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50歳から「定年」を意識すべき、絶対に押さえたい「5つの準備」とは

文● 麻野 進(ダイヤモンド・オンライン

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定年準備は50歳から始めたい
定年準備は50歳から始めたい(写真はイメージです) Photo:PIXTA

「人生100年時代」といわれ、いまの50歳の2人に1人が92~96歳まで寿命があると考えられています。とすると、恐らく80歳くらいまでは何らかの形で稼いでいなければまともな生活が送れません。つまり20歳から80歳までのワーキングライフのうち、サラリーマン生活30年に当たる50歳はまだ真ん中です。人生の、仕事の折り返し地点を超えたばかりの50代サラリーマンが80歳現役に向けて、節目の60歳定年前にやっておきたい準備について、組織・人事コンサルタントの麻野進がお伝えします。

準備1:本当の成果主義への準備

 法律の改正により、多くの企業は定年を向かえる従業員に対して65歳までの雇用義務があり、労働者にとってはまずはひと安心といったところです。ただ、定年再雇用の際には労働条件がリセットされ、非正規の単年度更新の契約社員となります。

 つまり、単年度での成果が翌年以降の労働条件の更新に影響を及ぼします。正社員のように年功的な賃金制度の縛りを受けないので、前年度の成績いかんで報酬額がアップダウンする可能性があるのです。

 そして定年を迎える際に提示される最初の労働条件は、50代のあなたの働き方で決まるといっても過言ではありません。現在多くの企業の人事部では、再雇用制度を整えようとしています。これまでの「定年前賃金の一律○○%カット」ではなく、委嘱する仕事の内容によって報酬を決めようというものです。

 50代といえば、「出世の決着」がついた頃です。

 まず確認しておきたいことは、50歳以上の社員がどのような人事制度で処遇されることになるのかということです。55歳役職定年制度があるなら、ポストオフ後の定年までのポジションはどうなるのか、中小企業で後進が育っていない場合であれば、まだ役職が続けられ長期政権が築けるのか。自身の専門性はまだまだ使えるのかなど、これまでのキャリアを振り返り、80歳までの現役を想定した長期キャリアプランを立てましょう。

準備2:社内外人脈の再構築

 現在、あなたの社内人脈は充実しているでしょうか?

組織・人事コンサルタントの麻野 進氏
組織・人事コンサルタントの麻野 進氏

 仮に「出世ルートから外れている」という自覚のある人でも、同世代の出世頭は役員クラスになっています。あるいは、各部門の要職についているか、社内で第一人者といわれる専門家がいるはずです。そういう方々と現在どのような付き合い方をしているでしょうか。

 新卒の時から同じ会社一筋で頑張ってきた人であれば、過去に仕えた上司、交流してきた同期・同僚に思いをはせると、素晴らしい人脈リストができるはずです(転職者であれば前職の元上司、同僚など)。

 あるいは、これまで指導してきた将来性のある部下・後輩がいたはずです。そう考えると、この先65歳、いや80歳までワークライフが続くとすれば、これらの社内人脈は今後もかけがいのない資産であることに違いありません。少し疎遠になっているなら、つまらないプライドは捨て、せめて飲み友達くらいの関係性を再構築しておきましょう。

 また、50代は社内のポジション、経験、専門性、収入などがほぼピークに達している時期ですから、有効な社外人脈を築くのに最も適した年代です。

 役職定年など対外的な賞味期限が切れる前に、小中高の同窓会や各種交流会、SNSなどはチェックしておきましょう。そしてできれば、60歳定年で終わってしまいそうな人ではなく、生涯現役を目指している方とお近づきになっておきたいところです。

準備3:大企業の生活習慣病を治しておく

 長年大企業で勤めてきた人は『大企業の生活習慣病』に気を付ける必要があります。

 次の診断項目に当てはまる方は要注意です。

□仕事に関連することは会社が負担するものだと思っている
□「こういうことは若手に任せましょう」という趣旨の言葉をよく使う
□面倒なことはすぐ「外注がいい」と提案する
□細かい仕事を自らしない
□率先垂範は若い人の仕事だと思っている
□旅行は出張に引っかけて行き、自腹ではしない
□天下り転職(転籍、出向含む)でも肩身の狭い思いをしない(感じない)
□自分の安全を優先させる(保身に走る)
□口では立派なことを言うが、必ずしも行動が伴わない
□「こうだった」と過去の成功・失敗は語るが、「これからどうする」という明日のことを語らない

