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ESET/マルウェア情報局

無料のウイルス対策ソフトは安心して使えるのか!?

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本記事はキヤノンマーケティングジャパンが提供する「マルウェア情報局」に掲載された「セキュリティ対策として無料のウイルス対策ソフトは安心して使える?」を再編集したものです。

ウイルス対策の重要度が高まっている

 Windowsが普及し始めた90年代頃から、コンピューターを使うユーザーは、ウイルスに悩まされてきた。従来は、パソコンを標的にしていたため、「コンピューター」ウイルスと呼ばれることもあったが、近年ではスマホも攻撃対象になっている。標的の多様化だけでなく、手口も悪質化している点には注意が必要だ。情報窃取やデータの破壊が目的になっており、金銭的な被害にも繋がりやすい。まず、ウイルスから情報機器を守るためには、どのような対策が必要とされるのか整理してみよう。

- アップデートの速やかな適応

 パソコンでもスマホでも、情報端末にはOSがインストールされているのが基本だ。パソコンであれば、「Windows」や「macOS」、スマホであれば「Android」や「iOS」が主要なOSとなる。これらのOSは、機能追加や不具合の解消のため、頻繁にアップデートが行なわれる。アップデートには、セキュリティ上の不具合や対策も含まれているため、速やかにアップデートすることがウイルス対策として有効な対応となる。もちろん、OSだけでなくアプリケーションやファームウェア、ドライバー類もこまめにアップデートすることを心掛けたい。

- ウイルス対策ソフトをインストールする

 ウイルス対策ソフトをインストールし、常駐させることで、万が一ウイルスに感染したとしても、ウイルスが情報機器に悪影響を及ぼしたり、増殖したりする前に、感染したことを検知して隔離することができる。ウイルス対策ソフトは、定期的にウイルス検知をするためのパターンファイルによりウイルスを判別する。そのため、インストール後はアラートが上がったタイミングで速やかにアップデートするようにしよう。ソフトウェアによっては自動的にアップデートされるものもあるので、選定の際の判断軸のひとつとするのも一考だ。

 最近はさらに進化し、過去のパターンをもとにウイルスの挙動を類推し、未知のウイルスも判別できるようなものも登場している。また定期診断では、侵入時には発見されなかった、潜伏するウイルスを発見できる場合もあるなど、複数の検知機能でウイルスを確実に捕捉し、駆除や隔離を行なう。

- OSの設定や、セキュリティソフトを導入する

 例えばWindowsだと「Defender」という名称で、ウイルス感染を防ぐための基本機能が標準装備されている。パソコンなどに詳しいユーザーであれば、この機能とパーソナルファイアウォールの設定に加え、最新情報を常に収集することで一定レベルのセキュリティ対策が可能になるだろう。しかし、詳しくないユーザーの場合、危険性を判断できない可能性がある。そのため、ウイルス対策のみに特化するではなく、さまざまなセキュリティ対策をパッケージ化している「セキュリティソフト」のインストールも検討したいところだ。

- 必要な知識を身につける

 ウイルスの感染経路は、今も昔もほとんど変わらない。メールとウェブサイトが最も多く、USBメモリーなどの外部メディアからの感染も少なくない。身に覚えのない怪しいメールに添付されているファイルを開かない、怪しいウェブサイトにはアクセスしない、といった基本的な心構えを持つだけでも被害抑制に繋がる。無料で使えるフリーソフトにも不正なプログラムが潜んでることもあり、できる限り利用することを控えるといった対策も求められる。企業であれば、従業員のセキュリティ知識を高めるための従業員教育も欠かせない。

無料のウイルス対策ソフトとは

 ウイルス対策ソフトと聞くと、月額あるいは年額で更新料が必要となる有料のソフトウェアと考えているユーザーも多いだろう。しかし、一定の制限はあるものの、まったく費用がかからない無料のウイルス対策ソフトも多い。従来であれば、検知率やパソコンへの負担面で問題がある場合も多かったが、性能も改善されてきた。それでは無料のウイルス対策ソフトには、具体的にどのようなものがあり、どのような効果があるのだろうか。

- Windows Defender

 Windows 10であれば標準で搭載されているウイルス対策機能である。ウイルス検知の能力は高く、有料のウイルス対策ソフトと大差ないと評価されている。しかし、ウイルス検知以外のほかの機能が搭載されていないことやサポートもないこともあり、自分で必要な設定を施すことが求められる。ある程度セキュリティ知識の高いユーザーであれば、この機能とパーソナルファイアウォールなどを組み合わせて最低限のセキュリティ対策は可能だろう。

