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「ネコ活」のススメ、猫に癒される暮らしを始めるための基礎知識

2020年01月02日 06時00分更新

文● ダイヤモンド編集部,小尾拓也(ダイヤモンド・オンライン

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「ネコ活」のススメ、猫に癒される暮らしを始めるための基礎知識
ネコには見ているだけで人を癒す、不思議な魅力がある

根強いネコブームの背景に
「癒されたい」人たちのニーズ

 日本のビジネスパーソンは多忙だ。30代を過ぎ、40代、50代ともなれば、日常のあらゆる場面で責任が増してくる。職場では上司と部下の板挟みになり、自宅に帰れば子どものお受験や親の介護が待っている。

 多忙な背景には、共働き世帯が増えた影響もある。昔のように夫と妻の役割分担はなくなりつつあり、社会と家庭の全ての責任に男女が等しく向き合うのが当たり前となった。息の抜けない毎日が続くなか、ビジネスパーソンは男女を問わず、「癒し」を強く求めている。

 堅調なペットブームは、まさにそんな空気の中で起きている。医療でアニマルセラピーの有効性が指摘されることからもわかる通り、動物の「癒し効果」は侮れない。哺乳類、鳥類、魚類、爬虫類に至るまで、癒しを求めて動物を飼う家庭は増え続けている。少子高齢化の影響もあり、今やペットは「家族の一員」として遇されるようになった。

猫を抱いた女の子
いまやネコは、家族の一員という位置づけ

 最も人気のあるペットといえば、不動の地位にあるのがイヌ(犬)とネコ(猫)だろう。一般社団法人ペットフード協会の『令和元年(2019年)全国犬猫飼育実態調査』によれば、イヌとネコの飼育頭数は約1900万頭と、すでに日本の15歳未満の子どもの数(約1600万人)を上回っている。

 なかでも、ここ数年、衰えることなく続いているのがネコブームだ。前述の調査によると、ネコの飼育頭数は977万8000頭とイヌの879万7000頭を上回っている。直近のネコブームが始まったとされる2015年と足もとの2019年の飼育頭数を伸び率で比べても、イヌは約93%と減っているのに対し、ネコは約105%と増え続けている。

 ネコブームのなか、巷では、ネコをモチーフにしたさまざまなグッズが売られ、ネコを題材にした映画が公開され、ネコの写真展に大勢の人が訪れている。また、TikTokやインスタグラムなどのSNSには、可愛いネコの動画・画像が大量に投稿され、ネコとの暮らしを紹介するブログが増えるなど、ネコはネット上でも大人気だ。多くの日本人がネコを愛し、癒されていることがわかる。

 かくいう記者(40代)も、ネコに癒されている1人だ。深夜に帰宅しても、玄関のドアを開けると、飼いネコが「お出迎え」してくれる。愛猫の「ニャア」という声を聞くと、「明日もまた頑張ろう」という気持ちになれるのである。

柔らかいベッドでくつろぐのが好き

 そんなネコの魅力とは、いったいどこにあるのか。ネコと暮らすことによって、人の生活はどれだけ豊かになるのか。ここまで読んで、記者と同世代の癒しを求めるビジネスパーソンも、ネコとの触れ合いに興味を持たれたかもしれない。

 そこで、ネコと暮らすためのお役立ち情報を届ける月刊誌『ねこのきもち』(ベネッセコーポレーション)の真辺陽子編集長にうかがったアドバイスを交えながら、初心者にもわかりやすく「ネコ活」の基礎知識をお伝えする。今は「ネコカフェ」などで気軽にネコと触れ合える機会が増えているが、ここではネコへの理解をより深めるため、彼らを飼うことに主眼を置いて話を進めよう。今年はあなたも、ネコに癒される暮らしを始めてみてはどうだろうか。

【ポイント1】
ネコはそもそも
飼いやすいのか?

