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オリンパス新社長激白、米ファンド介入でも「デジカメ撤退」はない オリンパス新社長インタビュー

文● ダイヤモンド編集部,土本匡孝(ダイヤモンド・オンライン

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医療事業に傾注する構造改革、「物言う株主」である米投資会社バリューアクトからの取締役受け入れといった内容のコーポレート・ガバナンス(企業統治)強化策「トランスフォームオリンパス」を1月に発表した医療機器大手オリンパス。4月に就任した竹内康雄社長兼CEO(最高経営責任者)が、赤字が続く映像事業の展望やバリューアクトからの取締役受け入れの経緯を語った。(ダイヤモンド編集部 土本匡孝)

――1月の発表は、医療事業(医療機器など)の構造改革が中心。赤字が続く映像事業(デジタルカメラなど)、についての言及はほぼありませんでした。

竹内康雄氏
たけうち・やすお 1957年、東京出身。80年入社。専務執行役員、経営統括室長などを経て、16年副社長兼CFO(最高財務責任者)。19年4月より社長兼CEO(最高経営責任者) Photo by Kazutoshi Sumitomo

 発表で、恐らく記者の目と耳に残っているのは、グローバルのメドテク(メディカル・テクノロジー)企業になるという将来像。ただそれは手段であって、オリンパスという会社をいかにサステイナブルにするかが私に与えられた課題。ポートフォリオでいうと当然3事業(医療、科学、映像)のうち医療事業に傾注し、グローバルにおいて医療で勝ち残れる会社にしていきます。

 今考えている経営方針としては、映像事業は従前のまま。当社にとってなくてはならない事業です。

――なぜ2011年3月期以降、1年を除いて毎年赤字の映像事業を続けるのでしょうか?

 オリンパスは今後、より多くの経営資源を医療事業(*5分野に分けていたが4月以降、内視鏡事業と治療機器事業の2分野に再編)に投入していきます。少なくとも見える範囲の将来、映像事業で培ったイメージング技術をコアにして医療事業が成り立っていくのは間違いない。つまり医療機器メーカーとしてグローバルで戦うには、強いイメージング技術があってこそなのです。

 またオリンパスにとって、コンシューマー分野である映像事業は資産として極めて重要です。映像事業はとにかく動きが速い。その運営ノウハウは治療機器事業にも必要なのです。治療機器事業も動きが速いですから。

 まったく違う事業環境を整えるために、治療機器事業のヘッドクオーターは米国に移します。それを支える会社の資産は、映像事業に頼るところが多々あるのです。

――それでも映像事業で培った技術を、「医療事業のR&Dで活かすだけでいい」「事業としては撤退せよ」という投資家の声があるのは事実。

 理屈の世界ではそう言えるかもしれないが現実的にはあり得ない。技術は客がいて、競合がいて、マーケットと対峙することで初めてブラシュアップされていくものです。

――さりとて映像事業の赤字続きはよくないですよね。

 もちろん。

――20年3月期後半くらいからブレークイーブンの見込みだとか?

 というより利益を出したい。19年3月期は中国の工場を閉めて、ベトナムだけになりました。ここが安定的に生産できるよう注力をせざるを得ず、従って新製品を生みだすリソースが足りませんでした。20年3月期の初めのうちも影響は残ります。安定してくる第3四半期辺りからイーブンまたは黒字の予定です。新製品をそれぐらいから出せますから。今後は新製品を年2、3機種出していきます。

――スマートフォンに押されてデジカメ市場は縮小の一途ですが、それでも大丈夫だと?

 そうですね。我々が理解している限りではデジカメ全体は厳しいですが、その中でミラーレスカメラは比較的安定して増えています。ミラーレスカメラのお客さんは底堅いのかなと。そこで一定のシェアをキープできれば、利益は十分確保できるでしょう。そのために新製品を安定的に出していきます。

――物言う株主である米投資会社バリューアクトに話題を移します。バリューアクトから取締役入りの提案があったと聞いていますが?

 あったかもしれない。

 もともとバリューアクトが株主になっていると知ったのは昨年の年初ぐらい。当時は一般的な反応と同じように、「アクティビスト(物言う株主)だ!』と(笑)。どういう風に対応すべきか考えました。

 彼らが投資した米企業のCEO(最高経営責任者)に私と笹(宏行、19年3月までオリンパス社長)で会いに行って、彼らがどう貢献したか、経営がどう変わったか調べました。普通に考えたら経営陣にとって、「きつい」「ハードルが高い」といった部分があるのかもしれない。でもガバナンス強化を徹底するには、多様性という意味で株主(バリューアクト)が取締役にいることはすごくいいことだと思いました。

 それとはまったく別の流れで、オリンパスとして企業ガバナンスをトランスフォームし、国際的な企業としての持続性を持ちたいとずっと検討していました。

――バリューアクトと実際にコミュニケーションを始めたのは?

 昨年の2月か3月ぐらい。最初はそんなに密にやり取りしていたわけではなく、「株主として必要な情報を教えてくれ」といったレベル。その後、秘密保持契約を結んで、オリンパスのトランスフォームの話をしたのは昨年秋ぐらい。それまではトランスフォームの話も、取締役の話もしていませんでした。当然彼らのスタイルとしては投資先に取締役を送る、つまり経営のインサイダーとして入ってくる。だから、当然彼らからそういう話があった。一方、私どもも同じようなタイミングで(取締役としての受け入れを)考え始めていました。

――ダイヤモンド・オンライン3月22日配信「【オリンパス】医療特化とデジカメ撤退に信憑性、『物言う株主』受け入れの意味」では、デジカメ事業の存続について懐疑的に書きました。単刀直入に、バリューアクトからデジカメ事業の撤退を要請されていないのでしょうか?

 記事で書いてあることは、ちょっと違うかもしれません。

 彼らが何を言っているかを私が説明するのはおかしいかなと思います。ただ明らかに彼らは、当社がロングタームで企業価値を上げるために医療事業をどう伸ばすかについて興味を持っています。当社全体の効率の悪さにも興味を持っています。

 つまり、トランスフォームオリンパスで我々が言っていることと、彼らの狙いはまったく同じです。


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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