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元カリスマ予備校講師が教える、つまらない話を面白くするコツ

2019年11月18日 06時00分更新

文● 犬塚壮志(ダイヤモンド・オンライン

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つまらない話を面白くするコツ
カリスマ予備校講師も実践した話を面白くするコツとは?(写真はイメージです) Photo:PIXTA

話はそこそこわかりやすいのに、なぜか話を聞いてもらえない人がいる。元カリスマ予備校講師の犬塚壮志氏によれば、この原因はシンプルに「話が面白くないから」だという。ただし、「話が面白い=笑いをとる」というわけではない。では、どうすれば「面白い」と思われて、話を聞いてもらえようになるのか。『感動する説明「すぐできる」型』の著者でもある犬塚氏が面白く話すコツについて紹介する。

「わかりやすい話」なのに起こる悲劇

「すごくわかりやすいんだけど……」

 これは、ある方のセミナーに参加したときに思ったことです。その方は、セミナーの中でご自身の実務経験やそこから見出した知見を説明されていたのですが、会場全体はシーンとなり、参加者の多くはうつむきかげんでした。

 話の内容自体はとてもわかりやすいものでした。ただ、終始、私は話の内容にのめり込むことができず、終了の時間を待ちわびてしまったのです。

 現在、私は、教育コンテンツ・プロデューサーという肩書で、セミナーや研修の開発、さらには経営者や著者さんの話し方のトレーニングを行っています。

 こういった仕事の中で、クライアントに実際に話してもらうと、話はわかりやすかったり、PREP法(Point、Reason、Example、Pointの構成による話法)などの基本的なフレームワークを使うことができたりしているのに、「つまらない」と感じてしまうことがあります。

 どんなにわかりやすく話しても、話が「つまらない」と相手に思われてしまうと、その話は相手の頭の中に残ることなく流されてしまうのです。

「話がつまらない」でクビになる仕事

「わかりやすければ、人は話をちゃんと聞いてくれる」

 予備校講師として駆け出しのころの私は、本気でそう思い込んでいました。ただ、実際に生徒からの受講アンケートには、「わかりやすいんだけど、なんかつまらない」「退屈でした」といった辛辣なコメントを、かなりの数もらったことを今でも覚えています。

 ちなみにですが、通常、予備校講師という仕事は1年間の業務委託契約です。人気が出なければ減俸。最悪の場合、クビです。つまり、予備校講師として最前線で仕事をするためには、どうにかして生徒が面白がってくれるような話をしなければなりません。

向いていない「笑い」なんて、ないほうがいい

 ただ、ここで私が導き出した結論としては、話の「面白さ」というのは、「笑い」や「ジョーク」の類いではありませんでした。というのも、私は何度も講義で「笑い」をとりにいこうとしましたが、いつも空回り……。もともと、「笑い」や「ジョーク」は私に向いていなかったのです。それを無理矢理に実行しようと余計なことを考え、話し方がちぐはぐになってしまい、逆に生徒はどんどん離れていってしまった時期がありました。

「大学入試の化学という話の素材(ネタ)を面白くするなんて、そもそもできないんだ」

 そう思って、生徒を飽きさせないための「話を面白くさせる」ことを、なかば諦めかけたりもしました。しかし、そこでふと立ち止まって考えました。

「同じ話の素材(私の場合、受験化学)でも生徒から人気を集めている講師がいるのはどうしてだろうか?」

 私は、その疑問を解消したく、プライドをかなぐり捨てて、人気講師たちの授業を見学させてもらうよう、講師本人と直属の上司に懇願しました。その授業見学で彼らの話に、ある共通点を見つけたのです。

カリスマ講師の「話し方」の共通点とは

 その共通点というのが、一言でいうと、生徒の「知りたい欲求の刺激」をする話し方を身につけているということでした。いわゆる“カリスマ”と呼ばれる講師たちは、こぞってこの「知りたい欲求」、つまり知的好奇心の刺激の仕方が抜群にうまかったのです。

 別の言い方をすると、彼らの講義には、必ずしも「笑い」が入っているわけではありませんでした。むしろ、「笑い」なんて1ミリも起こらない講義すら多々ありました。つまり、無理して「笑い」をとりにいく必要はなく、むしろ聞き手を引きつけるためには知的好奇心を刺激することがもっとも効果的な方法だったのです。

 それでは、この知的好奇心はどのように刺激すればいいのでしょうか?

