廉価なGeForce GTX 1600シリーズを投入
そのあたりもあってか、今年2月から投入され始めたのがGeForce GTX 1600シリーズである。まず最初に投入されたのが2月22日のGeForce GTX 1660 Tiである。こちらに搭載されたコアはTU106をベースとしたTU116であるが、TU106が445mm2とかなり大きなダイなのに対し、TU116は284mm2と面積を4割近く削減したものになっている。
当然価格もその分下がっており、300ドル切りの279ドルが実現している。もっともメモリーバスが192bitになるなど、若干構成はGeForce RTX 2060を下回るものになっているが、性能的にはGeForce RTX 2060の9割程度のパフォーマンスを確保しており、メインストリーム向けの非常に良いソリューションとなった。
このTU116コアをそのまま利用しながら、より廉価な構成としたのが3月に発表されたGeForce GTX 1660である。
こちらはAMDのRadeon RX 590などへの対抗策として、219ドルという非常に廉価な価格で提供されており、ただし性能も絶妙と言うか微妙というか、なかなか難しいポジションにあることがレポートされている。
そして4月に発表されたのがGeForce GTX 1650である。こちらは149ドルという、メインストリームの下限というかバリュー向けといった扱いになっている。
このGeForce GTX 1650は、TU116ではなくTU117という別のダイを利用しているが、こちらはダイサイズが200mm2と、TU116に比べても一回り小さいもので、性能もそれなりとなっているが、TDPは75Wで補助電源ピンが不要な構成になっている。
実のところこのTU117コアは、単にGeForce GTX 1650向けではないと筆者は考えている。もともとNVIDIAはリテール向けの製品とは別に、OEM向けの製品(GeForce GTシリーズ)を多くラインナップしているが、こちらの最新製品がGeForce GT 1030で、もう少し性能を底上げする必要がある構成になっている。おそらくはTU117はこのGeForce GT 1030の後継(GeForce GT 1630?)向けも念頭において作られたものであろう。

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