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三菱UFJFGトップ人事の波紋、ガバナンス改革は「周回遅れ」

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昨年の小山田氏の辞任劇が三菱UFJグループの中でいまだに暗い影を落としている
昨年の小山田氏の辞任劇が三菱UFJグループの中でいまだに暗い影を落としている Photo/AFLO

 銀行業界最大手、三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)のトップ人事が波紋を広げている。平野信行社長の後任に、傘下銀行の三毛兼承頭取を充て兼務させる方針を固めたためだ。

 持ち株会社と銀行のトップ兼務を巡っては、FGが助言機関のような位置づけになり、「持ち株会社としての機能が弱く、企業統治(ガバナンス)上問題が多い」(金融庁幹部)。そのため持ち株会社による経営の監督と、傘下会社の業務執行は明確に分離すべきというのが、日米監督当局の立場だった。

 形式的なことより、実質的にガバナンスが利いていれば兼務は問題ない――。三菱からはそうした言い訳が聞こえてきそうだが、もはや説得力に乏しい。

 なぜなら、兼務体制を敷くことの最たる要因が、昨年の小山田隆氏の電撃辞任にあるからだ。平野社長の後継者だった小山田氏が昨年、体調悪化を理由にわずか1年余りで頭取を退任したことで、グループ内の「バランス人事」の歯車が大きく狂ってしまい、今になっても軌道修正がきかなかったわけだ。

 小山田隆氏の辞任によって、当時副頭取だった三毛兼承氏が、慶應大学出身者として初めて傘下銀行のトップに就いたのは、昨年6月。「頭取4年」という三菱の不文律からすれば、三毛氏が来春に2年も経たないうちに頭取ポストを明け渡し、FG社長に専念する体制は何としても避けたかったという事情がある。

 さらに悩ましかったのは、三毛氏が頭取ポストを明け渡すと、次期頭取の年次が想定以上に若返ってしまうということだ。

 次期頭取の本命候補とされる亀澤宏規専務は、入行年次が1984年(昭和59年)。業界最大手としてこれまで他行よりも年次が上の人材をトップに充ててきたプライドがある中で、三井住友銀行の高島誠頭取(昭和57年入行)より2年も下になってしまう。

 仮に昭和56年前後の銀行役員を充てようにも、グループ会社に転じるはずだった三毛氏の緊急登板が影響するかたちで、昭和55年から58年までの役員は、銀行にはほとんど残っていないのが現状だ。

 そうした手詰まりの状況で、いかにも次善の策として三毛氏の兼務体制が固まり、「旧行意識の排除」という格好だけはつけようと、旧三和銀行出身の牙城だったFG会長ポストを、旧三菱側に戻そうとしているように映る。

 今年に入り、三井住友とみずほの2メガバンクグループは、銀行の頭取経験のない人材を、相次いでFG社長に起用する異例の人事に踏み切っている。

 巨大金融グループとして、他メガがそうしてガバナンス改革に汗を流すなか、三菱だけは自前の論理を優先し「周回遅れ」の経営体制に陥ることになる。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 中村正毅)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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