乳幼児から未就学児の低年齢の子どもにも、インターネット利用は浸透している。低年齢の子どもたちの利用実態とリスク、対策について解説したい。
低年齢でも少なくない、ネットがやめられない子どもたち
内閣府の「低年齢層の子供のインターネット利用環境実態調査 調査結果」(平成29年5月)によると、0〜9歳の子供のうち39.2%がスマホ、タブレット、携帯ゲーム機などのいずれかの端末でインターネットを利用している。これは、年齢が上がるにつれて多くなる(https://www8.cao.go.jp/youth/youth-harm/chousa/h28/net-jittai_child/pdf/gaiyo.pdf)。
さらに、いずれかの機器の利用者のうち43.8%が子供専用のものを使っており、77.5%が一人で操作することがあるという。インターネットの利用内容は、動画視聴(85.4%)、ゲーム(65.8%)、知育(30.%)が上位となっている。
続けて、子どものインターネット利用でトラブルがないか聞いたところ、「注意してもやめない」が24.2%で最多。続いて「パスワードを解除した」(7.4%)となった。ネットの利用率は年齢が上がるほど高くなるが、注意してもやめないケースは2歳で26.1%、3歳で31.0%など、年齢に無関係にはまっていることがわかる。
端末にはロック、課金できない設定を
低年齢の子どもたちがタブレットを渡されたり、保護者のスマホを借りて、YouTubeを見たりゲームをやったりしている姿はよく見かける。子どもはタブレットやスマホが大好きであり、外出時や夕飯を作るときなどに渡しておくと静かにしてくれるためだ。
実は、タブレットやスマホなら文字入力などができない乳幼児でも十分に利用できる。「字も読めないのに、2歳の子が上の子のマネして音声検索をしていて驚いた」などの保護者の声を複数聞いたことがある。
筆者の子どもは、0歳でまだ歩けない頃、勝手にiPadのロックを解除してアプリを起動して遊んでいたことがある。YouTubeを見せたときも、履歴から好きな動画を見つけて再生していた。
子どもが勝手に知り合いに無言電話をかけたり、いたずらLINEを送ってしまう例もとても多い。筆者も子どもにいたずらメールを送られてしまって驚いたこともあるし、逆に友人の子どもに無言電話をもらったことも数回ある。子どもに勝手に利用されないためには、端末にロックをかけるなどの対策が必要だろう。
「勝手に買い物/課金をされてしまった」という話も珍しくない。ゲームアイテムなどをタップで大量購入していた例や、いつも使う通販アプリで要らないものを勝手に購入されてしまった例などがある。過去の連載を参考に、端末で課金・購入できないような設定をしておくといいだろう。
また、YouTubeは自由に見られるようにしているという家庭は多い。「(YouTubeを見るのは)もうやめなさいと言ってもやめない」という悩みを抱えている保護者はとても多い。視聴時間制限やルールを決めるなどをして対策してほしい。
ネットの利用は低年齢化している。端末は低年齢の子どもでも簡単に利用できる上、トラブルにもつながりやすくなっている。子どもに利用させる際には、必ず対策を施して、トラブルを未然に防ぐようにしてほしい。
著者紹介:高橋暁子
ITジャーナリスト。書籍、雑誌、Webメディアなどの記事の執筆、監修、講演などを 手がける。SNSや情報リテラシー教育に詳しい。『ソーシャルメディア中毒』(幻冬舎)、『Twitter広告運用ガイド』(翔泳社)、『できるゼロからはじめるLINE超入門』(インプレス)など著作多数。テレビ、ラジオ、新聞、雑誌などメディア出演も多い。公式サイトはhttp://akiakatsuki.com/、Twitterアカウントは@akiakatsuki
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