このページの本文へ

「脱力」がビジネスに効く理由、パフォーマンスの大幅アップも

2019年03月17日 06時00分更新

文● 岡田光雄(ダイヤモンド・オンライン

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷
パフォーマンス発揮状態になるには、まず脱力することが必要です
人間は不安状態にあるときには、決して高いパフォーマンスをあげることはできない。一度、脱力することが不可欠なのである(写真はイメージです) Photo:PIXTA

近年、脱力を求めるビジネスパーソンが急増している。これはワークライフバランスの充実という意味に限った話ではない。キャリアアップ、あるいは自己実現を果たすために、脱力が求められているのだ。『心を削らない働き方』(CCCメディアハウス)の著者で、コーチ・コンサルタントの山口由起子氏に聞いた。(清談社 岡田光雄)

平成終了間近の今も続く
昭和の非効率な働き方

「現代のビジネスパーソンには脱力が必要です。脱力ができていない人は、常に仕事に対して将来的な不安を抱えている状態(不安状態)で、『必ずこうしなければいけない…』という強迫観念に縛り付けられています。そういう状態で選択した行動は往々にして裏目に出てしまい、うまくいかないもの。仕事で結果を出せないし、たとえ結果を出していたとしても、疲弊し切っていて不安な状態になっていることがほとんどなのです」

 山口氏はビジネスパーソンに対して脱力の必要性をこう訴える。昨今、ビジネス系の書籍や記事の見出しには「脱力」というワードが踊っている。多くのビジネスパーソンは、ストレスフリーな働き方を模索しているようだ。

 その理由について、山口氏は次のように語る。

「おそらく多くのビジネスパーソンは、ずっとアクセルを踏み続けるという働き方はコスパが悪いと、ようやく気付き始めたんだと思います。昭和の時代は、明確に成功モデル(裕福な家庭像など)がありましたが、今の時代はどれだけ頑張っても給料は上がりにくいし、お金を得るためには体力や時間を犠牲にしなければいけない。そうなると仕事そのものが苦しくなる。そういう脱力のない働き方をしていると、人生の生産性はどんどん下がっていくんです」

 多くの人は起きている時間帯のほとんどを仕事に充てている。そのため、働き方の生産性が下がれば、人生にも悪影響を及ぼしてしまうのだ。

不安状態から脱力状態
さらにパフォーマンス発揮状態に

 山口氏は、不安や強迫観念を取り除き、脱力することで得られるメリットを次のように説明する。

「脱力状態に入ると、『自分はどんな状態なら、ストレスを受けず快適に過ごすことができるのか』ということが分かるようになります」

 不安状態から脱力状態になると、仕事のストレスからも解放される。さらに山口氏の脱力論では、もうひとつ上のステージもあるという。

「不安状態から脱力状態、その後はパフォーマンス発揮状態に入ることができます。すると、多くの人は仕事の意欲にあふれ、メキメキと成果が出始めるようになります。あるいは、転職や独立など、自分のさらなる成長を求めて、大きな決断もできるようにもなります。パフォーマンス発揮状態になれば、自分にとっての最適な選択をあらゆるシーンでできるようになるのです」

 つまり、山口氏の脱力論では、脱力はゴールではなく、あくまでスタートラインにすぎないのだ。

 そして、パフォーマンス発揮状態になることができれば、シンクロニシティーも起こりやすくなり、自己実現に近づくという。シンクロニシティーとは、心理学者カール・グスタフ・ユングの言葉で、「心の中で思っていたことが、外側の現象として表れること」。たとえば、何となくある人物のことを思い浮かべていたら、その人物から偶然連絡が入ったりする現象のことだ。

不安状態から抜け出す
脱力状態の作り方

「パフォーマンス発揮状態は、なりたい自分になれる可能性が高い状態です。たとえば何か高いモチベーションで成し遂げたい事業があった場合、自然といろんな情報にアンテナを張っていたり、その事業の関係者が集まるような場所に参加したりと行動に表れるものです。このような自己投資が結果的にシンクロニシティーをもたらすことがあります。また、パフォーマンス発揮状態では仕事がうまくいっている状態なので、新たな道にも挑戦しやすい。勤務時間を減らすなど少し働き方を変えれば、自分の才能を育てていく時間にも回せるはずです」

 ただし、事務職のOLがいきなり歌手を目指すなど、自分が得意なこととやりたいことの差が開きすぎている場合は、実現が難しいことは言うまでもない。

 一方で、パフォーマンス発揮状態になるためには条件もあるという。

「不安状態にある人が、いきなりパフォーマンス発揮状態にいくことはできません。必ず脱力状態というスタートラインに立たないと、そもそもなりたい自分を見つけることができませんからね」

 では、不安状態から脱力状態に持っていくためには、具体的にどうすればいいのか。山口氏が、脱力効果があると提唱するのは「踊る」ことだ。

「不安状態のときは仕事上の問題を抱えていることがほとんどだと思いますが、問題にフォーカスしすぎると全体象が見えなくなってしまうものです。なので、まずはいったん、仕事から離れて別のことをしましょう。よく寝る、好きな物を食べる、散歩する、音楽を聴く、体を動かすなど、体を楽にすることが大切です。あとは踊ることも脱力効果があります。人の目を気にしがちな日本人の場合、恥ずかしがってあまり踊りませんよね。だからこそ自分の部屋で、1人で踊ってみてください。そうすれば、人の目を気にする自分から解放されるだけでなく、身体感覚に意識を向けて集中できるという、二重の意味で脱力できるはずです」

 筆者も試しに踊ってみたが、たしかに個人的には脱力効果があった気がした。しかし、まだまだパフォーマンス発揮状態にはほど遠いようだ…。


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

カテゴリートップへ

最新記事
最新記事

アスキー・ビジネスセレクション

ASCII.jp ビジネスヘッドライン

ピックアップ