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キヤノンが治療機器市場へ参入、御手洗会長が本誌取材に正式表明

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キヤノンビル
治療領域への進出を表明したキヤノン Photo by Masataka Tsuchimoto

 キヤノンが2016年の東芝メディカルシステムズ(現キヤノンメディカルシステムズ)買収で強化したヘルスケア事業をさらに躍進させる。

 現在のヘルスケア事業は、磁気共鳴画像装置(MRI)、コンピューター断層撮装置(CT)など診断機器が中心。だが、御手洗冨士夫会長CEO(最高経営責任者)は今月上旬、本誌の取材に、治療領域へ進出する意向を表明した。治療機器や再生医療分野を念頭に置いているもようだ。

 キャノンは20年までにM&A(企業の合併・買収)に最大4000億円を投入する方針だが、御手洗会長CEOはその多くを振り向けることも明らかにした。

「治療機器は今までやらないと言っていたのに」と、社内では驚きが広がっている。

 キヤノンメディカルシステムズ首脳も、本誌取材に対し、「治療の世界に足を踏み出すかどうかは、御手洗さんと私、双方ともちょっとネガティブ」と話していた。

社内で「よくぞ言った」の声

 慎重だった大きな理由として訴訟リスクがあるようだ。治療機器は患者の命と密接に関わるため、万が一の事態が発生した場合、診断機器よりも患者らに訴えられるリスクがぐっと上がる。例えば医療機器国内最大手のオリンパスは十二指腸内視鏡で検査、治療を受けた患者が感染症を患ったとして、米国で民事訴訟を起こされている。

 御手洗会長CEOの心変わりの理由は不明だが、御手洗家は医師の家系。身近な人たちを通じて、医療業界で高まるニーズを感じ取ったのかもしれない。

 御手洗会長の変化は、経営目標とも関係があろう。

 キヤノンの17年12月期売上高は4兆円。20年12月期には5兆円を目指す。

 そのためには社内の各事業でさらなる成長が必要で、ヘルスケア事業では、診断機器より圧倒的に市場規模の大きい治療機器への進出は避けて通れない道だ。御手洗会長CEOの判断に、社内では「よくぞ言った」の声も上がっているという。

 キヤノンが治療機器のどの分野に進出するか、また再生医療分野で何をするかは本稿執筆時点で定かではない。だが、キヤノンがM&A市場で台風の目となるのは確実だ。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 土本匡孝)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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