GPUは「Adreno 640」を採用
グラフィックス機能も20%向上
GPUには「Adreno 640」を採用しており、グラフィックスのレンダリングが20%高速化しているという。Vulkan APIのバージョン1.1もサポートする。このCPUとGPUに加え、DSPには「Hexagon 690」を採用。スカラー演算のパフォーマンスが1.2倍、ベクトル演算が2倍に強化されていることに加え、新たにAIの処理能力を高めるテンソルアクセラレーターを搭載。これら3つを最適に活用する第4世代のAIエンジンを搭載し、処理能力は1世代前のSnapdragon 845と比べ、3倍に向上したという。
AIでできることが大幅に増える
NPUを搭載し、AI対応をうたう「Android用で7nmのチップセット」(シニアディレクター ゲイリー・ブラットマン氏)と比較しても、2倍の処理能力を実現しているという。直接的な名指しは避けたが、この競合製品とは、ファーウェイ傘下のHiSiliconが開発した「Kirin 980」を指すと見られる。
ブラットマン氏は、こうした競合製品と比較した際に、サポートするAIのフレームワークやOS、エコシステムが幅広い点も強調。結果として、これはAIを活用した機能やデバイスの多彩さにもつながっているという。その実力を示す一環として、基調講演ではリアルタイムに髪の毛の色を変えたり、シングルカメラで撮ったごく普通の写真に深度情報を加えたりといったデモが披露された。
AIによる、シングルマイクでの強力なノイズキャンセリングのデモもその1つ。騒音の大きなバーで通話した際に、その音がほぼ完全に消え、相手にしっかり音声が聞こえる様子も紹介された。これらの機能は展示コーナーでも体験することができ、効果の大きさを確認できた。これらはパートナーの手によるもので、すべてがSnapdragon 855を搭載した端末に搭載されるわけではないが、AIの処理能力が向上した結果、実現できる機能として捉えておくといいだろう。