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多忙な年末年始を中年・熟年夫婦が平和に過ごすためのトリセツ

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なんだかんだいって、中年・熟年夫婦にとって正月は絶好の家族イベントです。タッグを組んで乗り切りましょう。
なんだかんだいって、中年・熟年夫婦にとって正月は絶好の家族イベントです。タッグを組んで乗り切りましょう(写真はイメージです) Photo:PIXTA

多忙な年末年始はお互いを熟知したはずの中年・熟年夫婦であっても、子どもや孫、来客への対応を含め、何かと忙しく、衝突しがちなもの。そこで、年末年始を平和で円満に過ごすためのトリセツを書いてみた。(家族問題評論家・エッセイスト 宮本まき子)

(※筆者注)このトリセツは年末年始の限定利用で、全員に当てはまるわけではありません。もし不具合やバグが生じましたら、正月終了後に再起動を試みてください。

「猫の手」より劣る亭主は
実家に里帰りを

 アタマも人柄も悪くないけれど、融通がきかず、自己チューで、家事力ゼロで妻に丸投げという、かの国の「小皇帝」かガラパゴス的な夫がこの国にも一定数いる。正月だからといって別人のように心を入れ替える可能性はほぼないので、足手まといになる前に実家に送り込んでしまおう。

 たいがい面倒見がよすぎる母親がいて、夫は居心地良く満足。姑はブツクサ言いながらも久しぶりの愛息とのランデブーを享受。妻は思う存分羽をのばせて…と、みんなでハッピーが実現できる。

「お世話になります」の電話と、実費払いを兼ねての「お年玉」を夫に持たせるのもお忘れなく。昔は猫を他所にあげるときは鰹(かつお)節をつけたそうだから。

共働き夫婦に必要なのは
短期決戦向きの「計算脳」

◎男性脳、女性脳はいったん棚上げ、計算脳で年末を乗り切る

 人工知能研究者の黒川伊保子氏によれば、「男性脳はゴール指向問題解決型、女性脳は共感してもらうことが自分の存在価値」だという。それなら妻が「寒い!」と震えたときに夫が「寒いなぁ。風邪引くなよ」と自分のマフラーでも巻いてやればイチコロなのに、「春になれば暖かくなる」なんて正答するから妻は逆上してしまうもの…。

 かくも違う思考回路のすりあわせには、箱根駅伝並みの忍耐と地道な努力がいるが、それは人生100年の間にやってもらうことにしよう。

 今は年末をチョー短期決戦で乗り切るために、常識にとらわれずに「時間と金」の配分ができる「計算脳」が必要である。前述の猫亭主はその一例である。

 総務省「社会生活基本調査2016年」によれば、共働き夫婦の(炊事、洗濯、掃除、介護、育児、買い物を含む)家事関連時間の平均は妻の190分に対し、夫は31分といううそみたいなホントのデータがある。

 年末はその倍はかかるが、「妻が6時間に夫が1時間」なんていう夫サイドの計算脳は即却下しよう。

「9連休なんてめったにない。ゆっくり休みたいし、やりたいこともある」と泣き落としても、妻だって同じ気分なのだ。全部ほっぽり出して温泉や旅行に行く金がなければ温情は禁物である。

 計算脳だけを駆使して、ニンジンをつるしてでも走らせねばならぬ。「年末3大準備」の(1)買い出し(2)掃除(3)料理――を限られた時間内で効率よくプログラミングしなければならないのだ。

◎モメたり、疑惑をもったり、ストレスをぶつけたりするより共闘を

(1) 買い出し
 不慣れな夫だと目移りばかりして特大の鏡餅や焼酎のメガボトルなど不要不急の品を買ってくるおそれがあるから、買い出しの財布は妻が握る。卸売り市場は最低でも6日間は休業。その間の生鮮品の買いだめがポイントだが、量が多くてオソロシク重い。
 腕に筋肉がある(?)夫が家までの運搬役に徹しよう。この時期ほとんどの生鮮品が高騰する。安いものを求めてスーパーのハシゴをする暇はないし、売り切れも心配だから、値段に固執せず見つけ次第買いこんで、体力を温存しよう。