「ネコ活」を始める前に、そもそもネコはペットとして飼いやすいのかを考えてみよう。イヌと比べると、その飼いやすさは確かに魅力の1つといえる。

 1つ目は、散歩をさせる必要がないことだ。イヌについては毎日何度も、散歩をさせる飼い主もいる。しかし、ネコは原則として散歩を必要としない。帰宅が遅い共働き家庭などにとって、これはペットを飼ううえでの大きなメリットだ。

ネコじゃらしを狙う姿は真剣 フウコ(メス、5歳)

 たとえば、イヌとネコの飼育率を飼い主の世代別に見ると、ネコはどの世代も経年変化が少ないのに対して、イヌは経年で見たときに、特に50代での飼育率の低下が顕著になっている。ここからは、中高年にとってイヌの散歩が負担になっていることが推測できる。

 2つ目は、衛生面のメリットだ。ネコはしつけをしなくても自分でトイレができるし、きれい好きで暇さえあれば自分の体を舐めているため、体臭もあまりない。自宅で定期的にお風呂に入れてもいいが、年に数回、ペットサロンでシャンプーをしてもらうだけでも十分だ。

 3つ目は、家庭の都心回帰傾向が強まるなか、マンションなどの集合住宅で飼いやすいこと。鳴き声がイヌより小さいし、狭い部屋の中でもキャットタワーなどを置いて高い場所をつくってあげればそこで不自由なく過ごせるため、「ネコはビジネスパーソンの住宅事情にフィットしたペット」(真辺編集長)といえる。最近では、ネコを飼える賃貸物件や、人とネコの共生を目指す機能を重視した一戸建など、ネコを生活の軸に据える住宅が増えているという。

キャットタワーにのぼる猫
キャットタワーで遊ぶネコ。平面だけでなく高さのある場所でも過ごせるネコは、コンパクトな部屋で飼うのにも向いている トム君(オス、4歳)

【ポイント2】
他のペットにはない
ネコの魅力とは?

 イヌはパグからチワワまで、見た目やサイズがかなり異なるため、「イヌ派」の中でも犬種によって好き嫌いが分かれる。それに対してネコは、毛柄は違っても見た目やサイズが大きく異なるわけではなく、どの猫種でも丸くて可愛いらしいフォルムをしているのが魅力だ。また、ふと見せる仕草も大変愛らしくて人の心を掴む。以下に、ネコ好きなら誰でもわかるであろう、ネコの見た目や仕草を表すキーワードを掲げ、彼らの魅力を紹介する。

【ツンデレ】人間に忠実なイヌと比べて、ネコは気まぐれだ。つれない態度をとったかと思えば、急に甘えてくるというように、その行動は予測不能。ツンとされてもめげずに無償の愛情を注ぎ続けると、またこちらを振り向いてくれる。「そうした行動に、すっかり虜にされてしまう人が多い」(真辺編集長)。

マフラーをした猫
ネコと目が合うのは、こちらを信頼してくれているから。 くろすけ(オス、2歳)

【モフモフ】ネコの毛並みの柔らかさを表現する言葉。転じて、飼い主がネコの毛を触ったり、ネコの毛に顔をうずめたりする行為を「モフモフする」と表現する。

お腹を上に向ける「へそ天」。とってもリラックスしているときのポーズ

【グーパー】【フミフミ】「グーパー」はネコが手を開いたり閉じたりする行動。子ネコ時代に母ネコのお乳がよく出るように、足で揉みながら飲んだことの名残と言われている。成猫が行うのは、主に気持ちがリラックスしているときや、飼い主に甘えているとき。ネコが毛布など柔らかいものを「グーパー」しながらしきりに踏む「フミフミ」という行動も、原理は同じだ。

【ゴロゴロ】主にリラックスしているとき、飼い主に甘えているときに、ネコが喉を鳴らす音。一説には、人間の喉ぼとけにあたる場所を伸び縮みさせ、声帯を振動させることで音を出すと言われる。「グーパー」「フミフミ」などの行動を伴うことが多い。

ハチワレ猫
フウコちゃん(メス、享年8歳?)。腎不全でお空に旅立ちました

【プニプニ】ネコの足の裏の「肉球」を触ったときの感触を表現した言葉。肉球は柔らかくて触ると心地よく、ネコが人間を虜にする武器といってもよい。色は毛柄と関連することが多くてさまざまだ。「読者には大の肉球好きが多く、臭いを嗅ぐのが好きな人、ネコがよく乗る棚などをあえてガラス張りにして、肉球を下から観察する人もいる」(真辺編集長)。

みけ猫
みけちゃん(メス、8カ月)。元野良、遊びたい盛りの暴れん坊です

【ペロペロ】ネコは信頼関係を築いた人の手をペロペロと丹念に舐めてくれることがある。しかし、その舌はブラシのようにとてもざらざらしているので、舐められる人にとっては「嬉しい悲鳴」である。

【スリスリ】ネコがしきりに体をスリスリと押し付けて来る仕草は、体がかゆいわけではなく、親愛の情を抱く相手に自分のニオイをつけたいというマーキングの意味がある。また、人に甘えたいときにも同様の仕草をする。飼い主にとってはネコと触れ合える至福の時間だが、仕事へ行く前にスリスリされるとスーツが毛だらけになるので、気を付けたい。家を出る前のコロコロ(ローラークリーナーで服を掃除すること)はマストである。

ねむる猫
ネコは、1日のうちの大部分を寝て過ごす。だから語源は「寝子」とも

【ポイント3】
人気のある猫種はなに?

