らせん構造ではないネジ+G-SHOCKの耐衝撃構造=IoTネジ誕生
カシオ×NejiLawのIoTネジ「smartNeji」が国土を災害から守る
2020年02月16日 12時00分更新
カシオ計算機とNejiLawが共同開発しているIoTネジ「smartNeji」は、NejiLawの緩むことのないネジに、G-SHOCKで培われたカシオ計算機の耐衝撃・耐振動・省電力回路を搭載したものだ。smartNejiを建築物などの締結部に使用すれば、わずかな揺れやゆがみをリアルタイムに検知し、効率の良いメンテナンスや災害対策に役立てられる。ビル、橋、地下道といったさまざまな建造物に使われるようになれば、人口減少、インフラの老朽化、多発する大災害、といった日本の多くの課題が解決するかもしれない。
カシオ計算機とNejiLawのコラボレーションによるIoTネジ「smartNeji」は、発明家として知られるNejiLaw 代表取締役社長である道脇 裕氏のアイデアから始まった。IoTネジ開発の目的と、カシオ計算機との共同開発に至った経緯を道脇氏とカシオ計算機 開発本部 副本部長 河合哲哉氏、同社 開発本部 室長 西尾豊一氏に伺った。
道脇氏は、「1時間に1つ発明する」とも言われる発明家だ。10代の頃から企業からの発明受託を生業とし、高速道路の騒音を消すルーバー型裏面吸音システム(IHI)、免振に用いる橋梁用ゴム支承「VS-1」(横浜ゴム)、高耐久性の気泡レスコンクリートなど、数々の製品が道脇氏の発明から生まれている。2014年には、数学における永年の命題「ゼロ除算(1÷0)」を証明したという。
道脇氏が緩まないネジの開発に着手したのも、大手建設企業からの相談が始まりだ。ネジの緩みは、鉄道車両の脱輪、エスカレーターの逆走、トンネルの天井板の落下、橋梁の崩落、ジャンボ旅客機の爆発炎上など、大事故を引き起こしている。ネジの緩みへの対策は長年の課題であり、これまでもあらゆる種類の緩みにくいネジが考えられてきた。