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コアは触れずに、API統合を軽減できるのがSAPのアプローチ

SAPのCTOが語るSAP Cloud Platformの強み、ハイパースケーラ―との関係

2018年12月04日 07時00分更新

文● 末岡洋子

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 クラウド、コンテナにより企業システムの姿が変化しつつある。オンプレミスのERPで業務アプリケーション大手となったSAPは、デジタルコアを中核に必要に応じて拡張するアーキテクチャへの移行を進めている。そこで重要になる統合で、SAPはどのような戦略なのか? AWSなどのクラウド事業者との関係は?――SAPが10月後半スペイン・バルセロナで開催した「SAP TechEd Barcelona 2018」でSAPのCTOとして技術全般を統括しつつ、PaaS「SAP Cloud Platform」のプレジデントを務めるBjorn Goerke氏が、記者団からの質問に答えた。

質問に答えるBjorn Goerke氏

――SAPが掲げるインテリジェントエンタープライズ戦略で、開発者向けの取り組みは?

Goerke氏:SAPのインテリジェントエンタープライズでは、「SAP Leonardo」のインテリジェントテクノロジーが中心となり、デジタルプラットフォームを土台にさまざまなLOB(Line of Business)を合わせて、一貫性のあるスイートにする。アプリケーションにインテリジェンスが組み込まれていることがポイントだ。

デジタルプラットフォームである「SAP Cloud Platform」はスイートのオーケストレーションとして重要な役割を果たすが、拡張でも重要となる。デジタルトランスフォーメーションでは、異なるシステムが協調して新しいサービスや体験を構築することが多い。SAP Cloud Platformは顧客、パートナー企業がSAPの機能を拡張したり、新しい体験を構築するための重要な土台となる。

コアシステムの拡張は顧客の課題となっている。SaaSでは自社固有のニーズに対応させるのが難しい。コアのERPシステムに手を加えるのは膨大な作業となり、顧客の多くがそのまま使うしかないという状態だ。そこでわれわれはシステムをオープンにし、顧客がAPIを利用してSAPのプロセスを強化できるようにした。統合のポイントをコアシステムの外に置くことで、コアはそのままにできる。標準ベースのREST API、APIハブなどに大きな投資をしており、サーバーレスでは10月初めに「SAP Cloud Platform Functions」のベータ版を公開した。

SAP Cloud Platform Functionsではビジネスイベントをベースとした機能拡張が可能になる。拡張はコアの外にあるので、SAPがコアに新機能を加えた場合はそのまま更新できる――SAPはこのような世界をターゲットにしている。顧客を将来のシステムに移行するのを支援するため、コアを分析して、不要なものなど何を変更すべきかを支援するツールなども提供している。

CTOとしてはKubernetes、Dockerなどのクラウドネイティブアーキテクチャも興味を持っている。エンタープライズの方向として、よりモジュラー化が進み、マイクロサービスやクラウドネイティブなどの技術の重要性は増すだろう。SAPはこのトレンドに向けて全てのソリューションをリファクタリングし、モダン化している。

――Amazon Web Services(AWS)、Microsoft Azureなどがある中で、SAP Cloud Platformを使うメリットは?

Goerke氏:SAP Cloud PlatformはAWS、Azure、Google Cloud、Alibabaなどと競合するものではない。SAP Cloud Platformの位置付けは、ビジネスプラットフォーム・アズ・ア・サービス。差別化のある機能を提供する時に利用できるというのが方向性だ。

顧客とパートナーがSAPと同じ機能を使って拡張し、SAPのデータセンター、AWS、Azure、Google、中国のように規制のある国でも実装できる。今回は、プライベートクラウド環境での実装でIBM、Atosと提携を発表した。今後もプライベートクラウド環境の実装オプションを広げていく。

SAP Cloud Platformは、土台のインフラに依存することなくSAPと接続したり拡張する方法であり、これは方向性として正しいと信じている。AWSなどのクラウド事業者とは、機能面での組み合わせによりさらなる価値を創出できる。Win-Winの関係になっている。

――機械学習やAIにおけるSAPの戦略は? ここではバイアスも懸念される。

Goerke氏:企業はどこも優秀なデータサイエンティストを探しており、AIは簡単ではない。SAPは標準化して製品とし、これらのインテリジェンス機能をSAPのアプリケーションに組み込むこと。ビジネスプロセス、ビジネスシステムに入っているので、文脈を理解したり、データを理解できる。また規制遵守の点から管理できる点も特徴だ。

協業も進めており、9月末にアドビ、マイクロソフトとODI(Open Data Initiative)を発表した。顧客関連データを中心とした提携で、企業が協調して合意ベースでデータを効果的に利用することで、より良いマーケティング活動が展開できる。この上に機械学習のアルゴリズムを置くことができる。

SAPは9月、AIの倫理についてガイドラインを発表した。AIの適用についてのルールを定めたもので、欧州企業としては初となる。AIではどのデータを利用するかなどでバイアスが入るリスクがある。これらを回避するために我々としても取り組んでいる。

――クラウドにより、業務アプリケーションの将来はベストオブブリードになるのか? その場合、SAPを選ぶ理由は?

Goerke氏:業務アプリケーションでの競合は新しいトレンドではない。われわれはこれまでもさまざまな競合と戦ってきたし、これからも戦う。

一方で、ベストオブブリードではAPIを提供しても、APIを統合するという作業は顧客のIT部門が行なうことになる。SAPはそのままの状態で統合されているLOBソリューションセットを統合する。統合作業の負荷をSAPが担うことで、顧客はエンドツーエンドで一貫性のある形でビジネスプロセスを動かすことができる。システム間の分断を感じない、一貫性のあるユーザー体験を提供できる。

SAPはスイートのアプローチで、ベストオブブリードとエンドツーエンドの統合ソリューションを提供できる。ここは大きな競合優位性になる。

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