 各種調査によると、人気の高い猫種はアメリカンショートヘア、スコティッシュフォールド、ペルシャ、ノルウェイジャンフォレストキャット、マンチカン、ロシアンブルーなどの「純血種」となっている。だが、意外かもしれないが、最も飼育頭数が多いネコは「雑種」で全体の8割を占めている。ネコ人気といっても、映画やSNSで見かけるような豪華なネコばかりが好まれているわけではないのだ。

普段は猫背だけど、何かに夢中なときは背筋がピンと伸びます

 その理由の1つとして、保護ネコへの注目度が挙げられる。保護ネコとは、飼い主と離れ離れになって路頭に迷ったり、飼い主から虐待を受けて一緒に暮らせなくなったりした、保護を必要とするネコたちのこと。動物愛護団体、NPO法人などが個人や行政(保健所)などから彼らを引き取り、里親さんを募集している。それらの施設は「愛護センター」「保護ネコシェルター」「保護ネコカフェ」などの名称で呼ばれ、数千~1万頭が保護されているところもある。そのほとんどは雑種のネコである。

 こうした辛い過去を持つ雑種のネコたちを引き取る人が、最近増えているのだ。「背景には、動物愛護・社会貢献意識の高まりがあるのでは」と真辺編集長は指摘する。ブリーダーやペットショップから人気のネコを手に入れるのもいいが、「ネコ助け」のために保護ネコを引きとるのは尊い行為だ。そうして選んだネコとは、強い絆で結ばれることだろう。

【ポイント4】
ネコを飼うときに最低限
必要なものとかかる費用は?

 ネコを飼うときにまず必要なのは、トイレと猫砂、餌・水入れなどで、ペットショップや通販において数千円程度で手に入る。猫砂といっても多くの場合は本当の砂ではなく、猫のオシッコを吸収して固まる人口の砂で、処理がしやすくなっている。また最近では、ネコのオシッコを1週間片付けなくても消臭・抗菌効果が続くシステムトイレも人気だ。

長毛のネコは特にブラッシングが必要 フウコ(メス、5歳)

 うっかり忘れがちなのが、爪とぎ器や爪切り。個体差もあるが、爪を伸ばした状態で、とぐ場所を用意しておかないと、ネコが部屋の壁やカーテンをバリバリやって傷付けてしまうリスクが高まる。毛並みを整えるためのブラシやハサミなど「身の周り品」も用意しておきたい。

爪とぎと黒猫
ネコの瞳は、全てを見透かすように澄んでいます トム君(オス、4歳)

 肝心の「ごはん」はどうか。ネコといえば「魚好き」というイメージがあるが、世の中のネコの9割方は市販のペットフード(ドライ、ウェット、半生タイプなど)を食べている。一昔前のように「人間のご飯の残り」をあげたりするのは、今では猫の健康に良くないとされているので、気を付けたい。

「ねこのきもち」の付録で特にネコ人気が高かったという、ネコじゃらし、テント、ベッド、トンネル、抱きまくらなど Photo:Diamond

  飼ううえでわりとコストがかさむのが医療費だ。必ず1回は必要になる医療が伝染病の予防接種や去勢・避妊手術。その他定期的に必要な医療は、ノミ・ダニ駆除、健康診断などだ。いずれも数千円~数万円程度だが、詳しくは近所の動物病院に相談しよう。また、多くの動物病院には、旅行や出張の際にネコを預かってもらえるペットホテルも併設されている。

 ちなみにペットフード協会の調査によると、ネコにかかる1カ月の平均的な支出総額は医療費こみで7485円。1万1562円かかるイヌの6割程度であり、ネコ人気の一因には医療費の安さもあるのだろう。

【ポイント5】
ネコはどこで飼えばいいのか?

