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新卒を「即戦力」にし、現場ですぐに活躍させるための育成法

2019年01月17日 06時00分更新

文● 近藤悦康(ダイヤモンド・オンライン

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新卒を「即戦力」にし、現場ですぐに活躍させるための育成法
みなさんの職場では、就活生が企業を選ぶ上で重要視している3大理由「自分を成長させられる環境がある」「人間関係が良い」「福利厚生がいい」を実感できるマネジメントができていますか?(写真はイメージです) Photo:PIXTA

中途採用の人材は社会経験があるものの、前職でのワークスタイル、自分のやり方に固執するため、新たな職場環境で活躍しないことに悩みを抱えている経営者は少なくありません。ところが新卒を入社前から即戦力化し、入社後すぐに現場で活躍できる育成方法に注力する会社が増えているようです。そんな企業はどんな点を心がけて育成しているのか、(株)Legaseed(レガシード)の近藤悦康氏がお伝えします。

「即戦力は中途採用」

 人事コンサルタントとして、さまざまな業界、業種の経営者や採用担当者と話をしていると、こんなイメージを持たれている方が多いようです。

 ところが実際に中途採用しても満足できる成果が出ているところは少ないのが実情ではないでしょうか。そこで今回は、人事コンサルタントや経営者の経験から新卒で即戦力人材を獲得するにはどうすればいいのか、お伝えしていきます。

人手不足が深刻に。「質」か「量」か!?
基準を下げた採用は現場を混乱させる

 今年の10月30日に厚生労働省が発表した有効求人倍率は1.64倍、15~64歳の男女の就業率は77.3%と過去最高を更新しています。「人手不足」が原因で倒産する企業も前年比2割増と深刻な採用難が続いています。

 特に新卒採用に関し、従業員が300人未満の中小企業に絞って見ると、求人倍率が9.91倍。すなわち、中小企業に絞って就活をすればほぼ10社からオファーが来る計算です。実際に内定辞退率は65%に達し、10人に内定を出しても約3~4人しか入社してくれない「超・売り手市場」になっています。

 採用市況がどうあれ、経営側にとって事業を成長させるには、人を増員することが必須であるため、採用チームにプレッシャーをかけます。すると採用の現場では、選考基準のハードルを下げてでも採用する「数合わせの採用」をやってしまうのです。ところが、採用された人材の「レベル」が下がると、育成に手間がかかり、問題が起こりやすく、その対応に追われ、離職率も上がってしまいます。人を採用しても「活躍しない」「定着しない」という事態になったら、元も子もなくなるのです。

 このような悪循環に陥らないようにするには、「即戦力人材」を目標人数分だけ採る“採用力”を高めることが求められます。

「即戦力」という言葉を聞くと、中途採用(キャリア採用)をイメージする方がいるかもしれません。しかし、経営者の悩みとして、中途採用の人材は、社会経験があるものの、前職でのワークスタイル、自分のやり方に固執するため、新たな職場環境で思うように活躍しない人材が意外に多いというものです。

 とはいっても、新卒の人材をゼロから育てるのは大変です。特に中小企業は、大手企業のような新卒で入社して約半年間研修を行い、3年間じっくり育てればいいという発想は持てません。

 ところが、新卒を入社前から即戦力化し、入社後すぐに現場で活躍できる採用と育成方法をとることで、中途より新卒の採用に注力する会社が増えているのです。

実践型のインターンシップで
一緒に働きながらマッチングを図る

 大学3年生の3月から“就職解禁日”と銘打たれてはいますが、実際には大学3年の6月には各就職ナビ媒体はプレサイトをオープンし、インターンシップ情報を掲載します。大学3年生に限らず、1・2年生も利用します。

 インターンシップを経験した就活生は78.8%、1人当たり平均4社も取り組んでいます。もちろん大多数のインターンシップが1~2日程度の短期的なプログラムです。そういう意味では、本来のインターンシップの趣旨とは異なり、企業紹介の色が強いのが実情といえるでしょう。

 そのインターンシップに参加した企業に入社する率は22.4%です。すなわち10人参加して2人は入社してくれる可能性があります。ちなみに当社Legaseedでは、半年以上社員と共に業務を実践で行うインターンシップを経験した学生の7割が入社をしています。

 半年もの間、実務をやってもらうため自社で活躍する人材かどうかがはっきりわかります。また仕事のやりがいだけでなく、大変さも含めリアルに働くイメージをもってもらうことができます。ですから、ミスマッチがなくなり、「活躍する」「定着する」人材を採用できるのです。

