RyzenプロセッサーとRadeon Vega グラフィックスを搭載
「HP ENVY 13 x360」はCPUなどの構成の違いによって、次のように2モデルに分かれている。
ベーシックモデルとスタンダードモデルの主なスペック | ||
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モデル名 | ベーシック | スタンダード |
CPU | AMD Ryzen 3 2300U | AMD Ryzen 5 2500U |
メモリ | 4/8GB | 8GB |
グラフィックス | Radeon Vega 6 Graphics | Radeon Vega 8 Graphics |
ストレージ | 256GB SSD(PCIe NVMe M.2) | 256GB SSD(PCIe NVMe M.2) |
バッテリー駆動時間 | 11時間 | 11時間 |
価格 | 89,800円(税抜)~ | 104,800円(税抜)~ |
今回試用したのはスタンダードモデルの方で、AMD Ryzen 5 2500U(2.0GHz/最大3.60GHz)と、8GBのメモリ、256GBのPCIe NVMe M.2対応SSDが搭載されていた。グラフィックスはCPU内蔵のRadeon Vega 8 Graphicsだ。
AMD Ryzenの採用によりインテルCPUを採用した同クラスのPCに比べて価格がかなりリーズナブルになっているが、パフォーマンス面で物足りなさを感じることはないのだろうか?
そこで、いくつかのベンチマークを実行して性能を測ってみることにした。まず、Windows 10のシステム評価ツールを実行したところ、プロセッサが9.1、プライマリハードディスク(PCIe NVMe M.2対応SSD)が8.8という非常に高い結果になった。グラフィックスも8という数値で、基本性能がかなり高いことがわかる。
CINEBENCH R15では、CPUのマルチコアが569cb、シングルコアが134cbという結果。ライバルのCore i5-8250Uと比べると、シングルコアは若干低めだが、マルチコアはi5のそれを優にしのぎ、i7-8550Uにも匹敵する結果となった。TDP(熱設計電力)が15Wの省電力プロセッサーとしてはパフォーマンスは十分高いと言えそうだ。
続いてCrystalDiskMarkでストレージの性能をチェックしてみたところ、シーケンシャルリードが2500MB/秒前後になった。NVMe SSDだけあって非常に高速。体感的にもHDDとは比較にならないくらいサクサク動作した。
次にパソコンの総合的な性能をチェックするためPCMark 8を実行したところ、スコアが3475となった。また、PCMARK 10では3248になった。
PCMARK 10のスコアの詳細をみると、基本性能を示すEssentialsが6579、ビジネスアプリのパフォーマンスを示すProductivityが5214と高い数値になっており、普段使いには十分すぎる性能を持っていることがわかる。ライバルのCore i5-8250UやCore i7-8550Uを搭載したノートPCと比べても差は小さく、ほぼ同程度の性能となっている。
グラフィックスはパフォーマンスに優れたVegaアーキテクチャーのGPUなので、Core i5-8250Uなどに内蔵されているインテル UHD グラフィックス 620より高めのスコアが期待できそうだ。そこで、3DMARKでチェックしてみたところ、ゲーミングノート向けのテスト「Sky Diver」で4737、ミドルレンジパソコン向けの「Cloud Gate」で8192と、インテル UHD グラフィックス 620よりも1~2割ほど高い結果になった。
3DMarkスコア | |
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Fire Strike | 1319 |
Sky Diver | 4737 |
Cloud Gate | 8192 |
ゲーム系のベンチマークもいくつか試してみた。まず、「ドラゴンクエストX ベンチマークソフト」は次のようになった。
ドラゴンクエストX ベンチマークソフト スコア | |||
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グラフィック設定 | 解像度 | スコア | 評価 |
低品質 | 1920×1080 | 7817 | とても快適 |
標準品質 | 1920×1080 | 6692 | 快適 |
最高品質 | 1920×1080 | 5303 | 快適 |
同様に「FINAL FANTASY XIV: 紅蓮の解放者 ベンチマーク」も試してみた。
FINAL FANTASY XIV: 紅蓮の解放者 ベンチマーク | |||
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グラフィック設定 | 解像度 | スコア | 評価 |
標準品質 | 1920×1080 | 2880 | やや快適 |
結果を見てわかるように、ドラゴンクエストXならフルHDの最高品質でも快適にプレイできる。比較的重いFINAL FANTASY XIV: 紅蓮の解放者でも、標準品質ならそこそこ快適に楽しめることがわかった。
バッテリー駆動時間は必要十分
本製品のバッテリー駆動時間は、カタログ値で最大約11時間となっている。そこでバッテリーベンチマークソフト「BBench」を使って実際にどのくらい持つのかを計測してみた。なお、電源プランは推奨設定、電源モードは「より良いバッテリー」、画面の明るさは「50%」にし、BBenchは「60秒間隔でのWeb巡回」と「10秒間隔でのキーストローク」にチェックを入れて満充電状態から電源が落ちるまでの時間を計っている。
その結果、5時間35分の駆動が可能だった。公称値には及ばなかったものの、ちょっとした会議や打ち合わせくらいならACアダプターがなくても問題なさそうだ。
ちなみに、画面の明るさが50%といっても室内で使うには十分すぎる明るさなので、作業内容によってはもう少し明るさを落としても問題ないはず。また、プリインストールされているユーティリティ「HP Command Center」を使えば、ファンやCPUパフォーマンスの制御を行うこともできる。今回は「オートモード」でバッテリーテストを行ったが、ファンをほぼ静止してCPUパフォーマンスも下げる「サイレントモード」などにして画面輝度を抑えれば、より長持ちすると思われる。利用シーンに合わせて設定を見直してみてほしい。
コスパの良さが魅力的な高性能2in1 PC
AMD Ryzenプロセッサーを搭載することで高性能と高コストパフォーマンスを両立した「HP ENVY 13 x360」。
日本HPの直販サイトでは、本稿執筆時点でお買い得キャンペーンが実施されており、ベーシックモデルが75,000円、今回試したスタンダードモデルが85,000円(いずれも税抜)からと、さらにお得感がアップしている。洗練されたデザインのノートを探している人や、コストパフォーマンスに優れた高性能なノートPCを探している人には、ぜひ注目してみてほしい。
HP ENVY 13 x360 スタンダードモデルの主なスペック | |
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製品名 | HP ENVY 13 x360 スタンダードモデル |
CPU | AMD Ryzen 5 2500U |
メモリー | 8GB |
ストレージ | 256GB SSD(PCIe NVMe M.2) |
光学ドライブ | なし |
ディスプレー | 13.3型ワイド(1,920×1,080ピクセル) |
通信機能 | 無線LAN(IEEE 802.11a/b/g/n/ac)、Bluetooth 4.2 |
インターフェイス | USB Type-C 3.1 Gen2×1(電源オフUSBチャージ機能対応)、USB 3.1 Gen1×2(うち1ポートは電源オフUSBチャージ機能対応)、ヘッドフォン出力/マイク入力コンボポート |
本体サイズ/重量 | 幅306×奥行き215×高さ15.0~16.0mm/質量約1.31kg |
バッテリー駆動時間 | 約11時間 |
OS | Windows 10 Home(64bit) |