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上司がクサい…指摘が難しいスメハラを解決する方法

2019年11月14日 06時00分更新

文● 鶉野珠子(ダイヤモンド・オンライン

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電車内やお店の中、職場において「ニオイ」が気になるという人は多いだろう。上司の口臭が気になる、同僚から疲労臭がする、女性部下の香水がキツすぎる…。仕事のモチベーションを下げかねないこれらの「悪臭」だが、指摘するのは非常に難しい。相手のショックを最小限にして、「ニオイ」の注意をする方法はあるのだろうか。(清談社 鶉野珠子)

誰もが知らず知らずのうちに
“スメハラ”加害者に?

スメハラのイメージ
部下ならまだしも、上司にクサいとは指摘しづらい...そういう場合は、どう解決すべきか、専門家が解説する Photo:PIXTA

「ここ5年間くらいで、“スメルハラスメント”の相談件数は増えてきていますね」

 そう語るのは、一般社団法人「職場のハラスメント研究所」の代表理事を務める金子雅臣さんだ。スメルハラスメントとは、「スメル」、つまり「ニオイ」に関するハラスメントのこと。相手が不快に感じるようなニオイを放つとスメルハラスメントに該当し、場合によっては退職を告げられるケースもあるほど深刻な問題になってきているのだ。

 スメルハラスメントは「スメハラ」という略称で呼ばれ、数多くの人が無意識のうちにスメハラ加害者になってしまっているという。

「スメハラでとくに多いのは、加齢とともに現れる加齢臭と、極度の疲労やストレスによって現れる疲労臭の2つです。また、香水や化粧品などの香りも、度が過ぎればスメハラになりかねません」(金子さん、以下同)

 自分がどんなニオイを放っているのかは、なかなか気付けないもの。また、ニオイの感じ方は人によって異なるため、非常に敏感な人もいれば、まるで鈍感な人もいる。それゆえ、なにが相手を不快にするかは、これといった解が存在しないのだ。

20代でも生活が荒れて
いれば「疲労臭」が漂う

 ビジネスパーソンにとって、身だしなみの清潔感は欠かせない。とりわけ、社外の人と接する機会が多い職種ではなおのことだろう。「悪臭が原因で契約が白紙になってしまった…」など、業務に支障をきたすということはあり得るのだろうか。

「大いにあります。とくに、飲食店やコンビニなどの接客業は、従業員のニオイに関するクレームが多いです。むしろセールスマンでは、そういった事例はあまり聞きません。というのも、彼らは自分の身なりが不衛生だと業務に差し支えることを重々理解しているので、体臭を含む身だしなみには、すごく気を付けているからです。日頃から疲労臭を発生させない食事を心がけるなど、自己管理が行き届いているのですよ」

 金子さんいわく、飲食店やコンビニなどの接客業において、クレームが入るほどの悪臭を放っているのは20~30代の若い店員が多いという。

「この世代の人に多いのが、だらしない生活から生まれる悪臭です。たとえば、洗濯が雑な人の制服は、汗や皮脂などの汚れが落ちきっていないうえに、生乾き臭や部屋干し臭がすることもあります。また、偏った食生活、睡眠不足、入浴をシャワーだけで済ませるなどで体が十分に休まっていないと、疲労臭が漂う恐れもあります。これらは、その人の普段の生活そのものを改善しないと根本的な解決にならないため、注意しても直りづらいのです」

 コンビニのレジにいる店員がクサイ、居酒屋で料理を運んできた店員がクサイ…。その場限りはなんともないかもしれないが、「あの店はクサイ店員がいる」という印象がついてしまえば、リピーターは見込めないだろう。放っておけば徐々に店の売り上げを落としていきかねない、若い世代の生活に根付いた悪臭。どのように注意すればいいのだろうか。

部下がクサいケースより
上司がクサい方が難題だ

「やさしい言葉で直接伝えるか、言いづらければ店長に相談するといいでしょう。実は労働契約法第5条に『使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。』という記述があります」

「簡単にいえば、雇用主には従業員が気持ちよく働ける環境を守る義務があるということです。スメハラに該当するような従業員がいれば、他の従業員にとって、快適に働ける環境とは言い難いもの。雇用主たる店長には対策する義務があるので、動いてくれるはずです」

 金子さんは、「徹底した自己管理を行うエリート営業マンは、消臭アイテムなども豊富に使っています」という。スタッフルームに共用のケアグッズを置き、店舗全体でニオイ対策に取り組むというのも、ひとつの手かもしれない。

 前述のように、部下のニオイが気になるということであれば、注意することにそこまで気は病まないないだろう。問題は、上司から気になるニオイがする場合だ。加齢臭が出てしまう年齢の人となると、職場でも重役に就いていることが多い。そんな大御所に対して、「体臭が気になる」というセンシティブな内容など、話せるはずはない。こういった深刻な事態の場合、どのようにして上司に伝えるのが最適解なのか。

「想像してみてほしいのですが、年配で、どんなに偉い上司でも、家に帰れば奥さんや子どもから『お父さん、最近クサイよ』と、注意を受けているものです。なぜなら、“家族”というコミュニティーで、きちんとコミュニケーションがとれているから。ですから理想としては、部下から上司への注意もできるよう、常日頃からフラットに話せる関係性を構築しておくことが重要だと思います」

「匿名の手紙」で
クサイ問題を解決したケースも

 しかし、それが簡単にできていれば、この世で「スメハラ」など問題にならないだろう。金子さんも、「とはいえ、正直に言うのは難しいので、これはあくまで理想です」と、念を押す。

 では現実的な案として、どのように伝えるのが失礼に当たらないのだろうか。

「まずは朝礼などの全員が集まっている場で、『ニオイ』についての議論ができるような、きっかけを生み出すといいでしょう。たとえば、『最近隣の課で体臭が問題になっているらしいから、うちの課も注意しよう』と話題に出すなどです」

「職場で話題に上がれば、これまで自覚がなかった当事者にも、意識を持ってもらいやすくなります。もし、そこまでしても何の変化も見られないようであっても、社内でニオイについての話がオープンにできるようになっていれば、以前よりは注意するハードルがグッと下がるはずですよ」

 金子さんは「それでもダメなら、匿名でその人の自宅に手紙を送るというのが最終手段かもしれません」と、アドバイス。事実、金子さんの元へ相談にきた人のなかには、そのような方法で解決に至った人もいるそうだ。

 一歩間違えると、人権侵害や名誉毀損 にも発展しかねない「ニオイ」の注意の仕方。だが、放置すれば会社の利益ダウンにつながる重大な問題だ。上司・部下に関係なく日々のコミュニケーションを重んじ、言いづらいときは外堀から埋めることで、事を荒立てずに、快適な職場を実現できるかもしれない。


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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