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「折りたたみスマホ」はまだ買いじゃない!ブーム到来が見えないワケ

2019年06月13日 06時00分更新

文● 島野美穂(ダイヤモンド・オンライン

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サムスンの折りたたみスマホ「ギャラクシー フォールド」
「保護フィルムだと思ってはがしたら液晶だった」などトラブル報告が相次いだサムスンの「ギャラクシー フォールド」は、発売延期となってしまった Photo:AP/AFLO

昨年11月、中国のメーカー・柔宇科技(ロヨル)から発表されたのが“折りたたみ”スマートフォン『フレックスパイ(FlexPai)』。これを皮切りに大手メーカーも次々に、折りたたみスマホを発表するに至った。2019年は、折りたたみスマホのブーム到来となるのか?ケータイジャーナリストの石野純也氏に話を聞いた。(清談社 島野美穂)

世界初の折りたたみスマホに
殺到した落胆の声

 平面の液晶を、タッチパネルのように使うのが従来のスマホ。しかし、最新の技術によって、この液晶がぐにゃりと折り曲げられるようになった。それが、今話題の“折りたたみ”スマホだ。「フォルダブルスマホ」とも呼ばれている。

 折りたたみスマホの実売に向けて、これまで各メーカーが水面下で開発に臨んでいたところに、突如、発表されたのが『フレックスパイ(FlexPai)』だった。しかも、この世界初の折りたたみスマホを発表したのは、大手メーカーではなく中国の部品メーカー、ロヨル。この発表には、他の大手メーカーも面食らった。石野氏は言う。

「ファーウェイやサムスンと比べると、かなり小規模な会社が、先駆けて折りたたみスマホを発表したということで、業界にはかなり衝撃が走りました。どこのメーカーが折りたたみスマホを先に出すか、牽制し合っていた中でのことです。いち早くフレックスパイが出たことで、サムスン、ファーウェイも後を追うように折りたたみスマホを発表したという流れです」

 ついに折りたたみスマホが登場したということで、一躍注目を集めたフレックスパイだったが、実物を手にしたユーザーたちの評価は、芳しくなかった。

「『思っていたのと違う』というのが、正直なところです。フレックスパイは、折りたたむと中心部分に丸みが残り、形状としてどうしてもかさばってしまう。また、既存のスマホの平均重量が150g前後なのに対し、フレックスパイは320gと重かった。ユーザーが期待していた折りたたみスマホには、ほど遠いという印象でした」

 価格は約15万円。現在、アメリカで発売中。日本でも発売の意向はあるようだが、今のところ時期は未定だ。

トラブル続きで
サムスンは発売延期に

 フレックスパイに触発されるように、サムスンからは、『Galaxy Fold(ギャラクシー フォールド)』、ファーウェイからは『Mate X(メイトエックス)』が発表された。

 ギャラクシーフォールドは、本来なら夏前にも日本で発売される予定だった。しかし、発売に先駆け、メディアにレビュー用の実機が貸し出されたところ、思いがけないトラブルに見舞われる。

「保護フィルムだと思ってはがしたら液晶だったとか、折りたたみ部分から細かいホコリが入って壊れてしまったなど、故障が相次ぎました。もちろん、サムスンは何十万回も開閉テストをしてはいるのですが、そういったテストは基本的にホコリの入らない工場で行われます。実利用環境で使うには、さらなる改善が必要だったようです」

 この結果を受けて、サムスンは発売延期を決定。今現在も発売のめどは立っていない。

 一方、ファーウェイのメイトエックスはというと、実機に関する目立ったトラブルは報告されていない。こちらもやはり、今年の夏には発売という流れであったというが、別の問題が発生する。

「連日ニュースで報道されているように、今アメリカと中国の関係は、悪い状態です。トランプ大統領は、中国への制裁としてファーウェイの通信機器の使用や輸入の禁止を決定しました。さらには、アンドロイドの新規搭載を、今現在ストップさせています。これによってファーウェイは、GmailやGoogle Mapなど一連のGoogleサービスが使えなくなっています。折りたたみスマホの発表どころではなくなってしまったんです」

 アメリカの制裁がいつまで続くかは定かではない。昨年、中国のスマホメーカー・ZETが同様の制裁を受けたときは、禁止措置は3ヵ月続き、最終的に約1170億円の赤字を出したといわれ、今なお経営状況の改善を図っている。

5Gの開始でブーム到来も
急いで買う必要はなし!

 うまくいっているとは言い難いものの、それでも各社が折りたたみスマホを発売したがるのには、理由がある。

「折り曲げられるディスプレーが、量産に耐えうるクオリティーになってきたというのが大きいと思います。以前から曲げられるものはあったのですが、その技術がさらに発展してきた形です」

 そして何より、第5世代モバイル通信「5G」が始まろうとしている、このタイミングも重要だった。アメリカではすでに一部で5Gが使われており、日本では来年から導入される見込みだ。

「通信の規格が変わると、デバイスの形が変わるというのが、携帯電話の歴史です。折りたたみスマホには、そういった狙いもあったはずです。また、5Gの通信は高速大容量。大型ディスプレーにすることで、今までにないユーザー体験ができるようになります」

 しかし、大きすぎるとタブレットと同じになってしまうばかりか、ポケットに入らなくなる。そこで、スマホの手軽さを生かすために、折りたたみというアイデアが生まれたのだと石野氏は言う。
 
とはいえ、石野氏は2019年にブームがくるという見方については懐疑的だ。

「実際、メーカーもそこまで折りたたみスマホを売ることに熱心ではありません。ファーウェイは当初、メイトエックスの予想販売台数を200万台と発表していました。1000万台以上出ている通常の端末もあることに比べると相当低い数字です。技術的にも、まだ改善の余地ありとみている証拠だと思います」

 金額も、フレックスパイが最も安く約15万円、ギャラクシーフォールドが約20万円、メイトエックスが約30万円と高額だ。

「現実的に考えて、ユーザーが手に取るようになるのは、価格が10万円くらいまで下がってからではないでしょうか。今、早急に買う必要はないでしょう。アップルやシャオミーなど、大手メーカーも、今後折りたたみスマホを発売するはずなので、一般ユーザーはしばらく様子を見るのが正解かと思います」

 まさに、スマホ過渡期ともいえる今。折りたたみスマホが主流となるのは、5年後、あるいは10年後か。動向を見守りたい。


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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