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不審行動を検知し、容疑者を見つける:

AIが犯罪を未然に防ぐ時代が来る

2019年03月08日 17時00分更新

文● 盛田 諒(Ryo Morita)

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●容疑者をAIが追跡

 それは犯罪捜査。防犯カメラに記録された複数の映像から容疑者や逃走車を探すのはとても骨が折れる作業です。黒沢所長は「大量の画像から特定の人を見つける作業をAIがやってくれれば捜査員は他のことができます」と話していました。

 米国の警察でも使われる映像監視システムを開発しているパナソニック コネクテッドソリューションズは同じセミナーで、人や車の特定に力を入れているという話をしていました。リアルタイムに防犯カメラの映像を処理して、人や車両を探せるようにするという捜査指揮支援システムを作っています。

 アメリカでは固定式カメラだけではなく、身につけるボディカメラ、パトカーに乗せる車載カメラなどさまざまな場所にカメラが入っていて、大量の映像から捜査に必要な情報を得るため、映像解析技術を使っているのだそうです。

 まず容疑者などの人を探すのに必要なのは顔。顔が斜めになっていても検出可能な顔認証技術を使い、カメラとサーバーに登録されている顔から照合します。特定できた写真をもとに「この人を探して」とシステムに命じれば、捜査員はその人がどこから来てどこに向かっているか行動を追跡できます。

 顔をすばやく検索できるのはカメラにベストショット機能があり、よく撮れた写真をもとに小さな顔写真を作っているからだそうです。これで検索時の負荷が減り、カメラがサーバー1台あたり20台以上も接続できるということ。

 次に逃走車など車を探すときに大事なのはナンバープレート。AIは色や形からおなじ車両を見つけます。「この車を探して」と命じれば、ナンバープレートが見やすい位置まで追跡できます。あとはナンバーが肉眼でわかるレベルまで映像を鮮明化すれば、車両を特定できるというしくみです。

 車の判別に必要なのは色。昼でも夜でも晴れでも雨でも、同じ色だと認識されなければ追跡ができないため、時間による色の違い、路面の反射などを計算に入れて「何色の車を探す」という検索結果に反映しているそうです。

 一方、実際に映像解析を使って作業をしている現場では困っていることがあるそうです。話を聞いて納得でした。

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