(2)掃除
 生活の場の掃除は賽(さい)の河原の石積みみたいなもので、今日やっても明日には汚れる。きれいに見えるコツは物を床に置かないことと、ガラスや金属を「光らせる」こと。
 磨き仕事は集中力のある男性脳にまかせよう。自動掃除機ルンバが追突を繰り返して遭難するほど床いっぱいに置かれた荷物、雑貨は段ボール箱にポイポイ放り込んで、物置やベランダ、車のトランクに一時収納しておく。
 大みそか前日には「ほこりじゃ死なない」と終了宣言を。すきま時間で年賀状作成、宛名書き、添え書きを分業で担当。「丸っこい名刺のキラキラネームは誰?」なんて疑念も突っ込みも、時間が惜しいからとりあえず棚上げしておこう。

(3)料理
 保存期間で逆算すると大みそかが料理日になる。煮物、揚げ物などの洗いもの、汚れものが多く出る料理はド素人の夫(妻?)には無理。つまらぬ手出しをするより、せっせと流しを片付け、コーヒーの一杯でもいれて「手伝っていますアピール」をしよう。
 財布に余裕があれば、おせち料理のまるごと購入や、初詣ついでに食べ歩きをすればよろしい。「正月ぐらい手作りでおふくろの味を」なんてうわごとは、時間切れに追い込まれた妻と年越しの大げんかのもとになる。大みそかの男は黙ってビールでも飲んでおれ。

 ◇

 夫婦でタッグを組み、限られた時間内に集中的に協力して新年の準備を終えた達成感は非日常的な体験で、案外新鮮かもしれない。

 以前、休暇で向き合ったら深く話し合いすぎて離婚した共働き芸能人がいた。年末限定の夫婦ルーティンワークは「くっつきすぎず、離れすぎず、でもいなくちゃ困る関係」だと再認識させてくれる。正月は深く話し合いすぎないよう、「ケンカ」を棚卸ししないように気をつけよう。

定年退職後、
毎日が休日だと年末年始はどうなる?

◎年賀状終活のあとは正月終活の気配も

 最近「年賀状は出し続けるべきか?」という小文(「年賀状は出し続けるべき?定年後にやめたら人脈を失い後悔する人が続出…」)をダイヤモンドオンラインに載せた。まだ気力、体力もあるのに定年退職を境に「年賀状終活」をする人が増えてきた話だが、取材してみると「正月終活」までしそうな気配もチラホラ見える。

 そもそも年賀状をやめる動機に「年金生活の節約のため(本音は面倒くさい)」が圧倒的に多かった。正月終活も「金がかかることはしたくない」という夫サイドと「年末年始の準備をしないですむから楽チン」とワンオペ家事を担わされてきた妻サイドの思惑が一致。

 1~2回は雑煮を食べ、散歩がてらの初詣のあとは、寝正月かテレビざんまい。子ども家族や来客の接待、会食などはカットして、気ままな「日常」でいたいらしい。

 しかし思わぬ落とし穴もあって、年賀状終活をしたら、一方的に交流の遮断を通告されたと誤解されたケースも少なくない。

 正月終活の場合も省エネのつもりが、意図せずに家族や友人を遠のかせてしまい、「そして誰もいなくなった」とならないように熟考しよう。

◎人間関係は人工的に「創る」時代に。正月は絶好のチャンスだ

 一方で大忙しの年末年始に「うれしい悲鳴」を通り越して体も財布も「正月疲れ」するリタイア夫婦も多い。嫁たちにおだてられて豪勢な重箱詰めを手作りして届けたり、入れ代わり立ち代わりで子ども家族がやってきて家が宴会場&保養所と化したり…・。

 バアバは親心からわが子の好物や高価な嗜好品をつい買いそろえちゃうし、ジイジは孫たちの子守要員&お年玉のスポンサーをおおいに期待される。おせちに飽きた子ども家族を外食させてもカラオケしても、「接待」の支払いは祖父母の財布がアテにされる。

 最近はキャッシュレスだから、正月が終わったあとの疲れからくるめまいと、カードの請求額に驚愕(きょうがく)するめまいのダブルパンチを食う。それでも「できるうちが幸せだから」と体力が続く限り家族の新年会はやりたいと誰もが口をそろえる。

「幸せ」とは人とつながっていくこと。昭和のころは人間関係が自然に「存在」していたのが、今やデジタル化して人間疎外が進み、人間関係は人工的に「創る」時代に入ったとカウンセラーの富田富士也氏は指摘する。

 両方の時代を生きてきたポスト団塊世代より上の人たちは、皮膚感覚でそれを悟っているのだろう。がんばって濃密な家族関係を創りたい。それには正月は絶好の家族イベントなのである。


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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