- AVG Anti-Virus Free Edition

 無料版と有料版があり、無料版の場合は個人かつ非商用での使用に限定され、サポートが提供されないほか、セキュリティ機能も制限される。検知率など性能面は向上しているものの、過去には、再起動が繰り返されるといった問題が発生したこともある。

- Avast Free Antivirus

 家庭での非営利使用であれば無料で利用できるアンチウイルスソフト。有料版として、「Avast Pro Antivirus」や「Avast Internet Security」、「Avast Premier」といった、提供されるセキュリティ機能に応じた製品ラインナップが用意されている。過去に大規模な誤検知問題があったほか、サポートは提供されない。

- Avira Free Antivirus

 ウイルス検知機能のみを提供する「Free」版であれば、非商用かつ私的利用に限り無料で利用できる。検知率は高いが、広告表示やその他不要なソフトウェアがインストールされることがある。有料版には複数のセキュリティ対策機能があるが、無料版にはなく、サポートも提供されない。

無料のウイルス対策ソフトの注意点

 無料のウイルスソフトは、有料のものと比較してウイルスの検知率について遜色なく、機能的には大きく劣るとはいえない。しかし、無料のウイルス対策ソフトは、無料であるがゆえの問題点があることは知っておいた方がよい。ここでは、無料のウイルス対策ソフトの注意点について解説する。

-頻繁な広告表示や覚えないソフトウェアのインストール

 無料で提供されるとはいえ、そうしたソフトを提供しているメーカーは、何らかの手段で収益を得ない限り、ソフトウェアの開発費が回収できず、事業が成り立たない。このため、有料版へのバージョンアップを促す広告が頻繁に表示されることになる。無料のウイルス対策ソフトは、有料版への導線に過ぎない「フリーミアム」というビジネスモデルなのだ。場合によっては、パソコン内の情報を収集する、スパイウェアと判断されても仕方がないような不要なソフトウェアが知らないうちにインストールされる悪質なケースもある。

-サポートが提供されない

 無料のウイルス対策ソフトは、ほとんどの場合サポートが提供されない。過去には大きなトラブルを発生させたことがある無料のウイルス対策ソフトは少なくないが、そのような事態が生じても、自己解決が求められる。場合によっては、パソコンに深刻な影響を与えるような障害を発生させる場合もあるだろう。当然、ウイルス感染があった場合も、同様に自己解決する必要がある。

-ウイルス検知以外の機能は提供されない

 無料のウイルス対策ソフトは、アンチウイルス以外の機能は提供されない点に注意する必要がある。攻撃する側は、ウイルス対策ソフトでは検知できない、新しいウイルスを日々作り出し続けている。ダークウェブでは、新しい攻撃手法が次々に生み出され、不法に売買されているといわれている。サイバー攻撃の危険性は高まっており、悪意のある第三者に標的にされた場合などは、単なるアンチウイルス機能だけではその攻撃を防げるものではないのだ。このため、セキュリティ対策が複合的に組み合わされた「セキュリティソフト」を導入しておくことなど、複数の防御策を施して安全性を高めることが重要なポイントになる。

まとめ

 デジタル化が進展するにつれ、私たちの生活は情報技術への依存度が高まっている。もはや、スマホなくして生活が成り立たないというユーザーも多いだろう。しかし、ウイルスによる攻撃は、スマホやパソコンを利用不能にし、情報を窄取し、場合によっては身代金を要求して直接的な金銭被害を引き起こす。今後は、増加しているスマホでのキャッシュレス決済を狙う犯罪や、今までにない未知のウイルスによる新たなリスクが生じる可能性もあるだろう。

 このようなサイバーリスクに対し、私たちは自分の身を自分で守る必要がある。「アンチウイルス対策ソフトぐらいはインストールしておいた方がよい」という考えからとりあえず、金銭負担のない無料のアンチウイルス対策ソフトをインストールする、ということはおすすめできない。少なくとも無料のアンチウイルス対策ソフトは、パソコンに詳しいユーザーに限定されると考えておいたほうが無難だ。情報機器が私たちの生活を便利で豊かにしてくれる以上、有料のセキュリティ対策ソフトの導入も必要コストとみなす時代になってきているのではないだろうか。

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