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太陽光発電に2つの「足かせ」、国策課金と地方税で事業者は死屍累々?

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太陽光発電

太陽光発電ビジネスの命運を左右する議論がにわかに熱を帯びている。それが「発電側基本料金」と「法定外目的税」だ。業者の悩みの種になっている2つの“足かせ”。その目的とはいったい何なのか。(ダイヤモンド編集部 大根田康介)

メガソーラーは2600万円の負担増!

 太陽光発電業者の負担が増えるのではないか――。そんな懸念の声が太陽光発電業界内からわきあがっている。

 その理由の1つが、経済産業省が検討している「発電側基本料金」。再生可能エネルギーを含む全ての発電事業者に対し、最大出力(kW)に応じて新たに基本料金を課金する仕組みのことだ。

 具体例を挙げると、太陽光発電に関しては、20年間で2.6万円/kW程度の負担増が予測されている。つまり、1MW (1000kW)以上のメガソーラーなら20年間で2600万円負担が増える計算だ。これが今年7月に議論が本格化したことで、いよいよ現実味を帯びてきた。

 2012年に固定価格買い取り制度(FIT)が導入され、太陽光発電業者をはじめとして、再生可能エネルギーに商機を見いだし参入する発電事業者(分散型電源)が爆発的に増えた。それに伴い、発電した電気を各地に送る送配電設備の維持管理費が今後も膨らむと見られている。

収益性の低下に業界は大反発

太陽光パネルと工事

 これまで送配電網の維持更新費は「託送料金」として電力会社など小売電気事業者(その先の消費者)が負担していた。それを受益者である発電事業者にも広く負担してもらい、送配電網の維持更新費を確保するのが発電側基本料金の狙いだ。

 ただ、FITに群がった事業者にとっては、国策で事後的に負担が増えるというデメリットしかない。そこで事業者側は、国に「調整措置」(売電収入の減額分の補てん)を要望している。

 だが今のところ、利潤配慮期間(2012年6月から2015年6月)に実施された、いわゆる「プレミア価格」(売電価格29円、32円、36円、40円)の案件については調整措置の対象外とする案が出ている。そうなれば発電事業者の収益性が落ちるため、業界の大反発を招いているというわけだ。

太陽光パネルに課す「法定外目的税」とは

 もう1つ、太陽光発電事業者の悩みの種がある。それは、岡山県の美作市が導入を検討している「法定外目的税」だ。

 これは、事業用太陽光発電所に設置された太陽電池パネルの面積に応じて発電事業者に課税するというもの。美作市によれば、環境保全、防災対策、生活環境対策及び自然環境対策の費用に充てるという。パネル1平方メートル当たり50円の課税で10kW以上の野立て発電所を対象とし、年間9400万円の税収を見込む。

 これに対し今年6月、太陽光発電協会が反対声明を発表した。

 この法定外目的税が全国自治体に波及すれば、太陽光発電事業にとっては「法人事業税や固定資産税にプラスした二重の税負担になる」「自治体が後から課税すれば、想定収益の確保が難しくなり、既存事業者は借入金の返済計画などの変更を迫られる恐れがある」といった問題点を指摘。公平な競争を損ない、長期安定稼働の妨げになると批判している。

 美作市が導入を検討する太陽光パネルに対する課税が実際に導入されると、税収アップを狙う全国の自治体にも波及する可能性が高い。そうなれば、太陽光発電事業者に対する影響は計り知れない。

 2つの“足かせ”で業界は死屍累々となりかねない。こうした国や自治体の動きは見方を変えれば、FITにより潤ってきた太陽光発電業界から少しでもお金を回収し、新たな財源として確保したい――そんな思惑が透けて見える。


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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