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荻窪圭の“這いつくばって猫に近づけ” 第634回

スマホを卒業して本格的に撮りたい人向けの富士フイルム「X-A7」で猫を撮る

2019年10月29日 12時00分更新

文● 荻窪圭/猫写真家

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ボディー内手ブレ補正がないので
撮影時に工夫が必要

 撮影場所はいつもお世話になってるオープン型保護猫シェルターqueue。ここ、窓が大きいので晴れてるときは明るくて写真も撮りやすくていいのだけど、曇っていたり日が暮れてきたりするとちょっと暗い。だから付属のズームレンズキットではちょっと扱いづらい。

 そこで、50mm F2というコンパクトな単焦点レンズを持っていった。X-A7はボディー内手ブレ補正を持ってないので、あられもない格好をして猫を撮ると手ブレしやすい。そういうときは、電子シャッターを使うといい。

 一部のミラーレスカメラはメカシャッターではなく電子シャッターを使うことができる。メカシャッターは「シャッター幕」という黒い幕が実際に動いて光を制御するので、撮影時に微少な振動がある。電子シャッターではそれがないので手ブレしづらいというわけだ。さすがに遊び回ってる姿を撮れるのは陽射しが明るい昼間だけだけど、夕暮れのしっとりした感じの猫もよい。このハチワレ、なんかちょっと斜めにしなっと座ってるのが気に入って撮ってみた。

ちょいと斜めに座ってるキジトラのハチワレ。首輪がついてる猫は譲渡対象ではなく、シェルターで飼っている猫。だからひとなつこくて表情も優しい。2019年10月 富士フイルム X-A7

 近くから撮らせてくれる猫はぐっと寄って、カウンターの上に座ってるところをちょっと下から。ふわふわした長毛っぷりがいい。

ふわふわの長毛種。ちょっと斜め下からローアングルで狙ってみた。お年寄りならではの落ち着き。2019年10月 富士フイルム X-A7

 何度も書いてるけど、近距離で撮るときはフォーカスをきちんと猫の目に合わせるのが大事。そうしないと鼻にピントが合って目はちょっとぼけてるなんてことになりやすいからだ。こういうときはAF枠を小さくしてちゃんと合わせてやること。フォーカスをカメラ任せにしちゃうと手前のしっぽや足にピントがいっちゃうから。

AFをカメラ任せにしたらどうしても手前の足やしっぽにピントが来ちゃうので、AF枠を小さくして目に。2019年10月 富士フイルム X-A7

 このカメラがもうひとつ面白いのはフルオートモードでのデフォルトが16:9であること。イメージセンサーは3:2なので上下をトリミングしているのだけど、スマートフォンや動画を撮る人を意識してるんだろうなと思う。で、冒頭写真。いつもは撮影後に16:9にして掲載してるんだけど、今回ははじめて最初から16:9で撮ってみた。しゃがんで猫を狙ってるわたしの後ろを他のお客さんが歩いた拍子に目がふっとそれを追いかけた瞬間だ。さらに、真正面から小さくきゅっと香箱座りしてるキジトラのおばあさんとか。

めちゃひとなつこいおばあさん猫。座ってるとひょこひょこと足元にやってくる。口元がなんとなくおばあさんっぽい。2019年10月 富士フイルム X-A7

 さらに、ちょこんと座ってる姿をちょっと遠くから。背景が黒いのがミソ。黒の背景に白い猫だと(露出の調節は必要だが)きりっと写るのだ。

冒頭で使おうと思って16:9で撮った写真。右のピンクの猫ベッドに別の猫が寝ててそれを見てるのだ。2019年10月 富士フイルム X-A7

 上位機種に比べるともたつくこともあるけど、エントリーモデルだからそこはしょうがない。逆にコンパクトで軽いから、猫のいる場所や動きにさっと反応できる軽快さがあるわけで、重厚長大超高性能カメラより結果的によい写真を撮れたりもするのだ。そういうのって面白い。

 コストパフォーマンスはすごく高くて操作もわかりやすいので、スマートフォンで写真にはまってもうちょっと本格的に撮ってみたいけど難しそうなのはイヤって人にオススメです。

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筆者紹介─荻窪圭


著者近影 荻窪圭

老舗のデジタル系ライターだが、最近はMacとデジカメがメイン。ウェブ媒体やカメラ雑誌などに連載を持ちつつ、毎月何かしらの新型デジカメをレビューをしている。趣味はネコと自転車と古道散歩。単行本は『ともかくもっとカッコイイ写真が撮りたい!』(MdN。共著)、『デジカメ撮影の知恵 (宝島社新書) (宝島社新書)』(宝島社新書)、『デジタル一眼レフカメラが上手くなる本』(翔泳社。共著)、『東京古道散歩』(中経文庫)、『古地図とめぐる東京歴史探訪』(ソフトバンク新書)、『古地図でめぐる今昔 東京さんぽガイド 』(玄光社MOOK)。Twitterアカウント @ogikubokei。ブログは http://ogikubokei.blogspot.com/


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