 何個チェックが付いたかという問題ではなく、これらの項目に1つでも覚えがあるようでしたら、「会社の常識は、世間の非常識」だと思って心を入れ替えたほうがいいと思います。

 現在在籍している会社より規模の小さい企業に転職する場合は、分業体制が整っていないので、多くの作業を自分でやらなければなりません。再雇用で同じ会社で勤める場合でも一兵卒としての働きが求められるのであれば、豊富な経験があっても権限、発言力が制限されることを理解することが重要です。

準備4:お金と時間は散財せずに投資する

 50代のサラリーマンは、可処分所得が最大であり、家庭サービスから解放されています。子どもは若くても中学生以上、独立・結婚していればお金もかかりませんし、配偶者からの束縛もほぼないに等しいのではないでしょうか。

 つまり50代はお金と時間の自由度が最も高い時期です。

 しかしこの自由な時期を無為に過ごすと、80歳までのキャリア(稼ぐ)プランは厳しいものになるかもしれません。リストラなど思わぬ転身を余儀なくされることもあり得ます。多くの時間を趣味の世界に割くのも結構ですが、できるだけ実益を兼ねたものにしたいところです。

 現在の職務の専門性の有無にかかわらず、知識やスキルの更新は怠らないようにしましょう。また、『副業』は多くの企業で建前としては禁止されていても、実質的には解禁されています。ダブル就労でなければ、別の収入源を確保するためのノウハウ獲得や、起業の準備を進めておいてはいかがでしょうか。

 いきなりの起業はリスクがありますが、休みの日だけ稼働する『週末起業』などは慣らし運転としては最適です。それに起業はマネジメント能力を養成するのに良い経験になりますので、本業(所属会社)で再評価されて役職位復活という話もよく聞きます。

 AI化が進めば現在人間がやっている職務の多くがなくなってしまうといわれていますし、「低賃金の仕事でもいい」といっても、増え続ける外国人労働者との競争になります。お金の投資も必要ですが、人生100年時代はそれ以上に自己への投資が重要だと思います。

準備5:50歳からの仕事のスタンスは「志事」

 人手・人材不足や法改正もあり、大企業中心に働き方改革が推進され、若い人たちに優しい企業が増えています。しかし筆者は自身の能力開発・キャリア開発のために一生懸命に仕事(私事)をする時期が20代だと考えるので、安易に楽な方向に流される傾向は彼らにとってあまりよくないことだと考えます。20代の能力開発があって30代で自立し、40代で責任ある職務に就いて組織に仕える(仕事)ことになります。

 そして出世の決着がついた我々50代は、志を持って職務に当たること(志事)が、後半の仕事人生を進めるにあたって、またモチベーション維持のためにも、最も大切なスタンスではないでしょうか。

 会社のため、家族のために滅私奉公する必要性が薄くなった今、志を持って仕事をすることで生涯現役が全うできるのではないでしょうか。

(組織・人事コンサルタント 麻野 進)

◎麻野 進
組織・人事コンサルタント。1963年、大阪でサラリーマンの家で生まれる。大企業から中小・零細企業など企業規模、業種を問わず、組織・人材マネジメントに関するコンサルティングを展開。人事制度構築の実績は100社を超え、年間1000人を超える管理職に対し、組織マネジメント、セルフマネジメントの方法論を指導。入社6年でスピード出世を果たし、取締役に就任するも、ほどなく退職に追い込まれた経験から「出世」「リストラ」「管理職」「中高年」「労働時間マネジメント」「働き方改革」を主なテーマとした執筆・講演活動を行っている。
著書に、『幸せな定年を迎えるために 50才からやっておくべき《会社員の終活》41のルール』(ぱる出版)、『課長の仕事術』(明日香出版社)、『「部下なし管理職」が生き残る51の方法』(東洋経済新報社)などがある。自社のホームページは、https://partenairejapan.co.jp/

※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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