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らせん構造ではないネジ+G-SHOCKの耐衝撃構造=IoTネジ誕生

カシオ×NejiLawのIoTネジ「smartNeji」が国土を災害から守る

2020年02月16日 12時00分更新

文● 松下典子 編集●飯島恵里子/ASCII

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NejiLawとカシオ計算機の出会いは、2018年10月に発売した最上位モデル「G-SHOCK MRG-G2000R」だ。無論、緩んでは困るがメンテナンスのために、破壊することなく取り外すことが必須であった。そこで開発協力を仰いだのがNejiLaw。NejiLawで開発されたネジは、G-SHOCK MRG-G2000Rのバンドを留めるネジとして、求められる相反した性能を見事に両立させた

G-SHOCK MRG-G2000Rに使われたネジと同タイプ。弾塑性力学を応用した「Δ(デルタ)ロック」機構である

ネジに要求される堅牢性をもつG-SHOCKの高耐久技術

 また、風雨にさらされる屋外や地中、海中で長期間使用するため、ネジとしての堅牢さも当然担保しなくてはならない。センサーや電子回路をネジの軸部や頭部に貼りつける方法では、はがれてしまう可能性がある。またネジの内部に埋め込むにしても、センサーとボルトの隙間を埋めるバインダー材が経年劣化すれば正確な計測ができなくなる。この問題を解決するため、L/Rネジのボルトそのものをセンサーにする構造を新たに開発した。

 最後の課題は、センシングした情報の演算・保存・通信を行なう電子回路だ。金属のネジと同レベルの耐衝撃、耐震度の精密電子回路を作るため、G-SHOCKで長年タフネスを追及しているカシオ計算機へ協力を求めたことが、今回の共同開発のきっかけだ。カシオ計算機はすぐにチームを編成、現在G-SHOCKの開発にあたっているエンジニアたちと一緒に開発を進めている。

 G-SHOCKで培われた技術の強みは、堅牢さに加え、もともと腕時計用途開発で培った回路技術由来なのでサイズが小さく、低消費電力である点だ。ネジ頭に取り付けるため小さくなくてはいけないし、充電や電池交換の頻度を減らすには極低消費電力でなくてはいけない。さらに、ネジは数が必要なので、量産できる実績があることも大事な条件だ。カシオ計算機では、これらの条件がすべて揃っている。

 電子回路の衝撃振動試験の耐久性実験では、一般の時計は2分間もたずして全壊したが、smartNeji開発検討用に改造したG-SHOCKは14分経過しても問題がなかったそうだ。

建造物の基礎と柱、梁を固定するアンカーボルトの要所要所にsmartNejiを使用、地震が発生したら加速度センサーが感知し、各ネジのIDごとに揺れを通知するという仕組み

 具体的な使い方としては、建造物の基礎と柱、梁を固定するアンカーボルトの要所要所にsmartNejiを使用し、地震が発生したら加速度センサーが感知し、各ネジのIDごとに揺れを通知。同時に、応力ゲージが動き、初期値からのズレから建物の健全性を確認できる。

 既存の高層ビルでは震度計や加速度センサーが組み込まれているものはあるが、揺れを検知するだけで建物への影響は計測できない。smartNejiは、どの柱がどれだけの損傷を受けているのかを把握できるので、速やかに補強などの対策が立てられる。

 こうした情報が蓄積されれば、収集したデータからAIで解析することでsmartNejiが組み込まれていない部分の状態も推測できるようになるだろう。

 smartNejiの普及が進めば、遠隔による損傷レベルの可視化、リアルタイムの危険度判定、補修の優先序列化、メンテナンス箇所の特定と言ったことが可能になる。メンテナンス不備による事故を予防でき、大地震などの災害が起きた際には、個人がスマホのアプリから適切な避難ルートを調べられるようになるかもしれない。

 smartNejiは、2020年にフィールドテストが開始される予定だ。大きな自然災害が相次ぎ、南海トラフ地震や首都直下型地震はいつ起きてもおかしくない状況だけに、smartNejiの早期の製品化と普及に期待したい。

 

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