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地球から遠く離れた銀河を観測、電波望遠鏡が描き出した新画像

2019年12月19日 08時13分更新

文● Neel V. Patel

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SARAO; NRAO/AUI/NSF

天文学者たちが、宇宙で最も遠い銀河の一部を電波観測することに初めて成功した。その中には、これまで検出されていなかった銀河もいくつか含まれていた。アストロフィジカル・ジャーナル(Astrophysical Journal)に掲載予定の新発見を元に、驚くべき新しい夜空の画像が作成された。

画像は、南アフリカの電波天文台にあるミーアキャット望遠鏡(MeerKAT telescope)を利用して作成されたものだ。この電波望遠鏡は、南アフリカの北ケープ州に設置された64基のパラボラアンテナで構成されている。ミーアキャット望遠鏡は数年前から稼働しており、これまでに天の川銀河の中心部分で発生したエネルギッシュな爆発の影響を詳細に観察するなど、短期間にいくつかの功績を成し遂げてきている。電波望遠鏡は、可視光線を用いた観測の妨げとなるガスや塵越しに観測できることから、遠く離れた天体の研究に有効だ。科学者たちはその電波データを、ソフトウェアを通じて、色と輝度による視覚的なデータへと置き換えている。

新しい研究を推進する科学者たちは、ミーアキャット望遠鏡を利用して、南の空のほぼ満月5つ分の大きさにあたる領域を合計130時間にわたって観察した。 新しい画像(愛称DEEP2)では、数千もの銀河が、それぞれ明るい光として映し出されている。最も明るいものは、激しい重力による摩擦と、非常に強力な超大質量のブラックホールを取り囲む破片から放出されるエネルギーにより、光度が過度に高くなっている銀河である。

一方、よりかすかな光のものは、天の川銀河と似た、はるか遠く離れた銀河である。これらの銀河の多くは、今回初めて発見されており、中には数十億光年離れているものもいくつかあった。

美しい画像であることはさておき、この種の画像は、しばしば宇宙論的な宇宙の歴史について、より多くの秘密を映し出している。今回の新しい研究成果は、いわゆる宇宙の昼(約80〜110億年前に星の形成がピークに達したビッグバン以後の宇宙の期間)における星の形成率が、以前考えられていたよりも実際には高いことを示唆している。

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