いつだってレースを
ドラマチックに変えるのは雨
突然降り出した雨により、第1コーナー周辺はウェットコンディションになってしまう。しかし、1コーナー以外の場所はドライ路面という難しい状況。路面が少し濡れた状態ではなぜか強い4号車がこの混乱に乗じてトップに踊り出る。そして雨はついにコース全域で降り出し、30周目を過ぎたあたりからレインタイヤを選択するチームはピットインを始めた。その後、雨は小降りになりスリックタイヤに交換するチームも現れる。そんな状況下での34周目、22号車(アールキューズ AMG GT3)がクラッシュしてしまい、2度目のSCが導入された。
この段階でウェットタイヤ、スリックタイヤ、まだピットインしていないスリックタイヤを履いたチームが混在する状態となり、順位が大幅に変わる。40周目にSCが解除になるや否や、9号車(PACIFIC MIRAI AKARI NAC PORSCHE)がコースアウト。43周目から3度目のSC導入となってしまった。
49周目にSC解除となると2度目のSCの前にレインタイヤを選択したチームが上位へと上がって来る。その筆頭は55号車 ARTA NSX GT3。一気にポジションを上げていきトップに躍り出る。しかしARTA NSX GT3は先のピットアウトで他のマシンと接触してしまいドライブスルーペナルティとなって順位を落としてしまうことになった。
そして、その後に速さを見せたのが720号車(McLaren 720S)。88号車(マネパ ランボルギーニ GT3)を58周目に追い抜いてトップに浮上する。しかし、徐々に路面が乾いてきた終盤、なんとラップタイムで1周6秒以上も速いという勢いで追いついてきたのが60号車(SYNTIUM LMcorsa RC F GT3)。スリックタイヤで我慢を重ねてきた60号車が路面の乾きとともに上位へあがってきたのだ。
そしてラスト4周で720号車を抜いてトップに浮上、そのままチェッカーを受けた。ウェットの不利な条件の中、ラストのドライに賭けて粘りに粘った60号車。チームとしては今季初優勝で、ドライバーの吉本大樹選手はSUPER GT参戦100戦目というメモリアルなレースで優勝という二重の喜び。相棒の宮田莉朋選手はSUPER GT初優勝だった。また、2位の720号車は参戦初年度で初表彰台を獲得という結果になった。
苦しい条件だからこそ
チーム力が光ったレース
予選日はドライながらタイヤにダメージを与えやすい荒れた路面と、そこに薄っすらと覆いかぶさり路面を滑りやすくしてしまう阿蘇山からの火山灰、そして決勝日での目まぐるしく変わるゲリラ豪雨のような天候という悪条件で行なわれた過酷なレースではあるが、その順位を運の一言で片付けるわけにはいかないだろう。タイヤ選定の意志と決断、不利な状況下で有利に働くポジションの模索など、過酷であるがゆえにチームの作戦が光ったレースだった。
次戦は9月21~22日に開催される、マモノが棲むというスポーツランドSUGO。マモノが動いたとされる数々のドラマを生んだサーキットで今年はどんなドラマが生まれるのであろうか。
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