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前田知洋の“マジックとスペックのある人生” 第99回

ヘッドホンが臭い?イヤーパッドのメンテナンス

2019年09月10日 12時00分更新

文● 前田知洋

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DJの悩み、ヘッドホンの臭い対策は?

 いつも筆者が出演しているラジオ番組。ナビゲーターの美人女性DJが口癖のように言うのが「ヘッドホンが臭う!」。たしかに、僕らが使うのとは違って、プロならヘッドホンの連続使用時間も長いので、そんな悩みにもうなずけます。

 筆者がたまに使うヘッドホン、BOSEのQC25も鼻を近づけてみると、やっぱり臭います。でも、考えてみれば当たりまえ! 耳周りは皮脂や汗腺も多そうだし、肌に当たるイヤーパッドは下着と違って洗濯もしないので…。

 あらためて眺めると、筆者のイヤーパッドも臭いだけでなく、ボロボロになってきています。

 というわけで、新しいイヤーパッドにパーツ交換することにし、それを機会に「こんどからは、ヘッドホンを臭くしないぞー!」と対策に挑戦することにしました。

皮脂や汗は分泌されたばかりは、ほぼ無臭!?

 ヘッドホンを分解したことがある人はご存知かもしれませんが、耳にあたるイヤーパットの部分は、スポンジと薄い合成皮革などで構成されています。

ヘッドホンのイヤーパッドは合成皮革とスポンジで構成されている

 専門家によると、臭いの原因は汗や皮脂、垢が雑菌に分解され、発生する揮発性分だそう。な、なるほど…。

 興味深いのは、分泌されたばかりの汗や皮脂は、ほぼ無臭だそう。なので、汗や皮脂をイヤーパッド内部に染み込ませないようにすること、雑菌を繁殖させないことが、臭い対策のポイントになりそうです。

 「それなら、ウェットティッシュでこまめに拭けば…」とお思いの方もいるかもしれません。しかし、それほど単純な話ではありません。

意外にデリケート!?イヤーパッド

 イヤーパッドの表面材質は弾力のある合成皮革がほとんど。合成皮革はポリウレタンをはじめとした合成樹脂をナイロンなどの生地にコーティングされたものをいいます。

 革のようで高級感もあり、柔軟性があって肌触りも良い…。高機能なポリウレタン加工ですが、弱点は加水分解してしまうこと。加水分解とは水と反応して劣化することを指します。アルコールなどにも弱く、使用環境によりますが、耐用年数は3~5年といわれています。多湿の日本ではあまり向かない素材でもあるのです。

 イヤーパッドに使われる合成皮革はポリウレタンだけでありませんが、音質や使用感を優先すると、どうしてもパッドの耐久性は後回しになってしまうのが現状です。機器メーカーとしては、交換用のパッドを用意することで対策としているようですが…。

交換用イヤーパッド。筆者は純正ではなくジェネリックパーツを選択

雑菌を繁殖させないヘッドホンのメンテナンス

 というわけで、そんなデリケートなイヤーパッド。筆者オススメの「臭わないヘッドホンのため」の対策は以下のとおりです。

○ 臭いの対策その1 イヤーパッドそのものを替えてしまう(笑)
 上で説明したように、ポリウレタン樹脂加工のイヤーパッドは、音質は良いですが寿命が短い。それを逆手にとり、少しでも臭いそうになるタイミングで、パッドそのものを交換する対策です。問題は、パーツがやや高価なこと。筆者愛用のBOSE QC25の場合、純正パーツで4500円なり。こまめに替えるには少ししんどい値段です…。

○ 臭いの対策その2 イヤーパッドカバーを使い、こまめに洗濯する
 水分やアルコールが苦手なイヤーパッド…。「それなら!」と販売されているのがイヤーパッドカバー(ヘッドホンカバー)です。筆者が購入したのは、mimimamo(ミミマモ、フィフティクス社)。ストレッチ素材で2種類のサイズがあり、いろいろなヘッドホンにフィットします。やや高め(Lサイズで2690円)ですが、抗菌加工で洗濯もできるのがグッドです(ただし、手洗い推奨)。

ヘッドホンカバー「mimimamo」(ミミマモ、Lサイズ)

カバー装着後。メーカー別対応表で適したサイズを確認できる

○ 臭いの対策その3 ヘッドホンを使う前に、耳周りを拭く
 意外に盲点な対策は、ヘッドホンのイヤーパッドではなく、「使う前に、耳の周りを除菌ティッシュで拭いておくこと」。なんか、一休さんみたいな解決法ですが…(笑)。

○ 臭いの対策その4 シリコン系保護剤を使う
 ヘッドホンだけでなく、樹脂系素材のメンテナンスに悩んでいる人は多くいます。効果的で手軽な対策はシリコン系保護剤を使うこと。保護剤を塗ったパッドは使用後に乾いた布などで拭くだけでOKです。

クレポリメイトDXは除菌剤を含んだシリコン系保護剤

 保護剤はいろいろありますが、筆者のオススメはクレポリメイトDX(呉工業)。汚れ落としもでき、香りもほとんどありません。除菌剤を含んでいるため、ヘッドホンの匂い対策にぴったり。ただし、使用後に艶が出ますが、筆者は気にしていません。

 どんな対策でも共通していえるのは、パッド部分を乾いた布などで拭き、使用後は乾燥した場所で保管すること。それが雑菌を繁殖させず、臭いを発生させないポイントです。

前田知洋(まえだ ともひろ)

 東京電機大学卒。卒業論文は人工知能(エキスパートシステム)。少人数の観客に対して至近距離で演じる“クロースアップ・マジシャン”の一人者。プライムタイムの特別番組をはじめ、100以上のテレビ番組やTVCMに出演。LVMH(モエ ヘネシー・ルイヴィトン)グループ企業から、ブランド・アンバサダーに任命されたほか、歴代の総理大臣をはじめ、各国大使、財界人にマジックを披露。海外での出演も多く、英国チャールズ皇太子もメンバーである The Magic Circle Londonのゴールドスターメンバー。

 著書に『知的な距離感』(かんき出版)、『人を動かす秘密のことば』(日本実業出版社)、『芸術を創る脳』(共著、東京大学出版会)、『新入社員に贈る一冊』(共著、日本経団連出版)ほかがある。

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