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「便利屋おばあちゃん」大人気の裏側、天ぷら作りから家族会議への参加まで

2018年12月13日 06時00分更新

文● 藤崎雅子(ダイヤモンド・オンライン

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昔ながらの天ぷらを作る
母親代わりに家族会議へ参加

 モノにあふれた現代社会。豊かさの裏側で、寂しさや満たされない思いを抱えながら生きている人は少なくない。

人々の心の隙間を埋めるシニア女性の便利屋サービス「OKおばあちゃん」
人々の心の隙間を埋めるシニア女性の便利屋サービス「OKおばあちゃん」が想像以上に人気の理由とは

 そんな心の隙間を、「おばあちゃん」が解消してくれるというサービスがある。その名も「OKおばあちゃん」だ。実際にどんなサービスが行われているのか、いくつかの例を紹介しよう。

「衣がぼてぼての天ぷらを食べさせてほしい」。そんな40代独身男性Aさんの依頼に、OKおばあちゃんスタッフが出動し、依頼主の自宅で天ぷらを作って提供したケースを紹介しよう。

 社会的地位の高い職業に就き高収入を得ているAさんにとって、高級店でサクサクの天ぷらを食べることは簡単にできる。しかし望んだのは、自宅で昔ながらの天ぷらを作ってもらって食べること。調理から食事後の片付けまでの約2時間、Aさんは母親世代のスタッフとの会話を楽しみながら、ぼてぼての天ぷらの食事を楽しんだ。

 Aさんはその後も、「友人が集まるホームパーティで昔ながらの和食を作ってほしい」など、定期的にサービスを利用している。

 次に紹介する依頼主のBさんは、90代の男性。趣味で社交ダンスを習い始めたが、「思うように踊れないから自主練習をしたい」と、その相手をOKおばあちゃんに求めた。大勢でのレッスンでは、みんなのペースについていけなかったり、相手に迷惑をかけてしまうのではないかと気を遣ったりすることもあるだろう。OKおばあちゃんならば、そんな高齢者の気持ちも汲み取って対応できる。

「元銀座ママ」おばあちゃんの人生相談
「元銀座ママ」おばあちゃんの人生相談

 社交ダンス経験はもちろん、介護経験も持つスタッフが担当。安全性や体力面への気配りをしながら、依頼男性のペースに合わせた練習相手を務めている。

 父子家庭で育った女性Cさんは、父親に思い切って未婚の母になる決意を告白する際に同席してもらえないかと、OKおばあちゃんに依頼した。両親が揃っている家庭では母親が父と娘の間を取り持つ役割を担うことも多いだろうが、父娘との1対1では意見が対立してしまう心配もある。そこで、母親経験を持つスタッフが同席することで、Cさんは心強い気持ちで告白することができた。

 この他にも、育児中の若い母親のサポート、独身男性の朝食のお世話、高齢女性の同世代の友人としてのパーティ参加など、幅広い年代の人からのさまざまな依頼に対応している。

女性ばかりの便利屋が乗り出した
シニア層の経験と知恵の活用

 OKおばあちゃんのサービスを提供しているのは、女性ばかりの便利屋「クライアントパートナーズ」。お客様の様々な困り事・悩み事に対してオーダーメイドのサービスを提供している会社だが、肉体労働のイメージが強い一般的な便利屋とはひと味違う。婚活パーティへの同行、孤独な主婦の話し相手、引きこもりの人が外に出る後押しなど、女性スタッフが依頼者の心の問題にきめ細かく対応する点が特長で、「心の隙間を埋める女たち」と形容されることも多い。

 同社は代表取締役を務める安倍真紀さんが10年前に起業し、初めは若手スタッフ中心に事業の成長を図ってきた。一方で、当初からシニア人材の活用を視野に入れており、数年前に満を持してOKおばあちゃんのサービスをスタートさせた。

「知恵や経験の豊富なシニアだからこそ、世の中に貢献できることはたくさんあるはず。高齢化社会を問題視する風潮がありますが、シニアの知恵や経験を活かせるというプラス面もあるのではないでしょうか。『おばあちゃん』だってこんなに社会に役立つのだ! OKおばあちゃんでそのことを証明したいと思っています」(安倍さん)

 現在、首都圏だけでも約150人のOKおばあちゃんが登録されている。人生経験や主婦としての経験が豊富なだけでなく、なかには、前職が人事部部長や服飾専門学校の先生、「銀座のママ」といった経歴のおばあちゃん、筆文字や裁縫などの高い専門性を持つおばあちゃんも。彼女たちの多くは、「収入のため」というより「誰かの役に立ちたい」という思いで取り組んでいる。

必要とされ続けたいシニア女性、
そんな彼女たちを求め続ける人々

 OKおばあちゃん利用者の満足度は高く、リピーターも多いという。サービス提供のスキルだけでなく、シニアならではの気遣いや安心感が期待されているようだ。

「誰かに必要とされ続けたいというシニア女性も、そんなシニアを求める人々も、たくさんいるのが現状です。両者の橋渡しをしていくことで、幅広い世代の人たちが精神的に豊かになるお手伝いができたら嬉しいですね」(安倍さん)

 家族には言えないあんな悩みや、同世代には頼めないこんな願い……。そんなあなたの心の隙間を、おばあちゃんが埋めてくれるかも。

(藤崎雅子/5時から作家塾(R)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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