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大塚家具が3月末で手元資金枯渇も、新スポンサー確保が生命線

2019年12月05日 06時00分更新

文● ダイヤモンド編集部,布施太郎(ダイヤモンド・オンライン

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大塚家具
大塚家具がいよいよ窮地に陥っている。起死回生に必要なのは、売上高増に結び付くスポンサーだ。果たして見つけることができるのか Photo:kyodonews

大塚家具が窮地に陥っている。数年前までは銀行借り入れもない強固なバランスシートが売りだったが、赤字垂れ流しが続き、資金ショートも視野に入ってきた。もはや単独での生き残りは困難で、新たなスポンサー探しに動き始めた。果たして救いの手を差し伸べる主は出てくるだろうか。(ダイヤモンド編集部 布施太郎)

赤字を垂れ流し資金繰りが危険水域に

「大塚家具の先行きは、かなり怪しくなってきた」──。企業再生を長く手掛けてきたある銀行の審査担当役員はこう分析する。

 11月14 日に発表した2019年第3四半期(1~9月期)決算は惨憺たる結果となった。売上高は前年同期比23.2%減の210億0300万円。営業損益は29億1800万円の赤字(前年同期は48億6300万円の赤字)、純損益は30億6200万円の赤字(同30億5300万円の赤字)に沈んだ。売上高は5年連続の減収、営業赤字も6年連続となり、浮上の兆しはまったく見えない。

 確かに、一部店舗の閉店などで販管費が減り、営業赤字幅は縮小した。だが、同時に売上高も減少。「完全に負のスパイラルに陥っている」と先の役員は話す。

 さらに企業としての先行き不安を如実に示しているのが、現預金の減少だ。6月末に31億0960万円あった残高は、9月末に21億9000万円まで減った。3カ月で10億円が流出しており、このまま手を打たなければ来年3月までに手元資金はほぼ枯渇しかねない。

 もちろん、固定資産の売却や、取引銀行から資金繰り支援の融資を受けることができれば話は別だ。だが、先の審査担当役員は「これだけ長い営業赤字だと、融資基準に引っ掛かり、借り入れができる可能性は極めて低い」と断言する。

 借り入れが困難だとすれば、残る手だてはエクイティファイナンスだ。

 実際、大塚家具は2月に米系投資ファンドと、ハイラインズ日中アライアンスファンドなどを引受先とする第三者割当増資で、38億円の調達を計画した。しかし、ハイラインズが率いるファンドは中国当局の認可を得られないとの理由で、直前になって資金の払い込みをキャンセル。実際に調達できたのは26億円にとどまるという失策を演じた。足元の経営状況は当時と比べても一段と厳しくなっており、さらなる資金の出し手が現れるのは難しい状況だ。

 ある大手証券の幹部は「普通のファンドではもはや応じられないだろう」と分析する。

 理由は株価の低迷と、それに伴う大塚家具株の時価総額と株式売買代金の減少だ。大塚家具株の1日の平均的な売買代金は数千万円から多くても1億円程度。「この時価総額では小型株として見ても小さ過ぎ、また流動性が乏しいので何か起こっても速やかに市場で売却ができない」と前出の証券会社幹部は続ける。

 もはや大塚家具は万事休すの事態に追い込まれている。

 そもそも同社が抱える最大の課題は、売り上げの減少に歯止めがかからない点だ。

 もともと日中のファンドが増資に応じた際の計画では、国内の販売不振を中国での販売拡大で補うという皮算用だった。大塚久美子社長は当時、「本格的に海外に出ていくスタートになる」と大見えを切った。ハイラインズを通じて越境EC(電子商取引)で商品を販売するとともに、中国のリアル店舗への展開を図る方針も示した。しかし、中国向けビジネスは一向に動きだす気配はない。

 ただ、大塚家具の財務諸表を詳細に検討した前出の審査担当役員によると、大塚家具のビジネスの特徴は、粗利益率の高さにある。

 15年に経営方針の違いから勃発した “父娘戦争”を機に企業イメージが悪化し、売上高は減り続けるが、粗利益率は一貫して50%以上を維持している。粗利益率が高いということは売り上げが増加すればするほど高角度で増益をもたらすが、売り上げが損益分岐点を下回ると一気に赤字が拡大する。「例えていえば、客離れによって業績不振になった高級レストラン」と審査担当役員は解説する。損益分岐点を超える売り上げさえあれば、利益は急速に回復すると指摘。大塚家具が崖っぷちから生還することも夢ではないと続ける。

増資は時間との勝負、引受先は現れるか

 とはいえ、財務諸表から読み取れる18年度の損益分岐点超えの売上高は約420億円。今年度に入り、大型店舗である仙台店などを閉めたことから損益分岐点売上高は400億円程度まで低下したとみられるが、9カ月決算で200億円をようやく超える売り上げしか出せない企業が何をどうすれば達成できるのか。

 複数の銀行関係者によると、大塚家具は最近になって外資系ファンド出身のアドバイザーを雇い入れ、起死回生の策として、海外のファンドをはじめ、複数の国内の事業会社にも増資に応じるよう打診を始めている。ただ、普通のファンドでは手が出しづらい時価総額ということもあり、現在想定されているのは、事業シナジーが見込め、売り上げ増強に結び付く事業会社だ。

 大塚家具は昨年以降、すでに資本・業務提携している貸し会議室大手のティーケーピーをはじめ、ヨドバシカメラやヤマダ電機などの家電量販店にも増資引き受けを求めた。ヤマダだけはなんとか業務提携にこぎ着けたものの、残りはご破算になった。「昨年は銀行ともめ、振り回された揚げ句に決め切れなかった」と関係者は明かす。

 だが、今回ばかりはさすがに後がない。大口取引先のホテル業界から住宅メーカー、さらにはリアル店舗を持たないネット企業にまで声を掛けているとされ、久美子社長の危機意識もようやく臨界点を超えたのかもしれない。タイムリミットは来年3月だ。


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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