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データで見るVTuber第6回

この2週間で注目が集まったバーチャルYouTuberを分析 2019年3月9日~22日

VTuber人気にみられるTwitterとYouTubeの相乗効果~由宇霧と御伽原江良を紹介

2019年03月28日 17時00分更新

文● myrmecoleon 編集●村山剛史/アスキー編集部

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Twitterとの相乗効果で人気急上昇したバーチャル花魁「由宇霧」をデータで解説!

YouTube仕様変更で中国圏人気VTuberのフォロワー数急上昇

 現在7000を超えるバーチャルYouTuber(VTuber)。この連載では、このうち自分がチェックしている約7800のVTuberのTwitterアカウントから、過去2週間でフォロワー数が増加したVTuberを2名ピックアップし、いかなる動きでどのようなフォロワーが増加したかを分析して紹介しています。

 今回は2019年3月9日から22日にかけての2週間の変化を見ました。

チェック中のVTuberのTwitterアカウントについて、2019年3月9日午前0時と23日午前0時の差分の上位

 今回は3月10日に初配信のにじさんじ新人バーチャルライバー「御伽原江良」がトップ。また前回紹介した「夢月ロア」「斗和キセキ」、過去に紹介した「白上フブキ」「郡道美玲」「ベルモンド・バンデラス」も好調です。以下、漫画家でもあり4月から「世話やき狐の仙狐さん」のアニメが開始されるバ美肉おじさんの「リムコロ」、3月に3Dお披露目をした男の娘VTuberの「犬山たまき」、にじさんじの「本間ひまわり」「椎名唯華」「久遠千歳」などが人気でした。

 また本連載では参考としてVTuberのYouTubeのチャンネル登録数の推移も参照しています。今期間はYouTubeの仕様変更があり、これまで加算されていなかった中国圏からのVPN経由のチャンネル登録が反映されるようになったため、白上フブキ・湊あくあ・犬山たまき・神楽めあといった中国圏で人気の高いVTuberの登録数が急増しました。第4回で紹介した「清露イクナ」もチャンネル登録数242から6000超まで拡大しています。この動きとは独立して劇的な上昇をしたのが「由宇霧」です。

 今回はこの「由宇霧」と「御伽原江良」を紹介します。

チェック中のVTuberのYouTubeチャンネルについて、2019年3月9日午前0時と23日午前0時の差分の上位。複数名併記は共同チャンネル

 バーチャルYouTuberと言われるもののの、VTuberの活動の場所はYouTubeだけではありません。YouTubeにチャンネルを持たないVTuber、YouTubeを活動の中心としていないVTuberもいます。こうしたVTuberも共通して活用しているのがTwitterであり、Twitterはプラットフォームに依存せずVTuberの注目を比較するのに有益なサービスです。

 VTuberについて、YouTubeのチャンネル登録数とTwitterのフォロワー数は相関することもよく知られています。またYouTubeのチャンネル登録と異なり、TwitterはVTuberの個々のフォロワーの情報を取得することが可能なため、後述のようなフォロワー傾向の分析などにも有効です。こうした点から本調査ではTwitterアカウントのフォロワー数を中心に調査を行なっています。

新時代の性教育 花魁VTuber・由宇霧

「由宇霧」のYouTubeチャンネル

 「由宇霧」(ゆうぎり)は2018年8月にデビューしたバーチャル花魁(「由宇霧」のYouTubeチャンネル)。upd8に参加するVTuberグループの1つ「ミギナナメ/」のVTuberの1人です。

 キャラクターデザインは「あかさあい」。花魁をモチーフにした艶やかな和服のデザインが際立ちます。また期間中には現代風の新衣装の公開もありました。

 「男女の性の相互理解」をテーマに自身の経験をふまえた性の問題の解説を主要コンテンツとするVTuberで、視聴者と性の話題について話す配信と、配信アーカイブをトピックで切り抜いた自身の切り抜き動画の投稿がYouTubeでの活動スタイル。

 配信も30分ほどと短めですが、切り抜き動画は数分ほどとさらに短く、VTuberに興味のない若者でも気軽に見られる配慮がされています。YouTubeで性の話をするため独特の用語を使うのも配信の特徴です。