知的好奇心を刺激する2つのコツ

 この知的好奇心は、大きく次の2つに分けられます。

(1)拡散的好奇心
(2)特殊的好奇心

 1つずつ説明していきますね。

 まず、(1)「拡散的好奇心」とは、新たな情報を幅広く求めようとする感情です。つまり、「最新情報」や「ニュース」など、相手がまだ知らないであろう情報から話を始めれば、相手は能動的に耳を傾けるのです。「今朝あったことなのですが……」「最新のデータからわかったことなのですが……」、このように入っていけばいいのです。

 次に、(2)「特殊的好奇心」とは、ズレや矛盾などの認知的な不一致を解消するため、特定の情報を探し求めたくなる感情です。「あなたの考え、実は間違っていたんです」「非常識と思われていたことこそが正しかったんです」といったように、相手がそれまで信じていたことや常識だと思っていたことをある種「破壊」するように話すのです。そうすることで、相手は、「えっ、どういうこと?」「どうして!?」と、前のめりになって話を聞いてくれるようになります。

心を動かす話し方で日本一に

 こうしたカリスマ講師たちがこぞってやっていた知的好奇心の刺激を、実際に、私も講義で使ってみると、生徒の反応がそれまでとは明らかに変わりました。“受験化学”という地味なネタにもかかわらず、生徒の瞳孔がパッと開き、目をキラキラさせながら話を聞いてくれるようになったのです。

 知的好奇心を刺激する話し方を身につけた結果、自分が担当する季節講習会では満員御礼が続出。季節講習会での化学の受講者数は、なんと日本一になりました。

「いや、自分は話す仕事をしているわけではないから、話に面白さなんて必要ない」

「別に説明で心を動かさなくたって、予備校講師みたいにクビになるわけじゃないし」

 こう思った方もいるかと思います。

 確かに、「話がつまらない」という理由だけで仕事がなくなる方はそれほど多くないかもしれません。ただ、それでも好奇心を刺激するといった人の心を動かす面白い話ができるスキルは、予備校講師だけに求められているわけではないと私は考えています。

「話がつまらない」とチャンスを逃すことも

 なぜなら、「話がつまらない人」というレッテルを貼られてしまうと、本人が気づかないうちに、せっかくのチャンスを逃してしまう可能性があるからです。「この人と話していてもつまらないから、他の人に仕事を頼もうかな」。そんなふうに思われてしまうこともあるでしょう。

 一方、「この人の話、もっと聞いてみたい!」と思われると、あなたの活躍の舞台がどんどん広がっていくこともじゅうぶんあり得るのです。結局のところ、仕事は人と人のつながりによることが大きいので、プレゼンであれ営業であれ、面白い話ができれば、あなたのことを指名してくれる可能性は確実に高まります。

「でも、自分には人の心を動かすような話し方ができる才能やセンスなんてない……」

 そう思った方も、あきらめるのは早計です。すでにおわかりのとおり、かくいう私がそうでした。ですので、ご安心ください。相手の知的好奇心を刺激することに才能もセンスも一切いりません。口下手でも大丈夫です。

 相手の知的好奇心を刺激し、「目からうろこ!」「慧眼です!」「面白い!」と思ってもらえる話し方は誰でも身につけられます。そんな話し方を実践することは、「笑い」をとりにいくことより何倍も簡単なことなのです。

(教育コンテンツ・プロデューサー、元駿台予備学校化学科講師 犬塚壮志)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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