このページの本文へ

4つのDevNet新認定資格や自動化のコードレポジトリを開設、「Cisco Live 2019」レポート

“ネットワークプログラマー”スキル生かす、シスコが施策強化

2019年07月23日 07時00分更新

文● 谷崎朋子 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 シスコが提案する、ユーザーの意図や目的に応じて最適なネットワーク環境を自動構築する「インテントベースネットワーク/Intent-based Network」構想。2年前の同社プライベートイベント「Cisco Live! US」での発表以降、APIやSDK、アダプタを通じたサードパーティのアプリケーションとの連携などを進め、オープンプラットフォームとしての完成度を高めてきた

 中でも特筆すべきは、同社の開発者コミュニティ「DevNet」だ。ネットワークエンジニアやインフラエンジニアが自分たちの思い描くネットワーク運用を自らの手で実現できるよう、APIやコーディングの学習を支援する枠組みを用意。ポータル「DevNet Code Exchange」や「DevNet Ecosystem Exchange」を通じて開発コードを共有し、複雑ながら柔軟、インテリジェントなネットワークを運用する“ネットワークプログラマー”という提案は、多くのエンジニアに歓迎された。

「Cisco Live! US 2019」は2019年6月10~12日、米国サンディエゴで開催された

 今年のCisco Live! USでは、DevNetの成熟度を見計らって、さらに一歩踏み込んだ取り組みを始動した。1つは、ネットワーク自動化のユースケースに関するコードレポジトリ「Cisco DevNet Automation Exchange」の開設。もう1つは、ネットワークプログラマーとしてのスキルセットを客観的に評価するためのDevNet向けシスコ認定資格の開設だ。

ネットワーク自動化を支援するコードレポジトリを新開設

 シスコのDevNet担当VP兼CTOであるスージー・ウィー氏は、新たな取り組みによって「ネットワークプログラマーがソフトウェアやクラウドの開発者と手を組み、DevOpsを回しながら新たな価値を生み出す」未来に一歩近づくと述べる。

シスコ DevNet担当VP兼CTOのスージー・ウィー(Susie Wee)氏

 Cisco DevNet Automation Exchangeは、「Cisco Meraki」や「Cisco IoT」「Cisco Collaboration」「Cisco DNA Center」「IOS XE」「Cisco Umbrella」など、キャンパスからデータセンターまで幅広い領域のネットワークとセキュリティの自動化を視野にコードを共有するポータルだ。

「Cisco DevNet Automation Exchange」のポータル画面

 特徴は、ネットワーク自動化を実現するまでの3ステップ(ユースケース)にコードを分類していることだ。

 最初のステップは、ネットワーク内で何が起きているのかを、インサイトやテレメトリを収集して可視化し、ポリシーへの対応状況や内在するリスクなどを把握するコード群。2つめのステップは、異なるネットワーク領域に一貫したポリシーを自動適用できる、セルフサービス型ネットワークを実現するコード群。そして3つめのステップでは、DevOpsでアプリケーションやユーザー、デバイスをプロアクティブに管理し、CI/CDでアプリケーションを展開、機械学習機能で自衛するネットワークを実現するコード群だ。

 「いきなり高度な自動化を始めるのは大変だ。そこで、まずはウォーキング(Walk)から始めて、慣れたらランニング(Run)に移行する。そして、最後は空を飛べるようになる(Fly)」。ウィー氏はこれを“Walk-Run-Fly”メソッドと定義し、段階的なネットワーク自動化に取り組めるようコードレポジトリを整理したと説明した。

 現在、ユースケースは50以上がアップロードされている。今後DevNetコミュニティからの追加で、より充実することが期待される。

“ネットワークプログラマー力”測るDevNet新認定資格、企業側からも期待

 DevNet向けシスコ認定資格は、ネットワークエンジニアやソフトウェアエンジニアの“ネットワークプログラマー力”を評価する資格だ。具体的には「DevNet Associate」「DevNet Specialist」「DevNet Professional」「DevNet Expert」という、4段階の資格が用意されている(DevNet Expertは今後追加予定)。

 たとえばDevNet Asscociateでは、PythonやGit、JSONなどのソフトウェア開発スキル、REST APIのセキュアな活用スキル、コンテナやマイクロサービス、CI/CDパイプラインへの理解、インフラ自動化やDevOpsのスキルなどを評価。ネットワーク自動化用スクリプトの作成、ロギングやテスト、モニタリング向けツールの開発などが可能であることを認定するという。

DevNet向けの新認定資格が発表された

 実は今回の認定資格については、ネットワークエンジニア側から雇用先に自分のスキルセットを正当に評価してもらうために必要だという声があっただけでなく、企業側からも客観的な判断指標として認定資格がほしいというニーズがあって開発が始まったと、ウィー氏は明かす。

 ゲスト登壇したVerizonのエグゼクティブディレクター、ジョー・クロフォード氏は、認定資格は昇進や昇給の判断において目安の1つになると説明。より良いサービスを、スピード感をもって顧客に提供するためには、多様なスキルセットをもった人材が必要であり、認定資格を通じてきちんと評価できることはさらに重要と述べた。

 またGotcha 6 Technologiesの創業者でCEOのデレク・ウィンチェスター氏も、ホームオートメーションのように業務環境を自動化したいと考えるエンジニアに、その自由を提供することは今後さらに大切になると述べた。もっとも企業は、自社のメリットだけを見てエンジニアにスキルを学ばせようと強要するのではなく、エンジニアの可能性を掘り起こす意識を持つ必要があると指摘する。

 「数年後にどうなっているか予測するのは難しいが、多くのネットワークプログラマーが活躍する未来であることは間違いない」(ウィンチェスター氏)

(左から)ネットワークプログラマーについて見解を述べるVerizonのジョー・クロフォード(Joe Crawford)氏、Gotcha 6 Technologiesのデレク・ウィンチェスター(Derek Winchester)氏、スージー・ウィー氏

 このほか「Cisco Networking Academy」にエントリレベルのネットワークエンジニアやソフトウェア開発者向けプログラムを追加。学生などが対象で、2019年6月から申請開始、認定試験は2020年2月から受験可能になる。DevNet認定資格取得向けの学習資料は、DevNetデベロッパーサイトで提供される。

 ネットワークエンジニアの意識改革から始まり、プログラミングスキルの取得支援、そして認定資格の開設と、DevNetの輪は着実に広がっているようだ。

カテゴリートップへ

ピックアップ