このページの本文へ

7歳児が年俸25億円!「ユーチューバー」収益の仕組みを全解剖

文● 岡田光雄(ダイヤモンド・オンライン

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

今や小中学生の「将来なりたい職業」ランキングの常連となった「ユーチューバー」。最近は中高年層の参加も見られるようになり、サラリーマンの副業の選択肢のひとつにもなっている。しかし、一般的にはいまだにユーチューバーの収益の仕組みについて知られていないことも多い。そこで、YouTubeビジネスに詳しい「カティサーク」の押切孝雄氏に聞いた。(清談社 岡田光雄)

25億円稼いだ7歳児
HIKAKINも年俸10億円?

1年間で25億円を稼ぐ7歳のユーチューバー
わずか7歳の男の子が1年間で25億円も稼ぐことが可能なのが、YouTubeの世界。一体、その収益構造はどうなっているのだろうか? 写真:YouTube「Ryan ToysReview」より

 7歳の男の子が1年間で約25億円を稼ぐ――。

 2018年12月3日の米経済誌「フォーブス」による「世界で最も稼ぐユーチューバーランキング2018年版」の結果を受け、国内外のメディアではそんなセンセーショナルな見出しが駆け巡った。

「ランキングの1位に輝いたのは、ライアン君という7歳の男の子で、推定2200万ドル(約25億円)も稼いだそうです。彼の『ライアン・トイズレビュー』というYouTubeチャンネルの内容は、ライアン君に新品の玩具を与えて、リアルに喜んでいる姿を映すというもの。シンプルな内容ですが、大手玩具メーカーからは『ライアン君にうちの商品も紹介してほしい』と依頼が殺到しているようです」(押切氏、以下同)

 日本国内に目を転じても、ユーチューバーの成功はめざましい。先日もHIKAKINがユーチューバーについて「日本で年俸10億も可能」とツイートし、ネット上では「HIKAKINって10億も稼いでるんだ…」などと話題になったばかりだ。

 では、そもそもユーチューバーは、どうやってこれほどの大金を稼いでいるのだろうか。

広告をスキップされると
収入は0円に!

 ユーチューバーの収入は大きく「広告収入」と「企業からのオファー」に大別することができる。まずは広告収入から見ていこう。

「すべてのユーチューバーが、自分の動画に広告を流せるわけではありません。広告を貼るためには審査に受かる必要があり、その条件としては『チャンネル登録者数1000人以上、過去12ヵ月間の総再生時間4000時間以上』が必須となります。YouTubeがこうした条件を設ける理由は、いわゆる“タイトル詐欺動画”や“ゴミ動画”を排除し、魅力的な動画コンテンツを集め、WEBサービスとしての価値を高めたいからでしょう」

 また、YouTubeの広告にはスキップできるものとできないバージョンがある。「動画は広告の後に再生されます」の広告が出てくると、うんざりするという人は多いだろう。実はこの設定は、ユーチューバー自身が行っているのだ。

「視聴者が広告をすぐにスキップしてしまうと、ユーチューバーにはお金が入らない仕組みになっています。こう聞くと、多くの人は『それなら全部スキップできない設定にすればいいのに…』と思うかもしれませんが、そう簡単にはいきません。というのも、視聴者の中には広告を嫌う人も多く、強制的に長々したCMを見せられると、『この拝金主義者め、チャンネル登録やめてやる!』と去っていくケースもあるためです」

 こういった理由から、ユーチューバーの多くは、チャンネル登録者数1000人程度ではスキップ付きの広告を入れ、1万人、10万人と増えていくにつれ、強気に広告を流す仕様に切り替えていく傾向があるのだという。

 では、広告の単価はどのようになっているのか。

「広告をスキップできる設定にするか、できない設定にするかで大きく変わります。たとえば、目安としてよくいわれるのが、再生数×0.1円。1本の動画が仮に10万回再生されたとしたら、単純計算で1万円が広告収入となるというものです。これは広告をスキップできる設定にした場合で、広告を見る人もスキップする人もいるため、結果的におおよそ0.1円程度になるという、あくまでも目安の数字です」

「場合によっては再生数×1円や、それ以上になるチャンネルもあり、個別には大きく異なります。また、広告をスキップできない設定にすれば、強制的に広告が再生された後に本編が始まることから、再生数に対する報酬はグッと上がります。さらに、広告の内容はYouTubeが勝手に判断して入れてくるため、単価も一律ではなく、毎回毎回違います。ちなみに、YouTubeに流れる広告の場合、テレビCMのようにみんなが同じ映像を見るのではなく、視聴者それぞれに異なるターゲティング広告が流れる仕様になっています」

企業からのオファーが来始めたら
事務所に入った方がいい理由

 ユーチューバーとして広告収入が安定的に得られるようになってきたら、企業からのオファーも届くようになる。その段階になったら個人で活動するのではなく、「UUUM」や「Kiii」などのユーチューバーが多く在籍する事務所に所属することもクリエイターとして合理的な判断だと、押切氏は言う。

「事務所に入るメリットとしては、クライアント企業との金額交渉、営業活動、法務手続きなどを肩代わりしてくれることです。そのため、買いたたかれる心配や、あやしいもうけ話にだまされることもなく、制作に専念することができます。あるいはテレビやイベントなどYouTube以外の仕事も来るようになり、事務所側から『こういう仕事できない?』と相談される機会も増えるため、芸の幅も広がります。そうすると結果的に、本業の質も上がっていくわけです」

 とはいえ、ユーチューバーといっても千差万別だ。事務所に重宝されやすいユーチューバーとはどんなタイプなのだろうか。

「家電などを紹介するようなユーチューバーは、事務所としても企業につなげやすいでしょうね。テレビと違って、ユーチューバーはしっかりその商品のダメなところにも言及するので、視聴者の信頼度は高いといえます。事務所としては、家電のレビュー担当はこの人、コスメを実演するならこの人、といった具合に、ユーチューバーのバリエーションを持っておきたいのだと思います。そう考えると、ニッチなジャンルでもいいので、何か一番になれる武器を持っていれば希少価値が生まれ、稼げるユーチューバーになれるはずです」

企業案件は有名ユーチューバーなら
1本100万円になることも

 企業案件の1件あたりの相場は、いくらくらいなのだろうか?

 たとえば、総合格闘家やプロレスラーとしても有名なユーチューバー「シバター」氏は、自身の放送で100万円と明かしている。

 シバター氏のような有名どころのユーチューバーでなくても、小遣い程度は稼げるという。現在、広告代理店に勤める傍ら、ゲーム実況ユーチューバー(チャンネル登録者数5000人程度)の副業をしているAさんは、次のように語る。

「事務所に入っているおかげで、企業案件は次から次に紹介してもらえます。企業から『このゲームをプレイして宣伝してください』と言われたときの1案件の相場は1万円程度。大体10分尺の動画を作るのにかかる時間は1日かからない程度なので、まあまあ割がいい仕事だと思います。ただ、企業によっては公開前の動画チェックで大量の修正指示を入れてくることもあるので、そこは大変ですけどね…」

 今後、ますますユーチューバーの副業は増えていくに違いない。だが、趣味を生かしてユーチューバーになっても、ビジネスとして成功すればするほど、サラリーマンと同じでクライアントへの“忖度”が必要になってくるようである。


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

カテゴリートップへ

最新記事
最新記事

アスキー・ビジネスセレクション

ASCII.jp ビジネスヘッドライン

ピックアップ