 非常に生々しい話が多いものの、VTuberのビジュアルがほどよいクッションとなっており、若者が本当に必要な性知識を気軽に聞いて知ることのできる、1つの性教育のかたちとも言えるVTuberです。

 YouTube以外にVTuberライブ配信サービスの「Colon:」でも配信。また、「PANORA」や「note」で盛んに執筆活動するなど多面的に活動しています。Twitterでも性知識の普及に関してしばしばツイートしています。

 今期間ではTwitter以上にYouTubeで顕著にチャンネル登録数が増加しており、YouTubeは見るものの、あまりTwitterを使わない層に注目されたことが伺われます。外部からYouTubeの登録者の傾向を追うことは難しいため、Twitterでのフォロワー傾向から推定していきます。

 Twitterの増加フォロワーの傾向は、前回の「斗和キセキ」と少し似ており、最も多くフォローしていたのはVTuberの「キズナアイ」。以下VTuberをフォローしているフォロワーが多く、こうしたVTuber関連のフォロワーが7割を占めます。Twitterでのフォロー傾向としては、従来からVTuberを追いかけている層が、話題のVTuberの登場に反応したという構図と思われます。

 比較的重なりの多いVTuberとしては「織田信姫」「シスター・クレア」「鈴鹿詩子」「YuNi」「ロボ子さん」など。「キズナアイ」や「YuNi」はYouTubeでの支持が高いVTuberの代表であり、似た層がYouTubeでチャンネル登録をしているのかもしれません。

 VTuberをフォローしていないアカウントからのフォローも多いですが、これらについて明確なフォロー傾向はみられません。しいて言えば斗和キセキと比べればソシャゲや絵師のアカウントは少なく、マクドナルドやローソンなど普通のアカウントをフォローしているアカウントが多いです。

 由宇霧の増加フォロワーは基本的には従来からVTuberを追いかけている層ですが、比較的オタク文化と遠い一般層に多いのではないかと予想され、この傾向はTwitterをあまり利用していないYouTubeの登録者でより顕著と思われます。

「由宇霧」の増加フォロワーがフォローしていたTwitterアカウント。ランダムにフォロワー350名をチェックの上取得できたサンプル299名の傾向

 「由宇霧」のブレイクを時系列で分析すると、じつはYouTubeで本格的に拡大する以前にTwitterのフォロワー数が伸びていたことがわかります。ちょうどこの時期に下記のツイートが投稿されRTを伸ばしており、Twitterでも注目を集めていました。

ブレイクの一因となったツイート。500以上RTされています

 YouTubeでのチャンネル登録自体は、3月7日に新しい切り抜き動画を投稿して以降ゆるやかに増加しており、このツイート以前にもユーザーローカル社の「バーチャルYouTuberランキング」で急上昇に入っています。グラフをみるとYouTubeでの増加がTwitterのヒットに引き寄せられて上昇気流に乗っていく動きが読み取れます。13日に投稿した切り抜き動画もヒットしています。

 この間のYouTubeのチャンネル登録数は再生数の増加とほぼ相関しており、新規視聴者の期待に応える内容の動画が蓄積されてきたことがわかります。ブレイク前には2万再生ほどだった切り抜き動画が現在は数十万再生となるほど大量に再生されていました。YouTubeには人気のある動画が動画視聴時のおすすめに入りやすい仕組みがあるため、以降は自然に視聴が増加、チャンネル登録数も相関して増加したものと思われます。

 YouTubeでのチャンネル登録数増加が話題になるにつれ、Twitterのフォロワーも増加。特にチャンネル登録1万人記念の新衣装発表(発表中に3万人登録を突破しました)をきっかけに、Twitterも大きく拡大しました。

 由宇霧の今回のブレイクは、YouTubeでの盛り上がりにTwitterでの活動が火を点け、またYouTubeでのブレイクがTwitterのフォロワー増を呼び込むというYouTubeとTwitterでの相乗効果の結果のようです。動画とテキスト双方での本人のマルチな活動の結果であり、半年以上一貫した活動を続けてきた成果とも言えるでしょう。

