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プロ野球に最も多くの選手を送り込んだ高校ランキング2019【ベスト30・完全版】

2019年10月21日 06時00分更新

文● 森岡 浩(ダイヤモンド・オンライン

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佐々木朗希投手
新人選手選択会議(ドラフト会議)でロッテに1位指名され、胴上げされる大船渡高の佐々木朗希投手(中央) Photo:JIJI

佐々木朗希、奥川恭伸…
今年のドラフト指名は107人

 10月17日、今年もプロ野球ドラフト会議が開催された。今年指名されたのは、本指名74人、育成指名33人の合わせて107人。その出身校は多彩で、誰でも知っている名門校から、桶川西高のように今年初めてプロ入り選手を出した学校まで様々だ。

 この時期になると、ドラフト制度が始まって以来最も多くの選手が指名された学校はどこかといった記事が出るが、そうした枠を取り払って、1936年のプロ野球誕生以来、最も多くの選手をプロ球界に送り込んだ学校を見てみたい。

 まず、最初にお断りしておきたいのが、日本のプロ野球界には公式戦に出場した全選手の名簿はあるが、在籍した全選手の名簿は存在しないということだ。そのため、ここで集計されているのは筆者が独自に調査したもので、まだ一部に未集計の選手が残っている可能性がある。

 また、名門・古豪といわれる歴史の古い学校には、途中で分離や合併など様々な変遷を辿った学校も多く、どこをどの前身とするかといった見解がわかれる学校もある。そのため、見解によって多少の誤差が生じることをご了解いただきたい。

 まずは、近年の注目校から見ていきたい。

 なんといっても注目は、すさまじいペースでプロ入り人数を増やしている大阪桐蔭高だろう。同校は1983年に大阪産大高校大東校舎として創立した学校で、独立して大阪桐蔭高となったのは1988年。同年の秋には早くも今中慎二選手が中日にドラフト1巡目で指名された。昨年は、根尾(中日)・藤原(ロッテ)の1巡目2人を含め、一挙に5人が指名されるなど、すでに38人がプロ入りしている。

 今年も福田広輝(大阪桐蔭高→法政大)がロッテの5巡目、在学中の中田唯斗がオリックス育成3巡目で指名されたが、まだベストテンには届かない。しかし、人材はまだまだ豊富で、まもなくベストテンに食い込んでくるのは確実だろう。

 その高校球界での立ち位置はかつてのPL学園高に近く、中田翔(日本ハム)、藤浪晋太郎(阪神)、森友哉(西武)と3人のドラフト1巡目指名選手が活躍中である。

プロ野球誕生以来、最も多くの
選手を球界に送り込んだ「10校」とは?

 それでは、第10位の学校から順に見ていこう。

第10位 早実(東京都) 43人

 第10位は、高校野球草創期からの名門・早実で43人。王貞治(巨人)をはじめ多くの名選手を輩出してきたが、早稲田大学に推薦で進学できることから入試が難しくなり、近年は甲子園への出場回数がかなり減っている。それでも、清宮幸太郎(日本ハム)など超高校級選手を擁して甲子園に出場、また早大を経由してプロにも定期的に人材を送り込んでいる。

第9位 松山商(愛媛県) 49人

 9位の松山商も、甲子園大会が始まる以前から続く明治時代からの名門校。プロ草創期に、景浦将(阪神)など数々の名選手を送り込んだ。以後も多くの選手が活躍したが、平成以降の全国的な商業高校衰退の波を受け、2001年夏を最後に甲子園には出場していない。プロ入りも、2005年の梅田浩(創価大、巨人8巡目)を最後に指名がなく、現役選手はゼロ。

第8位 享栄高(愛知県) 55人

 享栄高と言われてまず思い出すのが、プロ通算400勝という大記録を打ち立て、先日亡くなった金田正一(国鉄・巨人)。高校は中退しているが、公式戦でも登板しているのでカウントしている。他には初登板でノーヒットノーランを記録した近藤真一(中日)など。現役では大島洋平(中日)らがいる。

第7位 大体大浪商高(大阪府) 56人

 この名前で甲子園に出場したことは1回しかなく、往年のファンには「浪華商」「浪商」として有名。戦前から昭和40年代頃にかけての名門校だ。1979年の選抜で牛島―香川のバッテリーを擁して準優勝した以降は、あまりプロも出ていない。現役では村田透(日本ハム)がいる。

第6位 熊本工(熊本県) 58人

 熊本工は公立高校としては全国最多、現在まで実業系の高校として続いている学校としても全国一のプロ入り数を誇る。平成以降、全国的に高校野球界では公立校と実業系高校の地盤沈下が進んでいる中で、現在まで活躍を続けている数少ない高校だ。古くは川上哲治(巨人)に始まり、近年でも確実にプロ入り選手を出し続けている。

 こうしてみると、上位にはどうしても歴史の古い学校が並び、若いファンにはぴんと来ないかもしれない。実際、この5校から今年指名された選手は1人もいない。
 
 今夏の甲子園で優勝、近年プロ入り選手が続いている履正社高でも、プロ入りはまだ12人。今年も井上広大が阪神から2巡目で指名されたが、ランキング入りは遠い。準優勝した星稜高からは奥川―山瀬のバッテリーが指名されたが、現在までのプロ入り人数は17人。やはりベスト30にも届いていない。

