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鳥取県が外国人に愛される理由、コナン・鬼太郎に充実の港湾も

2019年07月23日 06時00分更新

文● 福田晃広(ダイヤモンド・オンライン

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国内最大級の外国人向け情報サイト「ガイジンポット(GaijinPot)」を運営するジープラスメディアの調査によると、2019年に外国人が訪れるべき日本の観光地ランキングで3位代官山(東京)、2位福岡市を抑えて、鳥取県が1位に輝いた。日本国内では不人気な県として知られる鳥取県が、なぜ外国人観光客に人気なのか。淑徳大学経営学部観光経営学科教授の千葉千枝子氏に詳しい話を聞いた。(清談社 福田晃広)

日本人には不人気の定番県・鳥取
アクセスの悪さが原因か

鳥取県境港市の水木しげるロード
境港市の水木しげるロードは中国など、近隣のアジア諸国からの観光客に大人気だ Photo:PIXTA

 失礼な話なのかもしれないが、多くの日本人にとって、鳥取県といえば、「鳥取砂丘」のイメージしかないほど、印象がない県のひとつであることは否めないだろう。
 
 実際、民間調査会社、ブランド総合研究所が毎年発表する「魅力度47都道府県ランキング」でも明らかで、昨年鳥取県は41位。しかもこの順位は最近ほとんど変動がない。つまり、鳥取県の不人気な傾向は少なくともここ数年、続いているといっても過言ではないのだ。

 千葉氏は、鳥取県が日本人観光客に人気がない理由を以下のように語る。

「鳥取も県として、国内に向けても観光PRを当然してきたはずですが、なかなか成果を上げることができていないのは確か。それはやはり、アクセスがいいとはいえない立地条件が原因ではないでしょうか。関東からは飛行機が一番早いですが、そもそも便数が少ないので旅行の候補先として選ばれづらいのかもしれません。国内観光客数の内訳データを見ても、鳥取県内、近畿、中国地方から訪れている人が合わせて、87.3%になることからも明らかです」(千葉氏、以下同)

アジア人観光客に人気の秘密は
アクセスの良さ&アニメの聖地

 正直なところ、そんな鳥取県がなぜ外国人観光客に注目されているのか、にわかには信じられない人も多いのではないだろうか。

 ただ、鳥取県による統計データを確認すると、その傾向は一目瞭然だ。2017年の観光客入込数は実人数ベースで923万人。この数値は前年比で89万7000人、8.9%減少している。

 一方、外国人の延べ宿泊者数は14万人。前年が10万人だったから、1年間で4万人、40%増加したことになる。つまり、日本人の間では不人気が続いているが、外国人人気は確かにうなぎのぼりなのだ。

 鳥取県が海外から人気を集めている秘密を千葉氏は、こう分析する。

「鳥取にやってくる外国人観光客は、地理的な近さもあり、39.6%が韓国、22.0%が香港、12.9%が台湾と、アジア3カ国・地域で75%程度を占めます。この人気は、『名探偵コナン』や『ゲゲゲの鬼太郎』などのアニメの聖地であることが大きいと思われます。私もこの前、水木しげるロードに行ったのですが、若い女性たちがキャラクターのモニュメントと写真を撮ったりして、大勢の観光客でにぎわっていました」

 鳥取県内には、『鳥取砂丘コナン空港』、『米子鬼太郎空港』の2つの空港があり、2015年、米子‐ソウル便など独自のインフラを活用し、積極的なプロモーションを行なったことも大きく貢献した。

 また、空港だけでなく、港湾の整備が進んでいることも外国人観光客増加につながっているようだ。

「最近はクルーズ船が大型化し、以前は2000人乗れれば、すごいといわれていたのが、今は4000~5000人乗れるのが当たり前。一時期、東京のレインボーブリッジや横浜のベイブリッジを大型客船が通過できないと話題になりましたが、境港港は、大型客船が今すぐにでも寄港できるということで、積極的に外国船を誘致したのです」

欧米豪の観光客が大好きな
自然アクティビティーも充実

 境港管理組合の調査によれば、境港に寄港したクルーズ客船の数は昨年37隻。クルーズ客船でも大型といわれる総トン数10万トン超の船は、このうち13隻も寄港している。

 現在、就航中で日本を代表するクルーズ船“飛鳥2”が総トン数約5万トン、乗客数872人であることからもわかるように、飛鳥の倍以上の規模を持つクルーズ船が続々境港にやってきているのだ。

 鳥取が外国人観光客に人気があるといっても、その75%は韓国、香港、台湾の東アジア3ヵ国・地域に集中していることは、すでに述べた。しかし、これからは、今はまだ少ない欧米豪の観光客が増えてくる可能性が大いにあると、千葉氏は指摘する。

「日本人は、旅行の目的として世界遺産を挙げる人が多いのですが、ヨーロッパ、アメリカ、オーストラリア人観光客は、それよりも自然を生かしたアクティビティーを求める人が多い。夏の鳥取では、砂丘でのパラグライダーやサイクリング、浦富海岸(うらどめかいがん)のシーカヤック、大山(だいせん)では夏は登山、冬ならスキーが楽しめます。鳥取はどの季節でもアウトドアスポーツができるので、これからはさらに人気が出てくる可能性を秘めています」

 ここ数年、アジアにおいて“観光ビックバン”といわれているなか、日本国中で観光客の奪い合いが行なわれている。となると、鳥取県もアジア人だけでなく、欧米豪からの観光客も呼び込みたいはずだ。

 新規開拓に加えて、リピーターをいかに増やせるのか。そこが鳥取県にとって、正念場になってくるのではないだろうか。


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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