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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第513回

COMPUTEXで判明した第3世代Ryzenにまつわる裏事情 AMD CPUロードマップ

2019年06月03日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII.jp

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Zen2アーキテクチャーの詳細は8月に公開

 その第3世代Ryzenであるが、基調講演では示されなかったRyzen 5も同日出荷開始予定となっている。各々のスペックであるが、下表に示す通りになっている。

第3世代Ryzenのスペック
モデル コア数 スレッド数 ベースクロック ブーストクロック キャッシュ容量 TDP 価格
Ryzen 9
3900X
12 24 3.8GHz 4.6GHz 70MB 105W 499ドル
Ryzen 7
3800X
8 16 3.9GHz 4.5GHz 36MB 105W 399ドル
Ryzen 7
3700X
8 16 3.6GHz 4.4GHz 36MB 65W 329ドル
Ryzen 5
3600X
6 12 3.8GHz 4.4GHz 35MB 95W 249ドル
Ryzen 5
3600
6 12 3.6GHz 4.2GHz 35MB 65W 199ドル

 こうなってくると、Ryzen 7 3800Xのポジションが非常に微妙である。というのは、定格でこそ最高速(3.9GHz)ながら、ブーストクロックは4.5GHzどまりになっているからで、むしろRyzen 9 3900Xの方が1bin高速という結果になっているためだ。

 なぜRyzen 9 3900Xの方が高速か? というと、おそらく熱容量の関係であろう。連載496回でも推察したが、Ryzen 9ではCPU Chipletあたりでアクティブなコアが6つに減るから、相対的に熱容量に若干のゆとりができ、これが+1binの余裕につながっている。

 おまけに3次キャッシュが32MB余分に加わるため、メモリー帯域不足にも陥りにくい。それがたったの100ドルアップで入手できる、となると普通に考えればRyzen 9 3900Xが超お買い得であり、Ryzen 7 3800Xは「お買い得ではあるけど(Ryzen 9 3900Xに比べれば)普通」に見えてしまう恐ろしさである。

 AMD関係者も「この価格は予想してなかっただろ?」とニヤニヤ笑っていたあたり、相当マーケティング的には自信がある構成なのは間違いない。

 ちなみに上でも少し触れたが、2ダイ構成の場合は「対象構成にする」のだそうで、例えば12コアを8コア+4コアや7コア+5コアなどにはしないという話であった。もっとも、10コアとか8コアとか14コアとか16コアとかの将来製品があるかどうかはノーコメントであったが。

 連載496回で説明したCCXの構成であるが、Zen2でも4コアがCCXの最小単位になるという話であった。

 したがって第3世代のRyzenのCPU Chipletは、2つのCCXから構成されるという構造が引き続き継承されることになる。性能的にどうなんだろう? という疑問はあるのだが、これはそのうちベンチマークを行なってみないとわからないところだ。

 なおメモリーに関して言えば、「公式にサポートされるのは」DDR4-3200までだそうである。「非公式には?」は今回ノーコメントであった。

 またTIM(Thermal Interface Material:ダイとヒートスプレッダの間に入る熱伝導物質)については、引き続きハンダが利用されるという話で、これは今回発表された製品(Ryzen 5/7/9)すべてでハンダを利用するとのこと。Ryzen 3あるいはAPUについては、TIM云々の前にそもそも製品の存在そのものについてノーコメントであった。

 とにかく今回AMDは基調講演の後の説明会で豪華な面子をそろえつつ、「それはまだ言えない」の連発で、なんのための説明会だという気もしなくもなかった。

中央がSVP&GM, Client ComputingのSaeid Moshkelani氏、右がSenior Director, Ruzem Desktop and Mobile ProcessorのDavid McAfeeで、左にはしれっとJoe Macri氏までいる

 とくにRyzenの内部についてMacri氏にいろいろ突っ込んでみたものの、片端から「言えない」の山である。もっともAMDはこのZen2のアーキテクチャー、およびNAVI(というかRDNA)のアーキテクチャーについて、今年8月に開催されるHotChipsで詳細を明らかにするとしており、そこまでお楽しみは取っておきたいのかもしれないが。

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