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アップルがスクリーンタイム監視アプリを排除、正当性を主張

2019年05月01日 14時55分更新

文● Charlotte Jee

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アップルが昨年、スクリーンタイム(デバイスの使用時間)の監視やペアレンタル・コントロール(子どもによるパソコンや携帯電話などのデバイスの利用を親が制限すること)機能を提供する一部のアプリについて、アップストア(App Store)から削除したり、機能を制限したりしていたことが判明した。対象は、同機能を提供するアプリのトップ17本のうち、11本。ニューヨーク・タイムズ紙およびアプリ調査会社であるセンサー・タワー(Sensor Tower)が報じた。

アップルは昨年、スクリーンタイム追跡アプリをiOS 12の新機能として追加した。それ以降、似たような機能を提供するアプリをアップストアからまとめて削除したり、子どものデバイスを制御できる機能を強制的に削除したりしている。

アップルは、アプリ提供元の監視役としての強大な力を使って、競合他社の製品を制限しているように見える。だがアップルは、この措置を「セキュリティの問題」だと主張している。具体的には、これらのアプリがモバイルデバイス管理(MDM)と呼ばれる侵入性の強いテクノロジーを使用していることが削除の理由だという。MDMを使用すると、第三者がデバイスを制御できるようになる。企業が自社の業務用デバイスにMDMをインストールするのは一般的だ。しかし、民間企業が顧客のデバイスにMDMをインストールするのは「非常に危険」であり、その行為はアップルのポリシーに反するとアップルは述べている。ハッカーにデバイスへの侵入経路を提供することもできてしまう。

アップルは、今回の措置が反競争的行為ではないか?との疑惑を強く否定しており、自社ツールの提供開始と同じタイミングで類似アプリの削除を始めた事実とは、何の関連もないとしている。アップル社内での意思決定に通じていなければ、実際に何が起こっているのかを確認するのは困難だ。

ペアレンタル・コントロール・アプリを提供するキッズロックス(Kidslox)とクストディオ(Qustodio)の2社が、欧州連合(EU)の競争当局に先週提出した申し立てにより、本件についてもっと多くのことが明らかになるはずだ。いずれにしても今回のことは、米国の政治家らが大手ハイテク企業の 分割規制あるいはその両方について検討し始めた中で、アップルが他社の命運を左右する強力な力を持つことを、タイミングよく思い出させてくれた。

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