Windows 10の機能の1つにスマートフォンとの連携機能がある。Windows10 Mobileの普及を断念したあと、マイクロソフトは、Android/iOS用のアプリを拡充し、そのソフトウェアの一部がWindowsと連携できるようになっている。
また、EdgeやCortanaといったWindows 10標準アプリケーションやOfficeなどのMicrosoftアプリケーションもAndroid/iOSに移植され、これらを使っての連携も可能だ。また、Windows Timelineに関しては、Microsft Launcher(Android)、PCで続行(iOS)といったアプリを使うことでやはり連携できる。計画上は、クリップボード履歴にも対応する予定だったが、今のところスマートフォンとの間では実現していない。
Windows 10に搭載されている「スマホ同期アプリ」
Android/iPhoneとの間でさまざまな機能を同期できる
Windows 10に搭載されている「スマホ同期アプリ」(英語名 Your Phone App)は、AndroidとWindows 10を連携させるアプリケーションだ。
当初は、画像の共有(フォト)やSMS(メッセージ)の閲覧のみだったが、Windows 10 Ver.1903(19H1)の時点では、SMSの送受信やスマートフォン側の通知を表示する機能(通知)が搭載されており、さらにプレビュー版(20H1、19H2)では、一部のスマートフォンの画面操作をするための「スマートフォンの画面」機能を搭載した。
実際には、Ver.1903もプレビュー版も動作しているスマホ同期アプリのバージョンは同じで、Windowsのバージョンにより動作を切り替えているようだ。なお、このスマホ同期アプリを使うためには、Android側に「スマホ同期管理アプリ」をインストールする必要がある。また、iOS用は存在せず、スマホ同期アプリをiOS機器と組みあわせて使うことはできない。
「フォト」は、スマートフォンのカメラ撮影画像などを最大25枚同期させる機能。
スマホ同期アプリを介して、Windows 10側のアプリケーションが同期した画像を扱えるようになる。スマートフォンで撮った画像を転送操作などをしないで、すぐにPC側アプリで利用できるようになるのは便利だが、そんなに機会はなさそうだ。
たとえば、OfficeアプリであるWordにスマートフォンで撮影した写真を入れるなんて場合でも、スマートフォン側で作業が済んでしまう。保存先をOneDriveなどにしておけば、PCからも簡単にWord文書にアクセスできるので、特に転送などの処理も不要だ。使い道があるとすると、たとえば画像修正などの高度な作業などが考えられる。
「メッセージ」は、SMSで頻繁にメッセージのやりとりがある場合には便利な機能だ。最近では、さまざまな認証処理にSMSが使われることもあり、スマートフォンのSMSをPCですぐにチェックできるのなら多少の使い道もある。また、設定すれば、PC側からSMSを送信することもできる。現在のWindows 10では、たとえLTEモデムを内蔵していても、メッセージの受信のみで送信はできない。SMSの利用が盛んなエリアでは便利な機能なのであろう。
なお、20H1のプレビュー版では、MMSにも対応している。MMSは、Multimedia Messaging Systemで、SMSを拡張して画像などを添付できるようにし、宛先にインターネットメールアドレスも利用できるようにしたもの。ソフトバンクモバイルのキャリアメール(S!メール)がMMSである。残念ながら、筆者はソフトバンクの契約を持っていないので、スマホ同期でS!メールが利用できるのかどうかは確認できなかった。
また、「通知」は、最近になって搭載された機能だが、アプリを最新版にさえすれば、最新のWidnows 10 Ver.1903でなくても利用できる。これは、スマートフォン側の通知を「スマホ同期アプリ」で中継するもの。
Androidスマートフォンは、スマートウォッチ向けのWear OS用に通知を他のアプリで中継する機能を搭載している。「通知」は、これを利用したもので、Androidスマートフォンへの着信などをPC側で受けとることができる。
こちらも、使いようによっては便利な機能ではあるが、誰にとっても便利なのかと聞かれると少し微妙なところがある。たとえば、電子メールなどは、PCでもスマートフォンでも同じものを受信できるし、カレンダーや連絡先も共有できる。多くのSNS系アプリもWindows 10側でアプリを動かしたり、ブラウザの通知機能を使えば、PCにも通知が来る。なかにはLINEのように複数デバイスでの同時利用ができないものもあり、こうしたアプリならば、PCに通知が来ると便利な場面もある。
しかし、PCを使っているときに必ずしもスマートフォンを手放して遠くに置いているユーザーはそれほど多くないだろう。とすると、PCを使っている最中でもスマートフォンのバイブレーションなどでメッセージの着信を確認できることになる。実際、過去にAndroidのアプリで、PC側でも通知が受け取るというものがあったのだが、それほど流行らなかったし、筆者もちょっと使ってすぐに利用をやめてしまった。どちらかというと、PC側の通知をスマートフォンで受けとれるほうがありがたい。
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