親なら知っておきたい人気スマホアプリの裏側と安全設定 第9回
中高生のお小遣い稼ぎ場所として人気だが……
「メルカリ」に潜む、アプリ設定では防げないトラブルと対処法
2019年04月02日 09時00分更新
中高生がお小遣い稼ぎ! 出品時に多いトラブルと対処法
フリマアプリ「メルカリ」は、「不用品を売ってお小遣いになる」と、若者たちにとても人気が高い。10代女子を対象としたプリキャンティーンズラボの「お小遣い稼ぎに関する調査」(2017年3月)によると、35.3%の子がインターネットを利用したお小遣い稼ぎとして不用品などを販売した経験があるという。
「お小遣いが足りないときは、メルカリで何か売れないか考える」という高校生、大学生は少なくない。「ママの使っていないバッグを売ったらいいお小遣いになったけど、ばれて叱られた」という話をある女子高生から聞いたことがある。
メルカリは個人間取引のため、店舗を介した売買と比べて様々なトラブルが起きやすくなっている。どのようなトラブルがあり、どのようにすれば回避できるのかについて解説したい。
アプリ設定では回避不能のトラブル多し
メルカリでは、具体的にどのようなトラブルが起きているのだろうか。基本的に個人間取引ゆえのトラブルが多いので、設定などでは回避できないことが多いのが特徴だ。まず、出品時に起きる代表的なものを見ていこう。
まず、購入されたにも関わらず、その購入者が支払いをしない場合は、出品者側からキャンセル申請ができる。メルカリでは支払い後発送する仕組みのため、メッセージで連絡しても反応がない場合などはキャンセルしよう。
メルカリでは受取評価後でなければ購入代金が振り込まれないが、この受取評価がされないトラブルも多い。相手がなかなか受取評価しない場合は、相手にメッセージを送って商品の到着を確認した上で、受取評価をお願いしよう。
それでも対応しない場合は、運営会社に連絡しよう。発送通知した9日後の13時以降には自動的に取引完了となるが、取引後に評価を依頼するためのフォームが表示された場合はそちらからも連絡できる。
「取り置き」「◯◯さん専用ページ」など、メルカリには独自ルールが多い。取り置きとは、購入したいが今はお金がないなどの理由で取り置きをお願いすること。専用ページとは、取り置きをお願いされた際にその人のためにタイトルを変えて商品を取っておくものだ。
取り置きをお願いされても購入されないトラブルは多いので、基本的にしないほうがいいだろう。購入の際も、取り置きや専用ページとなっているものも購入できるが、そのような行為は「横取り」として非難を受けるのでおすすめできない。
その他若者たちに目立つのが、出品してはいけないものを出品してしまうトラブルだ。盗品、規約違反品などの売るべきではないものなどを売ってしまい、トラブルになっている例は少なくない。こちらはメルカリ以外でも問題となることなので、ニュースなどで知ったら子どもに指導するのが一番効果的なのではないか。
購入時に多いトラブルと対処法
続いて、購入時の代表的なトラブルについて見ていこう。
まずは、購入したのに商品を発送してくれないというトラブルだ。発送までの期日を過ぎた場合、取引画面上部にキャンセルを依頼できるフォームが表示されるようになる。キャンセル申請しても相手から反応がない場合、24時間でキャンセルが成立し、返金もされる。
購入したが、送られてきた商品に傷や汚れ、あるいは動かないなどのトラブルもある。この場合大切なのは、受取評価をしないことだ。受取評価後では、運営会社も対応しづらくなりキャンセルできないこともあるためだ。メルカリではノークレームノーリターンは禁止されているため、出品者に問い合わせよう。出品者側に非がある場合のみ、取引画面のキャンセル申請フォームから申請したり、問い合わせ画面から運営会社に連絡を取ってキャンセルできる。
「プロフ必読」「即購入不可」「コメント必須」などと書かれている例もよく見かける。他のアプリでも売っているので同時に売れることを防いだり、相手がどのような人物か確認してから売りたいなどの意図のようだ。これも独自ルールだが、きちんとプロフィールを読んだり、コメントで「購入できますか?」など書き込んでから購入するほうがトラブルになりづらいだろう。
トラブルを防ぎ、対処する方法は
メルカリには色々な独自ルールがあり把握しきれないと感じるかもしれない。また、いくら注意していても、トラブルになってしまうことはあるだろう。じつは、そのようなトラブルを未然に防いだり、解決するための方法は用意されている。
メルカリでの疑問について質問すれば回答してくれる「メルカリボックス」という機能がある。ホーム下部右の「マイページ」をタップし、「メルカリボックス」をタップすると表示される。疑問があることはここで過去の類似質問を調べればたいてい見つかるし、見つけられない事柄はあらためて質問することで解決できるだろう。また、運営会社に頼まなければ解決できないことは、「お問い合わせ」から連絡するといいだろう。
他サービスの話だが、特定したいユーザーの出品物をわざと購入し、相手の個人情報を取得した結果、ストーカー被害などにつながった事件が起きたことがある。メルカリでは「らくらくメルカリ便」「ゆうゆうメルカリ便」などの匿名発送できるサービスがあるので、このようなものを利用してなるべく匿名で住所も明かさない状態で送付するようにすると安心だろう。
最近の10代は、不用品を売って賢くお金に換えている。ただし、思わぬトラブルに巻き込まれるケースもあるので、子どもの利用状況について聞いておき、アドバイスしておくといいのではないか。
著者紹介:高橋暁子

ITジャーナリスト。書籍、雑誌、Webメディアなどの記事の執筆、監修、講演などを 手がける。SNSや情報リテラシー教育に詳しい。『ソーシャルメディア中毒』(幻冬舎)、『Twitter広告運用ガイド』(翔泳社)、『できるゼロからはじめるLINE超入門』(インプレス)など著作多数。テレビ、ラジオ、新聞、雑誌などメディア出演も多い。公式サイトはhttp://akiakatsuki.com/、Twitterアカウントは@akiakatsuki
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