズをわずかにしたことで
タイムラグはわずかで国内リリースが可能に
───Galaxy Z Flipを投入する理由は?
KDDI パーソナル事業本部 副事業本部長兼コンシューマ事業企画本部長 雨宮俊武氏(以下、敬称略) Galaxy Z Flipは、折りたためばコンパクトになるスマートフォンだ。親しみが持てるデザインだろうし、若い世代は逆に新鮮さを感じられるだろう。サムスンが先進性ある製品を発表したため、ぜひ取り扱いたいと考えた。
───Galaxy Z Flipの2色展開の理由、そしてターゲットユーザーは?
KDDI パーソナル事業本部 コンシューマ事業企画本部 プロダクト企画部長 木下祐介氏(以下、敬称略) メインターゲットは女性で、だいたい30代から40代と考えている。しかし、女性だけではなく男性にももちろん使ってほしい。そのため女性を意識したミラーパープルと、男性にも受けるミラーブラックを選んだ。ブラック系はGalaxy Foldと同じ色でもある。
───Galaxy Z Flipの特徴的な機能は何か? 日本向けローカライズはあるのか?
木下 Galaxy Z Flipは先進性のある製品だ。折りたたみ型だが画面を曲げたまま机の上に置いて使うこともできる。また、2つのアプリを同時起動できたり、ハンズフリーで写真も撮れるなど今までのスマートフォンにはなかった使い方ができる。ただし、ハードウェアに関しては通信方式を日本に合わせたこと程度で、内部的なカスタマイズはしていない。それによってグローバル発表後、すぐに日本市場でも発表することができたというメリットもある。
既成概念から1歩踏み出す新しい可能性を提供できる端末
購入しやすい仕組みを提供する予定
───3月には日本でも5Gを開始するタイミングだが、4Gのみ対応のGalaxy Z Flipを今投入する理由は?
雨宮 弊社は「au UNLIMITED WORLD」という世界観を消費者の皆様に提供しようと考えている。5Gはその1つのツールに過ぎず、モバイルビジネスは「ネットワーク」「デバイス」「サービス」を融合させてユーザーに提供するものだ。ネットワークは言うまでもなく5Gをこれから展開していく。また、サービスも5Gに向けて新しいものを投入していく予定だ。そしてデバイスは「新しい感覚のもの」を提供していきたい。
そもそも、au UNLIMITED WORLDのコンセプトは既成概念から1歩踏み出し、抜け出すことで、自由を提供するというもの。今までのように「スマートフォンは板状のもの」という概念を打ち破ることで、スマートフォンの使い方も大きく変えることができる。誰も想像しなかった新たな使い方を、お客様方が考えつくかもしれない。スマートフォンのカタチが変わることだけが新しいのではなく、カタチが変わることで使い方やコミュニケーション手法も変わっていくという、新しい可能性を提供できるのではないだろうか。
なお、Galaxy Z Flipの発売時期は、弊社の製品発表サイクルではなく、サムスンの発表に合わせた。いい製品が市場に投入され、弊社の戦略的にタイミングが合うのであれば、できるだけ早くお客様にお届けしたいと考えたからだ。今後も端末の特徴に合わせ、ケースバイケースで新製品の投入をしたいと考えている。
───2019年秋の総務省によるスマートフォンの販売補助是正以降、端末は売りにくくなっている。
雨宮 アップグレードプログラムなども含め、お客様が買いやすくなるような仕組みを提供する予定だ。なお、製品価格については2月18日の予約開始日に発表する。
木下 昨年のGalaxy Foldは当初一部の店舗でしか受付せず、入手しにくかった。今回のGalaxy Z Flipではauオンラインストア、auショップ全店(au取扱店含む)で取り扱う。
───昨年発売したGalaxy Foldの販売状況について教えていただきたい。
雨宮 Galaxy Foldの販売は好調だった。本体サイズが大きいために、ユーザー比率で言えば男性のほうがかなり上回った。今回、2機種目となる折りたたみスマートフォン、Galaxy Z Flipを提供した理由は、女性にもこの折りたたみスタイルを使ってほしいと考えたからでもある。
木下 Galaxy Foldは目標数を達成している。弊社が販売した端末の中で、歴代ナンバーワンの満足度を得ている。
───Galaxy Z Flipを通して、ユーザーにどんなことを伝えたいと考えているのか?
雨宮 「こんなスマートフォンもKDDIは扱っているのか」という驚きを提供し、先進性を感じていただきたいと考えている。弊社は通信事業者でありメーカーではないため、オリジナルな端末を直接開発するのは難しい。しかし、日頃からお客様と直に接していることから、市場のニーズや嗜好を把握できる環境にある。今後もネットワーク、端末、サービスそれぞれに魅力ある製品を投入することで、au UNLIMITED WORLDの世界観をお客様へ浸透させていきたいと考えている。そのためにも先進性のある端末を提供していただけるメーカーとはこれからも積極的に協業を進めていきたい。
───ありがとうございました。