経験の時代、サムスンの戦略は?
スマートフォン市場全体が緩やかに成熟に向かい、以前のような成長率は期待できない。(半導体の市況がかんばしくないこともあるが)サムスン全体の業績も決して明るくないようだ。同社が先に出したガイダンスによると、第4四半期は収益が34%マイナスとなる見通しという。なお、サムスンは4四半期連続で収益が前年同期から減少しており、第4四半期もマイナスとなれば5四半期連続となる。
一方で朗報もある。ブランド戦略は実を結んでいるのだ。
米国、英国、日本、インド、ドイツ、ブラジルの6ヵ国のコンシューマーを対象に2019年にIHS Markitが行った調査によると、スマートフォンのブランドとして「サムスン」と「アップル」の合計の顧客ロイヤリティは69%とのこと。内訳は出ていないが、おそらくアップルが最大だろう。アップルとサムスンを除いた残りのベンダーは33%、業界平均のブランドロイヤリティは53%という。IHS Markitによると、アップルもサムスンも「これまで使っているから」というのが、ブランドロイヤリティ(同じブランドの機種を買う)の最大の要因とのことだ(https://technology.ihs.com/620238/smartphone-brand-loyalty-is-rare-beyond-apple-and-samsung)。
スマートフォン市場が変化を見せ、5Gでは唯一の主役ではなくなる中、サムスンの戦略は何か? CESで基調講演を行なったサムスンのコンシューマー・エレクトロニクス部門CEOのHyun-suk Kim氏は、「経験の時代」について語っている。
消費者はモノではなく経験(コト)にお金を費やすようになり、同社もそれに向けた開発を進めていくという。経験を支援するソフトウェアという点では、以前からサムスンの課題である(そして、ノキアの課題でもあった)ソフトウェアやサービス事業をどのように膨らませていくのかに期待したい。
筆者紹介──末岡洋子
フリーランスライター。アットマーク・アイティの記者を経てフリーに。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている
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