 そこで、長期的なインターンシップを導入するにあたっては、乗り越えるべきことが2つあります。1つ目は、学生にとっても現場の社員にとっても、双方にプラスになるようなプログラムを計画することです。つまりアルバイト業務の延長ではなく、学生にとって人間的にも能力的にも成長できる内容にすることです。そして、現場の社員は実務がよりプラスに働くイメージを持てさせるうにインターンシップ生を育てていくことが求められるのです。

 2つ目は、給与や待遇の制度を確立することです。短期間で業務をしなければインターンシップは基本無給でいいのですが、長期間実務をしてもらう場合は給料を支払う必要があります。学生も「給料をもらえるなら…」とそれまでやっていた飲食店などのバイトを辞め、インターンシップ活動に打ち込んでくれるようになるのです。

 最近は、サイバーエージェント、LINE、メルカリなど複数の企業で、入社するまでの期間でどれだけ能力を保持しているかで、初任給を上げる企業が目立ってきています。これからの若者は、大学に行ってサークルや部活に入るだけではなく、企業のインターンシップに参加して社会で通用するビジネスの力を磨くのが当たり前になっていくかもしれません。

 現場社員に協力を仰ぎ、大学生をインターンシップ生として現場で数ヵ月受け入れられるプログラムを社内で構築し、学生も参加するメリットが実感できる工夫が求められるのです。2023年春入社の新卒採用から、就活ルールが大きく変わる可能性もあります。その時に採用で勝つためには、今から準備する必要がありそうです。

新人類ジュニア(さとり世代)を
即戦力にするための育成のコツ

 インターンシップ、内定期間、入社後と、新人類ジュニアと呼ばれる若者といかに協働し、活躍させられるかは、会社は先輩社員のコミュニケーションを通した「育成力」にかかっています。まずは、彼らが何を求めているかを知ることから始めなくてはなりません。

 最近の就活生が企業を選ぶ上で重要視している3大理由は「自分を成長させられる環境がある」「人間関係が良い」「福利厚生がいい」です。ですからこの3つを実感できるマネジメントが必要になってきます。

 1つ目の「成長できる環境」を作るためには、ある程度の「負荷」を与えて挑戦できるようにします。学生だから、新人だからと甘く接するのではなく、仕事をする上での現状の自分のレベルを認識させ、何ができるようにならなければならないかについて成長課題を明確にさせます。そして、期待役割を明確にし、目標に対する責任をしっかりと果たすよう自覚をもって取り組んでもらうようにします。できる人材には、どんどん仕事のレベルを上げ、範囲を広げてあげるといいでしょう。

 そこで大事なのが、2つ目の「良好な人間関係」です。何をするかも大切ですが、誰と一緒に働けるかが、この環境でずっと働きたいという心持ちが作られます。ですから上司は、業務日報にコメントを書いたり、定期的に個別面談をしたり、チームでの飲み会で賞賛し合ったりするなど親身に関わることを大切にしましょう。どうしたら目標達成できるかを一緒に考え、インターン生にとって最高のパートナーになることです。

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 最後が「福利厚生の充実」です。福利厚生を言い換えると「働きやすい環境作り」です。会社にこの制度があるなしよりも、上司や先輩社員として若手が働きやすい環境を作ることが重要です。例えば、学生であれば授業の前や後で来れるようにシフト制勤務にしたり、iPhoneやノートPC、ランチ代を支給してあげたりすると喜びます。

 最近の若者は、社内の教育制度の充実さに重きを置く人材が増えているように思います。若手を戦力にするために、会社としても研修や勉強会をしっかりしようとしている姿勢を伝えることも効果があります。

 いい人材を採用し、定着してもらうには、選ばれ続ける会社づくり、会社磨きをしていくことが求められています。そのためには、現場の社員、特に管理職クラスの人材が若手を生かすマネジメント力を強化し、環境作りの促進をしていけるようにしなければなりません。

 実際に若手を生かす取り組みができている企業では大きな成果を挙げています。エステティック業界で入社1年目から5000万円の売り上げを出す新人がいたり、ガソリンスタンド業界に入社した新卒4名は、2年目に新規事業を立ち上げ新たな収益の柱を築いたりしています。また、インターンシップ期間中に学生でありながら、契約金1000万円のコンサルティング案件を主担当する人材が現れています。

 企業は、大学などの教育機関に依存せず、早期にポテンシャルの高い人材と出会うきっかけをつくり、本来のインターンシップの定義である就業体験を通して、互いに磨き合いながら、体験や対話を通して、共に働くパートナーになる時代へとシフトしてきているのです。


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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