Windows 10 Ver.1909における変更点
この新しい配布方式のWindows 10アップデートである19H2は、「パフォーマンスの向上」「エンタープライズ機能」「品質強化」がアップデート対象となり、大きな機能変更はない予定だという。これは、品質アップデートを共有することからも、容易に想像がつく。簡単にいえば、19H2こと、Windows 10 Ver.1909は、Ver.1903のマイナーアップデート版になる。
19H2の変更点は大きく3種類に分類できる。1つは、いわゆる「一般的な機能強化点」。もう1つは「エンタープライズ向け機能」だ。そして残りの1つは、ユーザーが直接見ることができない「システム」関連の変更である。
なお、現在のWindows 10では、Microsoftストア経由で多くの標準付属アプリをアップデートするため、20H1の開発とともに変更された標準付属アプリケーションがある。ただし、本記事では、これらの変更点は、19H2の変更点には含めない。
まずは、一般的な機能強化点だが、以下のようなものがある。どれも小振りな変更でやはりマイナーチェンジ感がある。
●タスクバーのカレンダーフライアウトから予定登録が可能に
「設定」→「システム」→「通知とアクション」のアプリ一覧にソート機能がついた
●スタートメニューの左下の縦に並ぶアイコンにマウスを置くとペインが拡張して説明文字列を表示
「設定」→「システム」→「通知とアクション」のアプリの詳細設定ページの改良
●アクションセンターの最上部に「通知の設定」リンクがついた
サードパーティデジタルアシスタントのロック画面での利用
●エクスプローラーの検索ボックス改良、OneDrive内コンテンツの検索が可能に
●ナレーターの改良
一部の機能は、20H1の新機能として紹介されているが、それ以外のものでも、20H1ではすでに対応しているものばかりである。たとえば、20H1の変更点を紹介するマイクロソフトのブログでは、サードパーティデジタルアシスタント(たとえばAmazon Alexa)をロック画面でも使えるようにする機能は紹介されていないが、ちゃんと20H1では、Alexaをロック画面で使うことが可能だ。
大きなものとしては、カレンダーの予定追加機能がある。これは、タスクバー右下の時計をクリックしたときに表示されるカレンダーのフライアウト(ポップアップ)から予定の登録が可能になるものだ。
エンタープライズ機能に関しては、変更点は以下のようなものになる。これについては項目を挙げるにとどめておく。なお、ARM64デバイスに関しては、マイクロソフトがSurfaceシリーズに製品を出したこともあり、かなり本気でx86/x64系との互換性を持たせている最中だ。20H1ではWLS2のARM64対応などが含まれ、来年ぐらいには、ほぼ同じように利用が可能になりそうだ。
●WSUS関連
●WIP4Biz関連
●Windowsコンテナー関連
●Bitlocker/MDM関連
●Windows 10SとWindows Intuneサーバーの改良
●ARM64デバイス(Windows On ARM)でWIndows Defender Credential Guardが利用可能
システム系の変更は、特定のハードウェアに対応するものが多い。具体的には、
●CPUコアのタスク割り当ての改良
●インテルCPUのデバッグ機能に対応
●ペンハードウェア関連
●特定CPUの電力消費改善
といったものがある。このうちCPUのタスク割り当ては、各コアの優先コア間でのタスク割り当てを公平化するもの。Windowsでは、SMT(Intel Hyper Thread機能など)コアと物理コアを区別しており、SMTでコアが複数見える場合、1つだけを優先コアとして残りのコアとタスク割り当てに違いを持たせる。このようにすることで、処理性能を保つようにしている。
このとき、優先コア間でのタスク割り当て(スレッドの実行割り当て)を公平にすることで、非効率的な実行を減らすことができる。SMT機能を持つプロセッサ向けの機能だが、具体的な違いを見ることは難しい。
ざっと見た感じ、19H2は、ほとんどWindows 10 Ver.1903と同じといっていいかもしれない。エンタープライス機能などでは違いがあるのだが、それぞれ、Microsoftのサーバー製品などを利用して管理している場合に限られる機能であり、管理自体は容易になるだろうが、利用者には具体的な違いとしては見えにくい。

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