3年で2兆5000億円の投資を予定
日立は2008年度に、7873億円の赤字を計上。以降、大胆な構造改革を繰り返し、事業売却をする一方で、積極的なM&Aも実施してきた。それによって、事業構造は大きく転換した。
結果、2018 中期経営計画で掲げた売上収益は計画には未達だったものの、2018年度の調整後営業利益は7549億円となり、過去最高を記録した。そして営業利益率は8.0%となり、国内電機大手のなかでも際立つ水準に達している。
東原社長兼CEOは「日立に、『稼ぐ力』がついてきたといえる。2018 中期経営計画で、V字回復モードに終止符を打ちたい。そして、2021 中期経営計画では新たなステージに立って、やっていくことになる」とする。
日立の経営が新たなフェーズへと移行したことが、売上収益の具体的な数字を掲げなかった理由といえそうだ。また具体的な数字をあげない姿勢は、今後も積極的なM&Aを進める姿勢の表れだといえる。
2021 中期経営計画では、今後3年間で2兆円~2兆5000億円の投資を実施する姿勢を示した。過去3年間で5000億円だった投資に比べると、4倍以上に拡大する。とくに、ITソリューションとインダストリーソリューション分野に重点投資する考えだ。
成長の柱を担う鉄道事業においては、継続的なM&Aを検討していることを明らかにしている。そして現在1000人のデータサイエンティストを、3000人以上に増やす計画も明らかにする。
こうした取り組みも、日立の新たな変化を支えることになる。
この連載の記事
-
第587回
ビジネス
メーカー自身が認定し、工場検査後に販売するパナソニックの中古家電 -
第586回
ビジネス
マイクロソフト、日本への4400億円のAI/データセンター投資の実際 -
第585回
ビジネス
日本市場の重要性を改めて認識する米国企業、変革期にある製造業がカギ -
第584回
ビジネス
NTT版の大規模言語モデル(LLM)、tsuzumiの商用化スタート、勝算は? -
第583回
ビジネス
エコ投資に取り組むエプソン、見方によっては10年で1兆円の投資も -
第582回
ビジネス
パナソニックコネクトの現在地点、柱に据えるBlue Yonder、ロボットとは? -
第581回
ビジネス
スタートして半年の日本NCRコマース、軸はAIとプラットフォームの2つ -
第580回
ビジネス
コンカーの第2章は始まるのか、SAPの生成AIを使って効率的な経費精算を -
第579回
ビジネス
AIの筋トレはいまから始めるべし、マイクロソフト津坂社長がCopilotの議論から得たもの -
第578回
ビジネス
大赤字からの再起はかるバルミューダ、その足掛かりは? -
第577回
ビジネス
日本の強さは量子力学におけるトンネル効果があるため、量子と出会い、広げよう - この連載の一覧へ