 一昔前は、一軒家の中と外を自由に出入りする「放し飼い」状態のネコが近所にたくさんいた。しかし、ネコが「家族の一員」と見なされている現在、ほとんどのネコは屋内で暮らしている。

「外出することが多いネコには交通事故、感染症、不用意な繁殖などのリスクがある」(真辺編集長)ため、国も動物愛護法の規定により、室内飼育を指導している。実際、飼育されているネコの平均寿命が15歳程度なのに対し、野良ネコの寿命はせいぜい4~5年と言われている。ネコの幸せのためにも、完全室内飼いを心がけるのが理想だ。

外出中の猫
うしちゃん(5歳くらい?のオス)。大分県の中津城に住んでいた地域ネコだった

 ただし最近は、特定の飼い主がいないネコの面倒を地域の住民が協力してみるケースも増えている。こうしたネコは「地域ネコ」と呼ばれ、繁殖しないように避妊・去勢手術を受けている場合もある。彼らは手術をした印として耳の一部がカットされ、その形が桜の花びらに似ていることから、「さくらネコ」とも呼ばれる。

「ネコを飼いたいけれど難しい」という人が、近所で耳をカットされたネコを見かけたら、地域ネコのコミュニティに参加してみてもいいかもしれない。

【ポイント6】
ネコとコミュニケーション
を深めるには?

 ネコと仲良しになるための近道は、ネコのおもちゃを用意するなどして、「1日30分」などと自己ノルマを決め、一緒に遊んであげることだ。ネコは手のかかる動物ではないが、仕事が忙しいからといってほったらかしにしておくとなかなか心を開いてくれない。『ねこのきもち』には付録としてネコグッズや別冊が同封されているが、真辺編集長いわく、「最も人気があったのはネコじゃらし、テント、抱きまくらなど」だという。人気グッズを駆使して、ネコとコミュニケーションを図るのだ。

本と猫
これは誰かな~? くろすけ(オス、2歳)
ねこのきもち編集長
『ねこのきもち』編集長の真辺陽子氏。編集室には女性が多く、みな大のネコ好きだという。隣には「いぬのきもち」編集室もあり、編集長はじめ編集スタッフはイヌに対する愛情も深い Photo:Diamond

 とはいえ、ネコの好むグッズには個体差がある。ペットショップやネコグッズ専門店で高級品を購入しても、気まぐれなネコは見向きもしないことがあるから、要注意だ。

 ちなみに『ねこのきもち』が提供するグッズは付録ながらもヒット率が高く、読者からリピートが多いというが、これは「試作品を読者モニターやネコカフェで試して、ネコ人気が高いアイテムに絞り込み、自社の厳格な安全基準も踏まえて、メーカーと綿密に仕様を相談して決めている」(真辺編集長)のが勝因のようだ。高ければいいというものではなく、「ネコ好き」の口コミも参考にしながら、実用的なグッズを選びたい。

 日々地道にコミュニケーションを深めていけば、最初は警戒して距離を置いていた愛猫も、ある朝目覚めると、あなたのお腹の上で丸くなっていることだろう。

【番外編】
ネコ好きの人がよく話題にする
「岩合さん」てだれ?

 岩合光昭さん(1950年生まれ、東京都出身)は、現在のネコブームの一端を担う動物写真家だ。1年の多くの期間を海外で過ごし、動物たちを撮っている。とりわけネコの撮影に力を入れており、写真展にはネコ好きの人たちが押し寄せる。現在テレビ放映中の『岩合光昭の世界ネコ歩き』(NHK BSプレミアム)は、さまざまな地域で暮らすネコの姿を追うドキュメンタリーで、「飼い主と一緒にネコが見る番組」として有名だ。岩合さんは『ねこのきもち』でも連載を担当している。

「ネコファースト」で
接してみよう

 さて、いかがだろうか。今回は「ネコ活」を始めるにあたって最低限知っておきたい基礎知識をお伝えしたが、実際に接してみれば、ネコの世界は実に奥が深いことに気づくはずだ。もしあなたがネコを迎えるなら、それは新しい家族を迎えるのと一緒。「一過性のブームに乗って飼うのではなく、最後までパートナーとして面倒をみてあげてほしい」と真辺編集長は語る。

 人間が「ネコファースト」の意識で接すれば、ネコはきっとあなたの人生を癒す最高のパートナーになってくれるはずだ。

*ネコの名前を紹介していない写真は、『ねこのきもち』編集室にご提供いただいたものです。

(ダイヤモンド編集部副編集長 小尾拓也)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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