「由宇霧」の2019年3月9日午前0時からの6時間毎のTwitterフォロワー数とYouTubeチャンネル登録数の増加分の推移と出来事

2月に投稿されたオリジナル曲。作詞も本人で、歌詞の中に活動のスタンスが織り込まれています。


切り抜き動画の一例。この投稿の頃からチャンネル登録数が上向きました。

清楚かと思ったら? 個性的な新人バーチャルライバー・御伽原江良

ギャップが魅力?
「御伽原江良」のYouTubeチャンネル

 「御伽原江良」(おとぎばらえら)はにじさんじの新人バーチャルライバー(「御伽原江良」のYouTubeチャンネル)。手芸サークルに所属する女子大の4年生。

 キャラクターデザインは「萌木雄太」。3月8日にTwitterを開始、10日にYouTubeでの初配信を行いました。

 当初は声の様子や「王子様が迎えに来てくれる」などの設定から清楚な性格が予想されましたが、初配信以降ロリコンカミングアウトやグルシャンの話題、先輩バーチャルライバーに関する多数の失言、九九を間違える、ゲーム時の非常に不穏当な発言(最近はグランド・セフト・オートVで捕まらずに何人殺せるかの配信もしました)など順調に清楚がはがれています

 このギャップが魅力なのか、2019年に入ってからのにじさんじ新人のなかでもよく伸びています。こうした側面が配信外で現れた下記のツイートは「森中花咲」や「静凛」など先輩バーチャルライバーにもよく触れられ、これをきっかけにフォロワーも増えました。

フォロワーを増やしたツイート

 増加フォロワーは、やはりほとんどが「月ノ美兎」などにじさんじのバーチャルライバーをフォローしているアカウント。フォロワー規模を考慮すると、同じにじさんじ新人でキャラデザが共通と接点が多く、この期間にコラボもしている「童田明治」のフォロワーが目立ちました。

 ほか、にじさんじ新人の「夢月ロア」「久遠千歳」「郡道美玲」、最近人気の高い「鷹宮リオン」「ベルモンド・バンデラス」「社築」などのフォロワーも比較的多いです。

 御伽原江良はまだ活動2週間ながら、キャラデザの萌木氏やキャラデザつながりの童田明治や物述有栖、好きなバーチャルライバーと公言している森中花咲、王子様つながりの春崎エアルなど先輩バーチャルライバーと積極的に絡んでいっており、にじさんじ内での存在感を高めていることが分かります。

初配信。初回序盤はまだ清楚。


上記のツイートを受けての配信。

「御伽原江良」のフォロワーがフォローしていたTwitterアカウント。ランダムにフォロワー350名をチェックの上取得できたサンプル318名の傾向

TwitterとYouTubeの相乗効果

 今回、新人の御伽原江良はにじさんじ人気の中のヒット、由宇霧は継続的な活動によるYouTubeでのブレイクと伸び方はそれぞれ異なりましたが、いずれもTwitterでのツイートが人気拡大の1つのきっかけとなっています。YouTubeとTwitterで一貫した活動をしていることで、配信を見ない層にもTwitterをきっかけに注目を得ていったことが共通した動きです。

 バーチャルYouTuberの名前の通り、VTuberはYouTubeでの活動が大きく見られがちですが、今回の例のように相乗的な効果を起こすこともあり、Twitterでの活動も非常に重要と言えます。

 VTuberの活動をTwitterから分析してきたこの連載も最終回となりました。今後もこうしたVTuberの活動に注目し、別の場所・別のかたちになるかもしれませんが発表していきたいと思っています。機会があればまたお読みいただければ幸いです。ご覧いただきありがとうございました。

告知など

 調査対象のVTuberのTwitterアカウントをまとめたリストはhttps://twitter.com/myrmecoleon/lists/VTuberほかで公開中。ニコニコ動画での「バーチャルYouTuber」タグの盛り上がりも紹介している「ニコニコ動画統計データハンドブック2019」はCOMIC ZINに委託中

筆者紹介:myrmecoleon

 趣味で同人誌やニコニコ動画関連の研究をしてる人。コミケ・ニコニコ動画・pixiv・deviantARTなどの調査を行ない、『ニコニコ動画統計データハンドブック2019』など同人誌としてコミケで頒布。2014年に自身の企画で「次元の壁をこえて 初音ミク実体化への情熱 展」を開催。元明治大学米沢嘉博記念図書館スタッフで元ニコニコ学会β実行委員。
 Twitterアカウントは@myrmecoleon

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