甲子園の出場回数と
プロ入りの人数は関係ない

 ランキング外の学校で特筆すべきは、茨城県にあるつくば秀英高。1995年創立で、まだ春夏通じて甲子園には一度も出場したことがないだけでなく、夏の県大会では決勝にも進んだことがないにもかかわらず、この23年間でプロ入りはすでに7人。平成だけのランキングを作成すると上位に入って来る数字だ。甲子園とプロ入りは直接の関係はないことを、如実に示している。

 もっと創立の古い学校まで入れると、強豪校の多い神奈川県で甲子園出場を果たせない横浜創学館高が秋山翔吾(西武)ら9人、兵庫県の洲本実が8人をプロに送り込んでいる。

第5位 龍谷大平安高(京都府) 61人
 
 龍谷大平安高も、年配の方には「平安高」という名称の方が馴染みがあるだろう。龍谷大平安高と改称してからも2014年選抜では優勝するなど、戦前の平安中の時代から現在まで、一定の数をプロに輩出し続けている。

 古くは衣笠祥雄(広島)、現役では炭谷銀仁朗(西武)や酒居知史(ロッテ)らがOB。

第4位 広陵高(広島県) 66人

 第4位は、一昨年夏の甲子園で準優勝した広陵高。今年の指名はなかったが、昨年には1人プロ入りしている。

 同校もやはり戦前からの名門だが、プロ入りに関しては平成以降の方が勢いがある。中村奨成(広島)はじめ、21世紀以降だけで7人がドラフト1巡目で指名されるなど、中井哲之監督の育成力には定評がある。OBは広島が多く、現役では野村祐輔、有原航平(ともに広島)など。

不祥事で監督と部長が退任も
短期間で多くのプロを輩出した学校

第3位 横浜高(神奈川県) 67人

 ここまで紹介した高校が、戦前からプロに人材を送り込んでいるのに対し、横浜高は戦後に創部した学校で、当然プロ入りしたのもすべて戦後。しかも、この67人のほとんどは渡辺元智前監督が育てた選手で、渡辺監督はおそらく日本で最も多くのプロ野球選手を育てた監督であろう。愛甲猛(ロッテ)、松坂大輔(ソフトバンク)など、高校野球史に名を残す選手も多い。

 昨年も2人プロ入りするなど、渡辺監督交代以後も引き続きプロ入り選手が出ていたが、先日監督と部長が共に不祥事で退任。今年は及川雅貴が阪神3巡目、樋口龍之介(横浜高→立正大→BCL新潟)が日本ハム育成2巡目で指名されたが、今後の動向が注目される。

第2位 中京大中京高(愛知県) 77人

 第2位は中京大中京高。戦前から戦後にかけては中京商、昭和後半は中京高、平成以降は中京大中京高と、校名は変化しつつも、常に高校球界のトップに近い位置に存在し続けている。

 甲子園での春夏合わせた優勝11回や、通算133勝などは断トツの1位だが、プロ選手の数は第2位。実は、プロ入り人数でもしばらくトップを走っていたが、平成以降のプロ入りはあまり多くなく、トップの座を譲り渡してしまったのだ。現役では楽天の嶋基宏や、広島の堂林翔太、阪神の伊藤隼太らがOB。

第1位 PL学園高(大阪府) 82人

 第1位は、1980年代から90年代にかけて黄金時代を築いたPL学園高。PL学園高の創立は1955年で、創部はその翌年。最後の年である2016年までの61年間に82人という人数は、1つの代から平均1.3人がプロ入りしているという極めて高い確率だ。実際、1980年代頃には1つの学年から数人がプロ入りするのも珍しくなかった。

 しかも、ただ人数が多いだけではなく、清原和博(西武ほか)・桑田真澄(巨人)をはじめ、木戸克彦(阪神)、小早川毅彦(広島他)、立浪和義(中日)など、多くの名選手をプロに供給してきたことで知られる。現役では、前田健太が大リーグ・ドジャースで活躍中だ。

 しかしそのPL学園高も、2013年秋に専任監督が不在となり、2016年夏の府大会出場を最後に休部してしまった。昨年のドラフトでは東洋大の中川圭太選手がオリックスに指名されてプロ入り、今年もドラフト候補といわれた選手はいたが、まもなくアマ球界に同校のOBはいなくなる見込みだ。したがって、新たなプロ入り選手は出なくなり、トップの座を再び明け渡すのは時間の問題だ。

PL学園高の大記録を打ち破る?
ダークホースたちの横顔

 上位5校の中では、供給のほぼ止まったPL学園高を、中京大中京高が着実に追いかけ、さらにその後から横浜高と広陵高が激しく追い上げているという展開。各校の間には少し差が開いているが、今のペースでいくとやがて大きな順位変動がありそうだ。

 一方、智弁和歌山高(11人、今年2人指名)や池田高(7人)は、甲子園での活躍に比べてプロ入り選手が少ない。智弁和歌山高は基本的に有名進学校でもあるという事情もあるが、プロ入りするほどの能力の高い選手が少ないにもかかわらず甲子園で実績を残しているわけで、それはとりもなおさず監督の力量の高さを示しているともいえる。

 逆にプロ入りが多いのが、31人の柳川高だ。広島商や県岐阜商、報徳学園高などと同数で、愛工大名電高、帝京高よりも多い。甲子園では一度も決勝に進んだことがないことを考えると、かなり多い人数といえる。

 現在までに1人でもOBをプロに送り込んだことがある学校は、全国に1700校ほど。今年も新たに10校以上が初のプロ野球選手を出しており、野球部のある高校のうち半分近くはOBにプロ入りした選手が出ていることになる。

(姓氏研究家、野球史研究家 森岡 浩)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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